桜と菜の花、小湊鉄道と養老渓谷

人生、1年後はどうなってるかもわからんし、自分はぽっくり逝ってるかもしれんし。今、楽しむ余裕があるならば楽しもう。今を生きる。

 

そう自分を甘やかして有給を取って家族で千葉の上総へ。

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気温、湿度ともに快適としか良いようのない晴れに恵まれた。このような日の空は霞んで黄砂が舞っていて曇天のように見えてしまう。風が強く寒気が戻ってきた晴れのほうがスカッとした青空になって写真映えはするのだろうが、小旅行には最高な日だった。

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窓を大きく開けて、顔を風に晒して景色を眺める。それにしても菜の花と桜はなんと相性の良い組み合わせだろう。

 

電車に乗ることが楽しく感じるなんていつぶりのことだろう。

 

これが春の小湊鐵道の評判高い晴姿か。五井駅から養老渓谷駅までの1時間半は満足するのに過不足のない充実した所要時間だった。

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駅のほとんどは無人駅で、古い駅舎と菜の花と桜の樹の少しづつ異なる組み合わせを各駅で楽しめる。1日フリーパスで気分に任せてあちこちの駅で乗り降りするのも気持ちの良い時間潰しの休日かもしれない。

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菜の花畑の中から撮影すると画面の下半分が全て黄に染まった上を滑るように走る電車の絵が撮れるのだろうね。神社の鳥居と代々祀ってきた家柄かもしれない立派な屋敷と菜の花畑とそこを横切る時代に取り残されたかのような電車。私が見ているこの瞬間の光景は50年前の同日同時刻の誰かが見た光景と全く同じ構成物だったかもしれないと思うとワクワクする。

 

この菜の花畑は反対側にも広がっていて、黄色の海を割って進むような絶景が少し小高い鳥居のある場所からは見られるのだろう。

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https://jp.zekkeijapan.com/article/index/871/

こういうことになっているらしい。石神の菜の花畑という名所だそうだ。

 

 

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小湊鐵道は単線で、対抗列車がすれ違うために途中、15分ほど停車するのだがそれがまた電車を降りて外の空気を吸う絶妙な気分転換時間となる。

 

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 1日の平均乗降者数4人という飯給駅。そもそも、これで「いたぶ」と読むことは難しい。色んな意味で存在が不思議なファンタジックな駅。

 

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およそ整備の行き届いていない小湊鐵道全般。それが一周回って放置されていた年代物の木造の貨車が、もはやお金を掛けたって生み出せない本物の古色を出している。脳裏に焼きついた美しい光景。この写真を見るたびに肉眼視の実物より遥かに劣る写真で記憶が上書きされてしまいそう。

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よくぞ我慢して撤去せずに置いておいた。

 

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11時21分に養老渓谷駅で降り、今夜の宿「滝見苑」に宿まで送迎してもらった。そして便利なことに宿の前の階段を降りるとこの大きな粟田の滝があり、そこから長く長く続く養老渓谷の遊歩道を散策できる。

 

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2時間ほど過ごしただろうか。東京駅で買った弁当を一家4人で川辺に一列に腰掛けて足をぶらぶらさせながら食べた。

食べ終わった人からそこらの竹や木や葉っぱを川に投げ入れては、早い流れに乗って加速したり淀みに捕まってぐるぐると回転したりする様を眺めた。

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平たい丸い石を見つけては水平に投げて水面を跳ねさせた。息子たちはそこまでの技量はないので、大きな石をドボンドボンと投げ入れて歓声を上げる。

 

エイッと、投げる快感。

ドボン、トポン、ドポン。

変わる音の面白さ。

そして毎回異なる水飛沫の形の面白さ。

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ところどころで地層が見えて面白い。そういえば最も新しい77万年前の地磁気逆転を示す地質時代チバニアン」の地層も養老川沿いだったはず。地磁気が逆転したらどうなるのかね、自転が逆回転するわけでもなければ、SN極が反転して何が困るのかな。鳥が巣に帰れなくなったりするのかね、などとヒントのない発展性のない話をして歩いた。

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宿への帰路、手を繋いで歩きながら息子が「石を投げるの楽しかったね」と3回繰り返した。

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こういう日が幸せで、こういう日が繰り返されてほしい。