養老渓谷を散策すること。
大多喜を散策すること。
部屋風呂で温泉を楽しむこと。
それでいてコロナ感染を懸念しなくて済む感染対策が講じられていること。
これら条件に基づくと養老渓谷温泉の「滝見苑」しか該当しなかった。
とても広いバルコニーのある部屋に通していただいた。
一家4人が入れる石造りのお風呂。温度は少しぬるめで長風呂ができて好都合。24時間、お湯が注がれ続けておりいつでも入浴できる。お湯は無色透明で匂いもないが注ぎ口に結晶化していたので確かに温泉。
夜に浸かり、朝に浸かり、足湯に使ったりと部屋付きの露天風呂は大活躍。ちゃんと温泉が引かれている。
家族全員、各自が持ち込んだ本を読んで過ごした。私は小説を1冊読み切ることができた。
まるでこの客室専用の桜かのようにバルコニーから目の前に桜を眺められたので、写真をあれこれ撮ってみるだけでも時間は楽しく潰せた。手持ちのカメラの機能を未だに把握できていないのでいじりまわす。
少しセピアがかった絵。
黒い人だかりの大勢の群衆の中でも誰かと目があったと感じることがある。同様に無数に咲く中でこちらと目があったと思えるようにこちらを直視して正対して咲いている花というのが必ずある。それを探す。
枝に意思を感じる。左から右へ伸びる桜とガードレール。
花びらが欠けた花は少なく、綺麗に揃っているか丸ごと散っているかのどちらか。
光を透過してガラス細工のような繊細さを感じられる構図が好きだ。
あえてのピンボケ桜。
掘り炬燵のついた4畳半の間があり、子供を寝つかせた後も電気をつけられたのがよい。ロビーに無料でお替りし放題の珈琲が提供されており、それを持ち込みながら夜を過ごした。
宿には失礼だが昭和の宴会主体の設備を色濃く残す宿で、細かいところに目を向けると剥げていたり、変色していたり、錆びていたり。隙なく手入れの行き届いた宿ではない。
チェックイン後、ああ、ちょっと期待外れかもしれないと思ったのは事実。しかし嬉しい誤算だったのが 食事の美味しさ。季節感あふれる桜尽くしで目にも楽しい。
そして渓谷沿いの景観に忘れていたがここは千葉の房総半島。漁港も近く海の幸が美味しい。伊勢海老の刺身を久しぶりに食べたが、こんなに美味しかったか。あまりに美味しく、不本意にも殆どを子供がねだるままに食べさせてやった。
ちなみにいすみ鉄道の終着駅でもある大原は日本全国の伊勢海老水揚げトップクラスだそうだ。下手したら昨日あるいは今朝水揚げされたものかもしれない。南無。
山女魚は塩の振り方が絶妙で塩辛くなく、肉もパサつかずに上手に焼かれていて檸檬汁と特製味噌で頂いた。こういう川魚は子供は面倒くさがって食べないものだがすっかり平らげていた。美味しいものは子供の反応が明らかに違う。
蓮根饅頭。
一人づつ小さな羽釜で炊かれる御飯。筍や帆立貝柱、青のりのかやく御飯だった。
- 到着日は養老渓谷駅に迎えに来てもらい、翌日は上総中野駅まで送っていただいた。自家用車で来なかったがなんの不便もなかった。
- 食事処はしっかりと仕切られておりコロナ禍でも懸念無く楽しめた
- 珈琲飲み放題が何気に嬉しい
- 22㎡の広いバルコニー、4畳半の掘り炬燵の部屋、12畳の主客室と広々とした空間で長い滞在時間をストレスなく家族4人が思い思いの場所で寛げた
- 部屋付き露天風呂がぬるめで長湯に最適で気持ちが良かった
- 客室前の桜がまさに満開
- 11時チェックアウトで翌日も起床から4時間も露天風呂に入ったり、朝食後にも敷かれっぱなしの布団でごろごろしたりと寛げた。
もう少し設備の手入れが行き届かないものかと思った。壁紙が少し剥げていたり、傷んでいたり。客室からの眺めも絶景というわけでもなかった。しかし清掃は行き届いていたし、布団も気持ちよく、食事は文句なく美味しかった。振り返ってみると快適に過ごせて満足のいく宿だった。設備面の新しさ、豪華さに欠けるところを従業員やソフト面のサービスで目一杯、補っている印象。これだけの広さの客室と露天風呂を楽しめることを考えたら子供二人連れの私たちにとっては実に丁度良かったように思う。