東所沢駅から徒歩10分弱。武蔵野の住宅街に突如現れる巨大な石建造物。
この謎の古代遺跡のような窓がない石の建造物は木材を全面的に使うことで特徴的な隈研吾さんによるデザインらしい。自分の普段のスタイルから離れて遊んでみた感じでしょうか。
そしてこれまた隈研吾さん設計の武蔵野坐令和神社というものが併設されている。アニメタイトルの幟が両側に並んだ小路をさらに鳥居を潜って進み茅の輪を潜り、中へ。
アニメの聖地88番所第一札所でもあるそうだ。写真は撮らなかったが拝殿の天井には天野喜孝氏の巨大鳳凰画が絢爛に金箔地に描かれている。
拝殿の左右には私の好きな木彫作家土屋仁応氏の狛狼が置かれていた。
土屋仁応氏の彫刻は赤子の柔肌のような繊細可憐な表現が多いがこの狛狼は凛々しく特に阿形が厳しい表情で素晴らしい。三峰神社や武蔵御嶽神社を中心にオオカミ信仰の盛んな武蔵野の神社なので狛犬ならぬ狛狼が祭られている。
さすが達筆。季節限定御朱印という紫陽花の絵も入った御朱印もあったのだが既に描かれた紙を貼るだけのようで、やはりその場で実際にご朱印帳に書いてもらいたいのでこちらにした。
一番下の絵馬は天野喜孝氏によるアマビエだろうか。
締め切りは守ろう。これされあれば守られる。英字でTIME LIMITと書いてある。DUE DATEにすべきのような気もするが。
さあ、いざ角川ミュージアムという石棺のなかへ。
入館するとそうそうに仏像が並ぶ。外の武蔵野坐令和神社といい、案外宗教色が強い気がする。
近づいてみると仏像と思ったらウルトラマンの顔をしている。もともと仏像顔しているから違和感が少ない。
タロウ。まさか父か。仏像の躯体はどちらかというとタイなどで見かける大乗仏教のフォルムに見える。細面なウルトラマンの顔は平安の寄木造のどっしりがっしりしたものよりタイ仏のほうが合うと思ったのか。
ウルトラマンセブンだろうか。
会田誠さんによるアマビエ画もあった。彼にしては随分と大人しく風刺や毒のない絵。太陽がコロナウイルスになっているぐらいか。アマビエに尾が3つあるとは知らなかった。
武蔵野の「窪」がつく地名はダイダラボッチの足跡だという逸話があちこちにあるそうだ。世田谷の代田(ダイタ)はダイダラボッチが名前の由来なのだという。
所沢土偶。
1階では大妖怪展を催していた。こちらの一つ目は荒俣さんに見える。
唐傘お化けやら百目やら。なんだか角川武蔵野ミュージアムでは神仏妖と人外のものばかり見ている気がする。
どこで買えるのかわからないような妖怪グッズだらけの大妖怪展の売店。
化け猫の張り子面が面白い。秋津屋という作家さんの作で2万2千円也。
4階、5階は膨大な書籍を閲覧できる図書館になっており、テーマごとに厳選されキュレートされている。良くも悪くも偏っているので、このラインアップに魅力を感じられる人には楽しいはず。
高さ8mの本棚劇場と名付けられた空間。私が想像していたよりも小さかった。韓国ソウルのCOEXや中国の天津浜海図書館を知っているとかなり小規模に映る。しかも背丈より上の本棚は一般客はアクセスできないので個人的には機能性のない空間に思えてあまり好きではない。
ヨシダナギさんの部族の写真集やユージーン・スミスのポートレート写真集、池田学さんのペン画集や山口晃さんの画集など眺めて楽しい本がたくさん。
1階はライトノベル&マンガミュージアムとなっていて好きなだけ読めるのだが、留意すべき点としては角川書店のものしかない。少年ジャンプの漫画などないのだ。転生ものだとか角川書店はライトノベルに多大な強みを持っているようだが、私はあまりライトノベルを読んでこなかったので手に取るものがあまりなかった。
漫画は少ないのだが、私の知っているものでは「テルマエロマエ」「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」読んだことがないが「エヴァンゲリオン」「文豪ストレイドッグズ」などか。あとは私の知らない膨大な「転生」系の漫画がある。
6冊までしか刊行されていないが「罠ガール」を読んだ。銃による狩猟ではなく、くくり罠、箱罠や囲い罠などの種類、設置場所の工夫や餌付けの事前準備の重要性などの実務的なノウハウが紹介されて素人には読んでいて楽しい。
10:00〜18:00まで飽きることなくあっという間に時間が過ぎた。