初野焼きは惨敗

初めて簡単野焼きセットを使って野焼きに挑戦してみた。

  • 着火した後は手放しで焼き上がるわけでもなく度々、炭を足して火を着け直す必要があった
  • もっと小さな茶碗や盃を燃焼材の中央に置いて焼けば十分に焼けるのかもしれない。
  • 燃焼時間が伸びても燃焼温度が上がるわけではないように思えるので、いずれにしろ実用強度は期待できない。
  • 小さな作品しか焼けない。となると焼成費のコスパは悪い。
  • 結論として野焼きセットでは実用強度のある器は難しい。何にも使えない小さな置物が焼き上がるだけならば物足りない。

野焼きも手軽セットで横着せずにそれなりの規模と手間暇をかけて焼かないとダメなのではなかろうか。

 

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直火可の大岳キャンプ場で野焼きセット「やけるんだ」に初挑戦。付属の覆いで筒を作り、段ボールを交差させ、そこに燃焼材を入れていく。 

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燃焼材は綿のようなふかふかとした素材でゆっくり長い時間をかけて焼けていく。上から炭を置くなどして着火するのだが、途中で火が消えて燃え進まなくなることが何度もあった。

 

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燃えているのだか燃えていないのだか見た目から判別しづらい。しかし変化がないので炭を足した。下1/3まで燃えたところで崩れてしまった。底まで一気に焼け尽くされない。しかし時間にすると3時間は焼いていたことになるだろうか。

出てきた作品はどうにも生焼けのように見える。しかも鹿の細かい部分と脚が折れていた。

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食べ終わって火を楽しむだけになった焚火に入れてみた。熾火でもう2時間ほどあぶったようなものか。

 

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黒くなっているのは炭化効果。黒く焼けたところが黒くなっていないところよりも高温に焼けたとも限らないようだ。どちらかというと酸化焼成、還元炭化焼成の違い。焼き上がり作品は総じて強度が弱い。息子の把手付きの器も把手を持ったらもげてしまった。実用強度無し。

ちなみに左上の茶色い石板のようなものは息子の作った粘土製タブレットPCなのだが蒸らしが足らな過ぎて爆発破損した。水蒸気が飛ぶまで長い時間をかけて炙るのが重要なのは電気窯と変わらないことを再認識。

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私の使い方が悪かったのか、作品の形状や出来が悪かったのか。初めての野焼きは簡易セットを使ってみたが惨憺たる結果に終わった。

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家に持ち帰って破損した脚と尻尾を接着剤で繋げた。角はどこにいったのだろう。燃焼材の中で炭化焼成されなかった部分はそのあと、2時間近く焚火台の上で燃やしても酸化焼成なので色は変わらなかった。素材の土が少しばかり残っていたので溝の中に塗ってみた。稚拙だなあ。まあいいや。

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植えられると言えば植えられるのだよな。吸水性と速乾性の良いテラコッタ鉢のようなものだ。せっかくだからハオルチアあたりを植えてみようかね。で、庭の土の中に半分埋めてしまおう。

 

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この赤く埴輪色に焼けた部分と部分的に還元炭化焼成がかかった表情の変化は悪くない。遺跡から発掘したかのような灰がこびり付いた感じも。

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ヘタウマとヘタは大きく違う。単なるヘタでは愛嬌が出ない。ああ、作り直したい。

 

実用強度を求めるならば赤2号土で電気窯でしっかり800℃で素焼きをして、表情をつけるためにその後で野焼きをして表情に変化を付けてみたら良いのかもしれない。素焼きし終わっていると炭化の焼き目はもう付かないだろうか。

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薄暗いところで遠目で見るといろいろと誤魔化せるような誤魔化せていないような。アンティーク加工自体の雰囲気は悪くないと思う。形をもっと改善して、彫紋様と炭化のムラの2要素を発展させていったら面白いかもしれない。

 

それにしても縄文弥生時代の人の環境を想像すると実用強度のある土器を作ることはかなり厄介に思える。

  • ある程度均一な粘土の調達。山でキャンプしていてもそこらの山肌の土を使って簡単に器を作れる気はしない。粘土質の地層を見つけて、作業場まで運んで、土器を作れるように均一に整えて準備するだけでもかなりの時間と手間がかかる。
  • 枝や藁などの不純物を取り除いて粘土で成形しやすくする準備。現代はザルを使えるが、ザル自体がかなり高度な工芸品なわけだ。昔の人はどうしたのだろうか。かなり大規模に泥を混ぜ、沈降して分離した不純物の少ない部分を使ったのだろうか。
  • 実用強度が出る焼成方法。野焼きでも窪地において、灰を敷き、周囲からしっかり炙り、さらには薪で長時間、最大火力で焼かないとまともな強度は出ない。正しく野焼きしても強度はたかが知れてるのかもしれない。そう考えると穴窯の発明、須恵器の発明はとても画期的だったことがわかる。

 大勢で野焼き合宿をするような企画があれば参加したい。耐熱煉瓦でピザ窯兼用の簡素な穴窯を作って松灰などの自然釉で焼いてみたい。灰被りとか理想。