東京ドームで催されているADAのネイチャーアクアリウム展へ。
独自の様式や世界観を確立して世界水槽レイアウト大会を催し、日本から世界標準を確立した天野尚氏は本当に日本の宝だと思う。
https://www.adana.co.jp/jp/contents/iaplc/2017/index.html
話は飛ぶが右肩下がりで衰退傾向の日本酒業界がよろしくないのはフランスが作って審査するナントカ日本酒賞に競って応募して受賞を喜んでいることだと思う。根本的に食生活が違うし、なぜフランスに日本酒を評価してもらって喜んでいるのか。日本でももっと青魚の寿司に合う日本酒、マグロに合う日本酒、蕎麦に合う日本酒、ラーメン餃子に合う日本酒、焼肉に合う日本酒などと細分化して評価軸を打ち立てて賞を設立することでより多くの人に「好きな〇〇を食べるときにこのジャンルで日本一の日本酒を飲んでみたい」と思わせることではないのか。そしてそれを他言語で発信すべきだ。
「フランスで評価されている日本酒」なんだとアピールすることがずれているように感じる。むしろ日本としては日本食を常食する味覚で日本食に合うフランスや各国のワインを品評する賞を作り出すべき話だ。
評価する側に回るか、評価される側に回るかにその文化領域の価値創造の主導権を握るか否かの重要な問題が潜んでいると思っている。
話を戻すと、水景水槽の美意識、価値観と評価軸を打ち立てたADAの天野氏はそういう意味ですごい。
富士フイルムに天野氏特注のフイルムを作らせてしまうほど、自然景観写真のカメラマンでもある。
水景の最高峰、天野氏の理念を引き継ぐクリエイター達の手掛けた水槽が並ぶ。私も水景主体の水槽を我が家にも欲しいけれども、二酸化炭素添加、ヒーターでの温度管理、そして照明と揃えていくと設備費がお高くて始められずにいる。
こういう草原のような水景の上部に多肉植物をどかどかと水耕栽培するのが私の理想。
ガラスも藻が一切生えておらず真横から見ると鏡面となる。
斜め上から見下ろすと上からと側面からが同時に眺められてこれまた美しい。
お気に入りはこちらの水槽。
ウォーターマッシュルームのような水草が壁面を覆い尽くした水槽。黒い背景と鮮やかな緑の強コントラストが素晴らしい。
ここまで来ると苔の原因となる排泄物をする魚はあまり入れたくなるのかもしれない。
緑の絨毯にするには管理の楽な砂利ではなく土が欠かせないのだろう。私にはハードルが高い。
魚がカラフル過ぎて水面がサイケデリックになっている。
等間隔に気泡を纏う不思議な水面葉。
この水草の新芽の質感も異様だった。一眼レフで存分に撮りたかった。iPhoneではやはり限度がある。
梅花藻のような水中花をつつく魚。
それにしてもiPhoneの撮影時の歪みは酷い。水槽の直線が左右非対称の凹曲線になってしまっている。こんなだから轆轤で挽いた器を撮影しても歪んでヘタクソに見えてしまう。
白眉は六角の巨大テラリウム柱。
美麗。
上部はシダやらの熱帯植物が覆い、霧や雨が下部の水槽に注がれる。そして6面がそれぞれ異なる表情の水景となっている。
1時間に10分間霧が発生するシステム。潤う。
やがては撤去されてしまうのがなんとも勿体ない。こんなテラリウム柱のあるカフェがあったら通うのに。6面がカウンター席で目の前の水槽を眺めながら美味しい珈琲を飲めたら癒されること間違いなし。そんなカフェをどこかに作って欲しい。
写真撮影好き、植物好き、水槽好きにはオススメの展示会だった。展示期間は11月14日まで。