蟲の聖地 高円寺「むし社」

高円寺は環七の西側、早稲田通りの北側のマルエツの入居ビル3階に蟲好きにはたまらない聖地のような店があるとの情報を得て息子と覗いてきた。

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店内の全体写真は撮り忘れた。80m2ぐらいの広さだろうか。生体が沢山売られていてどれもが大きい。パラワンヒラタクワガタがペアで5000円ぐらいのものから11000円まで。ニジイロクワガタやヨーロッパミヤマクワガタなど充実の品揃え。国産はミヤマクワガタの幼虫がいた。

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完熟マット、菌糸ビン、菌糸ブロック、産卵木、高品質ゼリーなど本腰を入れて飼育している人が必要とする資材は一通り揃っている。

マットを交換したくなったらここで買えば良い。インターネットで購入して高い送料負担することも回避できるようになるのでありがたい。

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そのうち、我が家のミヤマクワガタも引っ越してもらう必要があるだろう透明ボトル。

店員の若いお兄さんが博識でとても親切な方で、ミヤマクワガタ初心者の私にあれこれ教えてくれた。尊敬するわ。1を聞くと10伝えたいことがあるんだけどどうしよう、みたいな蟲が好きなことが溢れ出ているお兄さんで、こちらはど素人だけれども蟲が好きだということは伝わったようで構っていただいた。


ミヤマクワガタは幼虫で2年要し、それから成虫になってからも1年寝るので今年孵化した幼虫が成虫になって活動を始めるのは2024年の夏だという。幼虫期間が2年必要だとは知ってはいたが、蛹から羽化した後も1年必要だとは知らなかった。今日一番のショックだ。初めて飼育するクワガタが3年飼育モノだとは。しかも東京の茹だるようなコンクリート熱の夏でも25℃以下で育てないといけない。お兄さんも最初に育てるにはなかなかハードルが高いモノを選んだとおっしゃる。

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トルコ産のミヤマクワガタで成虫の状態で寝ている個体だそうだ。顎の先が二股に別れていて勇壮。

国産ミヤマクワガタには高栄養の菌糸マットは使えず、木を粉砕した完熟マットでゆっくり育てるしかないそうだ。

来年の夏には800g瓶に移したほうが良いだろうとのこと。同一飼育瓶で多頭同居は厳禁。


夏に涼しく過ごしてもらうには800gの容器だと冷温庫には4本程度しか入らない。15匹全部が大きく育つかはわからないが冷温庫の容量問題は明確だ。もう一つ買い足して良いものか。悩ましい。敢えて健康体を間引くようなことはしたくないし。

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ヘラクレスオオカブトも生体が売られていた。お値段は4万円ほど。痺れる。その隣には親指以上の太さの巨大なヘラクレスの幼虫がいた。

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ギラファノコギリクワガタも大きな個体のペアは2万円近い。高嶺の花。


店員のお兄さんのオススメはニジイロクワガタだと言う。よく産み、育ちやすく、日本でも常温管理で育てられるので比較的楽な割に光沢を持った美しいクワガタで満足度も高いという。最初は飼育に要求事項の多いミヤマクワガタではなく楽なニジイロクワガタでも良かったな、とも思ったが秩父で息子達と虫取り網を振り回して昆虫採集した日本の国産種を繁殖飼育することに意義があるとしよう。

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秀逸なのが標本販売コーナー。水玉模様、ドーナツ模様のカタゾウムシの標本に目が釘付けになった。4000円程度なら飲み会を1回回避するだけで賄えてしまう値段だ。唐突にラオスに行きたくなる。

そのほかにもツノゼミ、カラスアゲハ、モルフォ蝶、コガネムシ、コノハムシ、そして外国産カブトやクワガタなど見飽きないほど。安いものは500円や1000円からある。

カタンビワハゴロモ2750円。ヨナグニサン雌雄ペア3300円。ゴライアスオオツノハナムグリ98mm♂14300円。ギラファノコギリクワガタ110mm♂ 13200円。鼻血が出そう。もちろん取引が違法な品種は一切ない。

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制作途中の標本も。

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「いきもの大図鑑」シリーズのガチャガチャの標本玩具が並べられていた。なんでも3Dスキャンされたカブトムシやクワガタはここ「むし社」の生体なのだそうだ。そういった協力などもしているらしい。クワガタムシのシリーズがなかなか売ってない。

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「むし社」は出版社でもある。

「日本のコブヤハズカミキリ」162頁7040円だとか、「日本産ゴミムシダマシ大図鑑」304頁19800円だとか専門性の高さが抜きん出ている。標本の品種同定精度の高さには定評があるそうな。月刊誌もある。

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季刊BE KUWAを購入。クワガタ特集ではなく、ミヤマクワガタだけで1冊。ヒラタクワガタ、オオクワガタはまた独立した1冊。

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何が素晴らしいかというと、どれも原寸大の高解像度写真だということ。飼育方法や採集記など情報も多い。


カブトムシ、クワガタムシの資材をいつでも買える店を確認できたのも大きいが店員さんがとても親切で、困った時に相談できそうなのがありがたい。


眼福な1日だった。高円寺がますます好きになる趣味の店。

年末年始12月31日、1月1日を除いて年中無休、11:00〜19:00