父の誕生日のお祝いで兄が招集をかけたのが海浜幕張のAPAホテルの宿泊フロア最上階のインペリアルスイートルーム。2000室以上ある中で最もグレードが高い部屋らしい。私はこういった部屋に泊まる発想があまり無いので子供達は大はしゃぎ。
圧倒的に広い。223.6m2もあるらしい。我が家より広いことになる。北から南まで180度の海側の景観を楽しめる。こんな部屋が45階の高さにあるのだからなかなかの浮遊感。千葉の湾岸エリアは高層ビルが殆どないので全てを見下ろせる高さ。
これだけ広いとそれぞれが勝手なペースで快適に過ごせる。
リビングの脇に眺めの良いジャグジーがあるのだが、両開き板戸を開くと丸見えになる。
1993年にプリンスホテルとして開業した総工費530億円近くをかけて建てられた丹下健三建築の豪華ホテル。それが2005年には132億円でAPAホテルに売却された。
バブルの真っ盛りにバブル崩壊を見越せずに着工したホテルなのだろうな。91年にはバブル崩壊の兆候はあちこちに現れていたはずで、損切り撤回する判断は難しいものとはいえ、そこら辺も含めて西武グループが傾くべくして傾いた理由ではないか。
プライベートを保てる互いに離れた複数ベッドルームとリビングから直結したジャグジーはファミリーの宿泊ニーズに基づいた設計とは思えない。成金が水着のお姉さんを侍らせて乱痴気騒ぎをするニーズに合わせている気がするのだが下衆の想像だろうか。
ジャグジーからリビングを眺めるとこの通り。ジャグジーも大人が4名は入れる広いもの。やはり家族風呂という気はしない。
リビングを出て廊下を抜けて両ウイングにこのようなベッドルームがあり
さらにベッドルームに付いたバスルームもある。2階にもAPAホテルになってから増設された露天風呂大浴場もある。
西にはZOZOマリンスタジアムの先に太陽が沈むのが綺麗。
最上階50階にはレストランがある。
大人が5980円、子供2980円なのだが食事代の半額に対して使える5000円分のクーポンが500円で買える。結局4人で8000円割引となり10,000円で済んだ。5000円クーポンのうち千葉県が4500円を負担していることになるがAPAホテルを県民税で潤わせるのは仕組みとしてどうなのだろう。
ヴィゼットなどのベルギービールやワイン、カクテルなどが飲み放題。ソフトドリンクのドリンクバーもある。
子供たちが大好きなチョコレートファウンテン。チョコレートが固まりにくいので濃度が低いように思う。
食事の写真を撮っていない。ビュッフェだと盛り付けが撮影する気が湧くようなものにならない。アンコウの煮凝りやカルパッチョ、ローストビーフや鶏肉のバジル焼きなど美味しかった。APAカレーが人気なようだったが試しそびれた。
時折、タイムサービスのフロア放送が流れ、「生ハム」「フォワグラ」「帆立と菜の花のリゾット」「抹茶のクレムブリュレ」などが「お一人様一皿まで」の煽り文句とともに提供が始まると大勢が行列を作る。なんだか大衆的でスーパーのタイムセール的風情なのが西武グループ、プリンスホテルの凋落を印象付ける。
素敵な夜景を観ながら食事を楽しめた。
長く使える公共財とはならずにあちこちで富が無駄に消えていったバブルの狂騒時代を想像して偲べる、私にとってはある種の廃墟風味のホテルで興味深かった。
翌日はすぐ横にある県立の日本庭園「見浜園」を散策。丁寧に剪定された松越しに眺めるAPAホテル。
庭園を眺めながら薄茶と練り切りを頂く。京都に住んでいた頃はそこら中の観光寺院で薄茶が楽しめたが、こういうのは久しぶりだと気付く。
良い気分転換だった。