1日目 福岡から呼子へ

妻が私1人を放牧してくれるというので妻や子供達が一番興味なさそうな目的地にすることにした。

 

都道府県魅力度最下位。

窯業の聖地。唐津、有田、伊万里、鍋島、武雄

烏賊や鯖などの海鮮。

唐津や武雄の温泉。

 

陶器の店巡りなど子連れだと怖くて仕方がない。次男坊は触るなと言われたものから触っていくような怖さがある。

観光地としては春休み後でかつGWを目前に控えて閑散期だと思うし、世間一般的には観光地としての魅力はないことになっているのでコロナ禍でも行きやすそうだ。

妻子が最も興味がなくて私が興味のある目的地として佐賀の旅は完璧な選択肢に思えた。

 

5時半に家を出て7時半の羽田発福岡行きの飛行機に乗る。左翼越しに富士山が美しい。飛行機に乗るのはコロナ禍のせいで3年ぶりになる。

f:id:mangokyoto:20220410104109j:image

福岡空港から地下鉄で姪浜へ、そして姪浜のホームのベンチで40分ほど西唐津行きの列車を待つ。昔はバックパックを背負ってバスターミナルで次の便を30分や50分待つなんてことも多かったと思い出す。旅に出た実感が増す。

 

列車は長いこと海沿いを走って東京の日常では見られない景色を映し出す。

f:id:mangokyoto:20220411062323j:image

西唐津駅でもまた待つ。30分待って呼子行きのバスに乗り込んだ。旅は待つこととセットだった。そして待ち時間が思索の時間をくれる。これまでのこと、これからのこと、あれこれ考える。

 

f:id:mangokyoto:20220411070741j:image

呼子に到着。歩いて20分ほどの範囲が朝市でも賑わう街の中核のようだ。

f:id:mangokyoto:20220411062425j:image

f:id:mangokyoto:20220410163525j:image

大きなガラス灯を連ねたイカ漁船。インテリアとしてイカ漁船ランプは面白いと思っている。
f:id:mangokyoto:20220410163505j:image

そして至る所には回転式のイカをぶん回して乾燥させる機械が回っている。イカグルグル、イカコプターと呼ばれているそうだ。蠅もつかないので衛生的。
f:id:mangokyoto:20220410163502j:image

呼子朝市の通りの近く、呼子の表通り沿いでも一見、廃墟のような民家が多い。外壁は剥がれ、ひび割れた窓ガラスはガムテープで補強され。潮風に劣化しやすいのかもしれないが、観光客の落とす金がイカを出す飲食店や旅館に偏り過ぎているからなのか。
f:id:mangokyoto:20220410163517j:image

寂れた、錆びた民家が並ぶ。
f:id:mangokyoto:20220410163520j:image

f:id:mangokyoto:20220411063256j:image

廃墟好きにはたまらない素材だけれども、お爺さんが1人、お婆さんが1人、広い家屋を持て余しながら住んでる場合も多いと聞いた。

f:id:mangokyoto:20220411063314j:image

港に面したメイン通りでかつ朝市にも近い好立地でも閉鎖された空店舗が並ぶ。それでも売りに出ないのだとか。

かつて呼子に1軒しかなかった本屋が閉まった後はどこで本を買うのだろうか。まさかAmazonは届けてくれるのか。都市部と田舎では生活様式は大きく異なり、田舎の生活様式を知らない。
f:id:mangokyoto:20220410163508j:image

呼子の観光はイカの活け造り一辺倒なのか。廃墟、レトロ、寂びをテーマに写真を撮って回る分には楽しい。うまく再活性化できたら魅力的な要素は沢山あるように感じる呼子。レトロで懐かしい要素はそのままに。

f:id:mangokyoto:20220411062135j:image

うまく改修したらお洒落なカフェに転用できそうな擬洋風建築の民家も風化するに任せている。これ以上劣化したら修繕できない臨界点を超えてしまうかもしれない。

f:id:mangokyoto:20220411062449j:image

左右に入口のあるこちらは銭湯の入口のようにも見える。単に風変わりな二世帯住宅なのか、かつては銭湯だったのか。
f:id:mangokyoto:20220411062142j:image

万国旗が逆に寂しさを際立たせる。晴れの日も雨の日も旦那が採ってきた海産物を妻が朝市に並べる。コロナ前では観光客で賑わう日には160人近くの土地の女が商ったそうだが、3年経ってコロナが去ってもどれだけの人が戻るか。輪島の朝市はロシア産ばかりだったが、こちらは地元産が並ぶのが嬉しい。

イカの活け造りは現地の人は殆ど食べないと言っていた。観光客用に出すか、乾燥させてこれまた観光客に売るか。型の大きくて良い魚は唐津ではなく福岡に出荷する方が金になるとのこと。
f:id:mangokyoto:20220411062131j:image

コンビニが18時には閉まり、通りは無人となる。暗くなっても屋内が灯らない民家が多くて少し悲しくなってくる。
f:id:mangokyoto:20220411062138j:image
f:id:mangokyoto:20220411062128j:image

船の接岸壁沿いには豊漁の大国様が見守る。
f:id:mangokyoto:20220411062145j:image

f:id:mangokyoto:20220410163529j:image

 

昼にイカの活け造りを頂こうと思ったが、13時前に着いた私が入れる店は皆無だった。2時間待ちや受付終了の店ばかり。

f:id:mangokyoto:20220413070400j:image

そこで呼子らしさは無いのだが小綺麗な古民家改装の自家製酵母パンを出すカフェを見つけて入った。
f:id:mangokyoto:20220413070406j:image

スープセットを頼む。
f:id:mangokyoto:20220413070403j:image

自家製の柑橘類と苺のジャム、四つ葉バターがつく。東京では比較的あちこちであるような素敵なカフェ。呼子の住民も観光客が好んでいく海鮮定食を出す店よりもこんなカフェに日常では行きたいのだろう。パンだけを買いにくる客も多く、かなり常連で賑わっていた。
f:id:mangokyoto:20220413070357j:image

ご主人がグランドピアノで時折、演奏して下さる。席数を増やすよりもグランドピアノの演奏を聴かせることを優先したというよりも、旦那さんが生き甲斐のピアノを客に聴かせられることを優先したと言うべきか。園芸店で勤務していたという女主人と夫婦の理想的なセカンドライフに見えた。都会にあるような素敵カフェを田舎に開業して人気店となった成功例のようなお店。

 

イカの活け造りは夕食に食べに行くことにしたのだが18時までに全ての飲食店は閉まることが判明した。20:30まで営業していることになっている「河太郎」ですら、16:00〜17:00ごろには入店しないと食べられないという。早めの夕ご飯にするしか無い。

 

尾上Ryokanという高台の上の宿に素泊まりした。写真ではわかりづらいがかなり老朽化した施設。
f:id:mangokyoto:20220410163513j:image

バブルの頃はそれなりに儲かっていただろうがその後、設備の定期的な刷新がうまく行かなかったのだろう。修繕積立のできていないマンションのようなものか。壁は薄く、遅くまで賑やかに話す隣室のおじ様が入眠を妨げる。
f:id:mangokyoto:20220410163459j:image

立地も眺めも良いのにもったいない点が多い。大浴場もガラスに目隠しを貼っていて折角の海を見えなくしている。
f:id:mangokyoto:20220410163511j:image

いろいろと寂しさと哀愁に包まれつつも、のんびりと寛げる呼子だった。

f:id:mangokyoto:20220411070758j:image

 

  • 1人客を受け入れてくれる旅館、民宿はほぼなくて6軒に断られた。
  • 旅館以外で18時以降に夕食を取れる店はないので要注意。
  • イカの活け造りを出す店は殆どが予約できず、週末に遅く着くと2時間待ちはざら。
  • コンビニも近くには無い。
  • 20分で歩ける範囲に呼子の主要な店は集まっている。
  • 港の岸壁沿いを歩いて回るのはとてものんびりできる。
  • 夜はすることがない。それを楽しむ。