世界遺産 奥州平泉の金色堂

世界遺産に登録された奥州平泉、藤原四代の栄華を伝える寺社仏閣。東京から電車で4時間、車でも5時間半かかり周辺に大きな観光地もないのでなかなか周遊プランも立てづらく今まで来る機会に恵まれなかった。

石巻でレンタカーを借りる機会があったので、折角なので岩手県の平泉まで足を伸ばすことにした。

 

毛越寺

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中尊寺金色堂と合わせて世界遺産になっている毛越寺のことを私は知らなかった。f:id:mangokyoto:20220517223903j:image

吾妻鏡』によれば、「堂塔四十余宇、禅房五百余宇」がありかつては中尊寺よりも大規模だったそうな。
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毛越寺を開いた円仁による入唐求法巡礼行記がマルコポーロの東方見聞録と玄奘三蔵による西遊記に並ぶ世界三代旅行記に数えられているそうだがこれは世界の共通理解なのだろうか。申し訳ないが入唐求法巡礼行記が格段に知名度が落ちるように思う。

Ennin's diaryとして外交官ライシャワーが翻訳して欧米に紹介して好評を博したようだが世界三大という扱いはされていないように思う。
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さぞや荘厳だったのだろう。
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立派な伽藍や堂宇が建ち並んだことを偲ぶ説明札が立つだけで広大な草地が広がる。この雰囲気はタイのスコータイ遺跡を思い起こさせる。そうか、平泉は日本のスコータイのようなものなのかもしれない。その後の王朝に比べて比較的短期間栄えた北方の王朝。
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中尊寺

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坂を800mほど上がっていく。その途中にある弁慶堂。
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中はご自由に撮影くださいとのこと。
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弁慶が自ら彫ったとされる像は誇張も美化もされておらず頭でっかちで豪壮には見えないガキ大将のような容姿。それが後世の仏師に筋骨隆々の剛の者として彫られていく。本当の弁慶はどんな人だったのだろうか。

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中尊寺をお参り

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これが平泉の中核、金色堂。写真撮影不可とのことなので公式ホームページのものを借用した。

高野山の徳川霊台とそう違わない寸法だが徳川家よりも煌びやかな金、黒漆、螺鈿尽くしの霊廟を藤原氏は残した。地方の有力勢力でも100年も栄えることができればこのような栄華を後世に残すことができるのだな。霊廟の中には藤原四代のミイラが納められている。
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金色堂が建立されて50年の後には既に覆堂が被さるように建てられていたそうだ。その覆堂自体はより大きいものに何度も立て直されている。松尾芭蕉の像が横に立つ。f:id:mangokyoto:20220517224330j:image

正直なところ、私の心の中で膨らませていたほどの詫びも静謐さも感じられなかった。無人の雨の中で静かに対面することを想像していたが、実際には音声解説が自動無限ループで流され、コンクリート造りの新しい覆堂の中を大勢が通り過ぎていく。
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お地蔵様がなんとも美顔で惹きつけられた。
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これまで拝んできたお地蔵様の中で五指に入る美仏地蔵尊
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わんこ蕎麦

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平泉駅前でせっかくなのでわんこ蕎麦を頂いた。こういうものは誰かとワイワイと騒ぎながら食べたいものだ。独りで粛々と黙食しても盛り上がらない。

 

達谷窟毘沙門堂(たっこくのいわや)

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有り難くもレンタカーで回れていたのでこの坂上田村麻呂が1200年昔に征夷を記念して毘沙門天を祀ったという達谷窟毘沙門堂に参拝。
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鳥居をくぐって毘沙門堂に参るという完全な神仏混淆様式。
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島根の投入堂のような高さのある岸壁に掘り込まれた断崖の寺院を想像していたのだが実際には地面に礎石を打った岸壁下の窪みに立った寺院だった。
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左手の岸壁に摩崖仏が掘られているのだが胸から下が剥落してしまっている。
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厳美渓

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コバルトブルーの渓流を灰色の岩、藤色混じりの新緑が縁取る。
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遠目だと藤色は淡すぎて目立たないけれども裸眼で実物を眺めると非現実世界のような美しさ。
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ケーブルに吊られた籠に代金を入れて木槌で板を叩いて合図を送ると対岸上の茶屋から滑車を使って団子が届く。子供が喜びそうな仕掛けだ。
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近くにあったら機会があるごとに通いに来てしまうような絶景だけれども観光客がひっきりなしに来るようだと風情に欠ける。地元の人しか知らない隠れスポットのようなところはないだろうか。
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岩にへばりつく山藤。
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車があったおかげでちょこちょこと周辺も周れて充実した1日となった。