地下の巨大機構 環状七号線地下調節池

青少年育成なんたら協会の催しで善福寺川取水施設の見学に参加した。

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1988年から20年をかけて地下に54万m3の巨大地下貯水池として直径12mのトンネルを長さ4.5kmの長さにわたって環状七号線の地下40mに造ったシロモノ。丸の内線などの地下鉄と干渉しない十分な深さとなると40mの深さが必要だったらしい。
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6カ所にリアルタイムの監視カメラがあり、危険水位に達すると神田川善福寺川妙正寺川から地下調節池に取水するのだそうだ。
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実際に水が流れる模型で見せてくれる。
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大雨警報が出ると最低2名で対応にあたるそうだ。
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地下40mまでビル14階相当の高低差を階段で降りていく。
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そうすると地上40mから水が渦を巻きながら落下する立坑の下部に着く。渦を巻きながら落水させるのは騒音を防ぐ工夫なのだそうだ。

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地下坑は照明もないので係の人が5、6人で懐中電灯で照らしてくれる。
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第一部区間の完成時に近所の小学生が地上でコンクリートに描いたものを組み立てたものらしい。タイタニックが描かれている。1998年ごろだろうか。その頃の小学生はもはや30代。
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100mほどの距離の送水管を歩くとやがて調節池と呼ばれるトンネル本体にぶつかる。
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目の前に見える暗闇は4km先まで続くそうだ。照明もなく、ただひたすら続く直径12mの穴。54万m3は学校の25mプール1800杯分ぐらいだそうで、これにより杉並区や中野区の河川氾濫による災害被害が解消された。総工費は1050億円だという。過去の台風や大雨での河川氾濫で貯水池ができる前にはひどい時には1回で3000戸が浸水し150億円以上の家屋の被害が出たという。そんな水害を防ぐためにこれまで45回以上稼働して取水している。あの2020オリンピックの無駄と汚職腐敗に塗れた数兆円に比べたら安いものだ。

ゲリラ豪雨や温暖化なんて言葉もない時代の防災対策として、これに関しては先見の明のある良い政治判断だったように思う。
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台風などで水を入れる際には汚水や流木などが混ざった状態なのでその後の清掃はなかなか大変だと思われる。一カ所からそれなりのサイズの車を下ろして坑道内に運び入れられるようで清掃車で一気に掃除するらしい。

 

冬の時期には消防局と協定を結び6万m3を有事の消火要水として貯水しているのだそうだ。良い連携。

 

自分の住む街の防災対策を学べて良い一日だった。