さあ、11個の筒鉢の天と底に穴を開けた。いよいよ蟲を作って載せていく。蟲の大きさや形は様々なので鉢も同じ大きさにせず、穴の位置や大きさが違う鉢の中から合う組み合わせを模索しながら作っていく。
1.団子蟲の子実体仕立て 3hr
身体を折り曲げたダンゴムシばかり作っていたので真っ直ぐなやつを作ってみた。
真ん中に穴を開けつつも脚をつけた。
このまま、真上を向いていたらつまらない。斜めにして、子実体で囲んでみようか。
計6つの子実体を加えた。まずまずか。有機体がぶわっと筒の上部から溢れ出るイメージ。
もう少し傾けても良かったかもしれない。どんな多肉植物、サボテンが合うだろうか。
2.蝉の幼虫 3hr
蝉の幼虫の菌糸に食われた版。
背中から生えてくる仕様。
頭だけで鉢がないとなんとも貧弱というか頼りなげな形。
ひしゃげた鉢を用いてみた。案外、面白いかもしれない。水平方向にぶつかった際に鋏がぶつからないようになる。土から飛び出たかのように見せるために土片を胴回りにばら撒いても良いかもしれない。
鉢の上部に粘菌の子実体が伸びているようにしてみた。
下手したら失敗作となっていた鉢がむしろ個性的に蘇ったように思う。焼き上がりが楽しみになった。
3.兜蟲 2hr
初の試みはヤマトカブトムシの胸と頭部だけの鉢。顔は愛嬌よく作れたように思う。
秋や冬に腹部と胸部がバラバラになった死骸を見かける。それを再現してみた。
顔つきは悪くない。この立派な角を曲がらずに釉薬をかけて本焼きできるかが悩ましい。支えが欲しいが癒着は避けられない。どうしたものか。
鉢にセットする。植える多肉植物を吟味しないと冬虫夏草感は出ない恐れもある。根曲りのサボテンが合いそう。
胸部の後方下から、鉢のフチ近くから斜め横に植物が伸びる仕様。
4.蠅取蜘蛛
写実によりすぎないように、頭の中のイメージでデフォルメして作るようにしていたが、やはり現物をしっかり見ることは大事なことだ。
毛で覆われたふわふわの蜘蛛を表現できない。ツルツルだが仕方なし。
脚は広げず折りたたんで身に寄せると蠅取蜘蛛らしくなる。眼は6つ。眼だけトルコ青にしてみようか。
上部が窄まった鉢に乗せた。適度に脚が体躯より下に伸び、それっぽく見える。
蠅取蜘蛛を苗床にする冬虫夏草類などいるのだろうか。
蠅取蜘蛛らしい脚を上に挙げた姿勢。こんな姿勢で絶命することは現実的にはあり得ない。
平日も作陶したいほどの勢い。
造形2hr、鉢の轆轤水挽き0.5hr、組立や加飾0.5hr、素焼き釉掛け0.5hr、本焼き研磨0.5hrの合計4hrが余裕を持った標準所要時間といったところか。作業前後の掃除なども加味している。うまく連続して作業した場合には鉢あたり3hrといったところか。