蟲作家のインスピレーションが沸く温泉旅館 赤城温泉御宿総本家

・虫が館内、露天風呂や脱衣所にたくさん出没する。蛾各種、カミキリ、トンボ、虻、足長蜂、竈馬などなど。

・館内の階段は急傾斜

・古い匂いがする。埃っぽい。

・設備はとても古い

・人工造形物のない山の景色の露天風呂

・ぬるめで長湯できる濃厚源泉掛け流し

・素晴らしく幾層にも結晶化している光景が見事

・廃墟然とした植物の茂る内風呂が廃墟好きには天国

・食事は昔ながらのメニューで派手さはないが美味しい。量がかなり多い。

本醸造酒赤城山が期待を超えて飲みやすく美味しかった。

・館内、所狭しと美術書と美術工芸品の山。

 

私が思いついた褒めフレーズは「虫作家にはインスピレーションの宝庫の秘湯温泉」。山小屋で寝られる人推奨といえば伝わるか。こういう宿に泊まってあれがないこれがないという無粋な文句を垂れるぐらいなら来るべきではない宿。

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大胡駅近くから「ふるさとバス」を予約して赤城神社まで送ってもらった。客は私たちだけにも関わらず指定した時間通りに予約することができて大人200円、子供110円という安さ。車はマイクロバスだった。利用率が少ないのに定期バスを巡回させるよりもニーズのある地点間を予約で運行させ、一部を利用者の乗車賃で補填しつつ運営した方が赤字は少ないという判断なのだろう。
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到着したのは赤城温泉の一番奥にある赤城温泉御宿総本家。群馬に住んでいる頃にも赤城温泉には来たことはなかった。よりアクセスの良い伊香保草津、四万などの温泉地があると赤城温泉には足が向きにくい。
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古いが部屋は広く快適だった。
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エアコンも新しく効きが良い。テレビ、冷蔵庫、WiFi完備、部屋にもトイレが付いている。浴衣、歯ブラシもあり。これで1泊2食大人12000円。€にして€65ほど。
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かりんとうがお茶請けで用意されていた。
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露天風呂は30分の貸切制だが回数に特に制限もなく部屋数が少ないからか不便はなかった。
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源泉掛け流しで溢れたお湯は崖下の渓流まで流れていく。
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温泉成分が濃いからか、岩の湯船には結晶がびっしり。
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それがまるで粘菌の大繁茂のような光景を作り出していて刺激的。
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配管パイプも結晶模様で覆われていた。
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私としてはなかなか感じ入るものがある。
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風も抜け、屋根もあり大変気持ちが良かった。
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ちなみに山奥の宿なので露天風呂にも蟲がたくさん来る。蛾は10種類ぐらい脱衣所や浴槽付近にいた。
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入浴前に浮かんでいるカミキリを掬い上げたが既に手遅れだった。南無。
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ふわふわと歩くザトウムシが葉の裏を上下逆さまに歩いていた。鈍臭い印象があるが動きが緩慢なだけで歩行能力は高いのかもしれない。
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なぜピントがズレている。残念。
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14:30に宿に着いてしまい他に誰もお客さんが着いていないので内風呂も撮らせて頂いた。唐沢鉱泉を思い出す緑が繁茂した内風呂。朽ちていく遺跡のようで廃墟好きにはたまらない。
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浴槽から溢れ出した鉱泉が結晶化して段々畑のような光景を生み出している。これが石灰結晶ならトルコの世界遺産パムッカレと同じではないか。
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土を扱う作家としてはずっと見ていられる自然造形美。排水に問題のない箇所は清掃と称して除去しないで欲しい。
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内湯の水面近くまで進出してきている苔と葉。廃墟と植物好きには理想的なコンボ。
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外湯は少しぬるいが内湯はしっかりと熱くて冬も安心して温まれる。

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逆光気味で若葉が輝いている。
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内湯の脱衣所にもあちこちに機能性に何の意味もない装飾品が置かれていて楽しい。
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調整されなくなって久しいレトロな体重計。
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裸足で歩くところに割れたら危険なものは置くべきではないなどと言い出したらすぐ撤去されてしまう。そういうことに目くじらを立てない人向けの宿。
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好みはこちらの長首壺かな。
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無駄にコンセント隠しがティーカップだったり
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見上げたら民藝的な地方の祭りで年に一度だけお披露目されそうな木面がかかっていたり。
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内湯の入口はこちら。左手が男湯、右手が女湯。
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円空仏のような荒彫りの木仏が置かれていたり
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館内が田舎の骨董美術商のような印象。
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帳場の横に不思議な一画。
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西洋的でありつつ観音様的なたたずまいでもあり。。
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そしてこちらが食事処。
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もう主人が多様なジャンルの庶民的なアートが好きで所狭しと並べた感じ。ガラスの器にも入れ上げてらっしゃるようでガラスの彩が眩しい棚も。
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それから館内には漫画がぎっしりと詰まった本棚があちこちにある。ちばてつやだとか40〜60年前の漫画が多い。ジョジョの第三部が並んでいるのがとても新しく感じるくらい。
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階段の踊り場だとか、なるほどね。なんとなく主人の惚れた世界観が垣間見えたぞ、と思える空間がある。
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晩御飯は昭和の宿のような献立で長いこと創意工夫や変化はないのかもしれないけれども一つ一つが丁寧に作られているようで美味しかった。川魚の塩焼きの塩加減が良くて冷めても美味しいのがその証左かもしれない。
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古希祝などで足弱の年輩を連れてきてはいけない。泥酔するのも危険。
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子供を部屋で寝つかせ消灯し、店内に散在する休憩所に腰掛けて23時半まで本を読んだ。足元を動く物体にびっくりとした。こんなに立派なカマドウマを見たのは小学生以来かもしれない。白と黒の縞模様でカマドシマウマと呼びたくなる。
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神の使いカミノツカイ、大黒の髭ダイコクノヒゲ、福蟋蟀フクコオロギとも呼ばれるカマドウマ。これは一つ、カマドウマの陶蟲夏草鉢を作れということだな。