金属造形作家 征矢剛(そやたかし)さんを目黒雅叙園の百段階段の展示で初めて知った。今回は蟲モチーフの作品の数々で私としては見逃せない。
たんぽぽの綿毛が電球になっていて灯るのだが、金属製の蟷螂が前脚を伸ばしている。
彼岸花に鳳蝶という幽玄な世界。
この人の蟲はかなり装飾的にデフォルメしていてアールデコの優美な飾りのようだ。この「セロ弾き虫」の翅や触角の曲線には強い美意識とこだわりを感じる。
自分がセロの演奏家ならお迎えする。
蟷螂が左右の前脚に天秤と剣を持った「それぞれの正義」という作品。背を向けていることにも意味はあるのだろうか。
私ももっと特徴を捉えつつデフォルメ化した作品を作れるようになりたい。土塊から蟲が形作られている過程のような作品だ。