12月1日からラフォーレ原宿の「愛と狂気のマーケット」に出展することにした。元々は2月にラフォーレ原宿の売り場作り責任者の方から声がけを頂き、事務所でお話を聞きに行った。ラフォーレ原宿の方は森ビルの社員だということも初めて知った。
「ネットでなんでも買える時代に実店舗だからこその生身の出会いと感触を提供したい。」
「売場には愛と狂気が足りない。」
「ハラジュク的要素に作風を寄せる必要はない。そのままの作風で良い。」
「原色やピンクのいかにもハラジュク的なカワイイではなくあらゆるジャンルの尖ったものを並べたい。」
「ここで売り始めて本業作家になった人も何人もいる。」
「3年やってきており自信がついてきた。より質の高いものを揃えていきたい。」
そんな話だったかと思う。流石に私の作風はハラジュクとは相容れないのではないかと話を聞きに行く前は疑心暗鬼だったけれども、1時間半ほどかけてプレゼンしていただき、閉店後の店舗を案内していただいた後には面白いかもしれないと思い始めた。
プレゼンの熱意に打たれたという話かもしれない。私のような無名の作家に声をかけ、忙しい中で勤務時間外に1時間半も費やして自ら発掘した作家で自分の思い描く愛と狂気の売り場を作っていく。優秀そうな方だった。その気持ちに応えたいとも思った。
確かに客層は20〜30代の女性ばかり。しかし実は私の作品を買い求めていただく方は若い女性が多いという嘘のような事実もある。客層の1/4が外国人だそうだが、それも面白い。博物標本、蟲好きが集まる店ではなく、ラフォーレ原宿という全く未知数な場所でどんなお客さんとの出会いになるのかも興味深い。
借りるスペースの大小によって場所代は月最小月2万円から20万円までとまちまちのようでさらに売上の10%を納めるがレジ打ちや商品の品出し補充、梱包も行ってくれる。2019年には来場者数550万人という集客力のあるラフォーレ原宿の立地と集客力を考えれば出品料固定費はそれで採算など期待できない破格の値段なのだと思う。新人アーティスト発掘ボランティア価格だ。やはり場違い甚だしく全然売れない可能性もそれなりにあると思う。しかし作品一個分の値段なら失うものはない。
そんなわけで出展まで1ヶ月を切ったのだが作品がまだ出来上がっていない。作り溜めた作品を20ばかし素焼き、釉掛け、本焼きしていく。
まず第一弾下段に9鉢。
上段に5鉢。素焼き待ちが6、本焼き待ちが4。
カワイイに寄せるつもりはない。しかし少しばかり漆と金粉で加飾したり、色の鮮やかなドライプランツを添えてみようかと思う。
破損や不良が出るとしんどいな。普段は信心などないくせに陶の神様に祈る時。