草彅剛、良い役者になったなと思った。アイドルとしての彼には興味はなかったけど、こういう映画に出てくれるのはありがたい。碁盤斬りは藤沢周平あたりの時代小説が原本かと思いきや古典落語が元なのだそうだ。
斎藤工演じる柴田兵庫は視点の違う異なる一欠片の正義を代弁しているようで、実際は芯までクズだった。
碁盤のように真っ直ぐに生きることを是として融通の効かなかった侍が清すぎる水に魚はすまないことを学び譲歩を受け入れていくような人情物語。
厳格で高尚な侍かと思いきや、汚名に耐えきれず切腹しようとしたり、怒りで我を忘れたりと未熟で人間臭く描かれるのも好感が持てる。
誇りやらのために意地を張って清貧を良しとしているようだが挙句に自分の娘自身が女郎屋に身売りするのを止められない惨めさには嫌悪感を覚える。誇り高いのは結構だが、家族を守れてこそ言うべきこと。
自己陶酔的な清廉潔白には虫唾が走る。清濁合わせ飲んだ上で清を是とするのが好みかな。