映画「国宝」

すごい映画を観た。伝統芸能、美術、工芸、映画作品としての歴史遺産、映像遺産になるような作品に思えた。映画館で観る価値のある映画。

 

「血筋よりも藝」

 

渡辺謙自身が藝の高みのために周囲を不幸にしながらも探究し続ける花井半二郎のような業の人だと思っている。

 

監督は李相日(リサンイル)という在日3世韓国人の方。重厚な人間模様の物語を3時間があっという間に感じる映画にまとめてくれたことに感謝しかない。単なる伝統芸能の映像美ではなく人を真ん中に据えた物語になっていることが素晴らしい。

 

打診すれば出演したがる歌舞伎俳優はいくらでもいるであろう中で演技力を見込んで吉沢亮横浜流星を抜擢しているのも熱い。スキャンダルに塗れようとも年老いるまで名作を演じ続けてくれる俳優だと思っている。

 

興行主のぼんぼんの変わりようも、文化事業を商業的に支える東宝という実体も敬服する。

 

そして私の使わせていただいている陶工房の先生の娘さんがキャストに連なっていたのにも胸熱。

 

結構な時間を涙ぐみながら惚けた顔して観ていたと思う。心を締め付けられるような。

 

私の作品を購入して「一目見た瞬間に心が掴まれ締め付けられて苦しく感じた」とメッセージを送ってきてくれた人がいた。まだ多くはないと思うけれどもそういう作品をもっともっと作っていきたい。

 

仇討ちに失敗した兄弟分の人生。

お互いに刺青をいれ、将来を誓い合うもライバルとかけ落ちる春江の人生。

写真家として国宝授与式でポートレートを撮る隠し子の人生。

歌舞伎など興味がなかった興行企業の御曹司の人生。

一人一人の人生を想像してしまう。半年後に原作小説を読もう。