昔、ルーマニアで働いていた。まだ共産主義時代の気配の残る国で平均月収は6000円ぐらいの豊かとは言えない国だった。その頃、家に泊めてくれたり遊んだり街を案内してくれた友人だ。私もみんなもお金なんてなかったのにあまり払わせてくれなかった。
10年後、ボーイフレンドと一緒に日本の我が家に泊まりに来てくれて息子と一緒に国内旅行に行ったりもした。帰国後はウクライナ難民支援キャンプで働いたり直近はカンボジアで子供達の支援をしながら英語教師をしていたそうだ。

お土産に陶器のカップをくれた。タタラに型に押し当ててクメール美術の尊顔に整形した物を貼り付けて釉掛けして焼いた物。生活の糧を稼ぐための民藝観光土産だろう。手なりの無為さが感じられるゆるいフォームで、過剰な装飾を排して、抑制的で、美しく、実用的でもある。
私の好みをわかってるな、と嬉しくなった。駅まで送っていく際に公園で催されている青空マルシェのような物産展を覗いた。食用の乾燥キノコを見つけて衝動買いしてしまったのだが彼女はすかさず、「それあなたの作品に使うんでしょ」と言ってきた。わかってるなあ。