
妻籠宿の京都よりのほうにあるお宿松代屋。かつては木賃宿であったらしい。つまり殿様が泊まる本陣やお侍さんが泊まる旅籠ではなく一般庶民の旅人が泊まる宿だ。
予約時に宿の主人から寒いので覚悟してください、不安があればいつでもキャンセルしてくださいと脅されたぐらい。


街道に面したこの宿の中でおそらく一番上等な部屋をあてがってくださった。というのもこの季節、しかも平日とあって宿泊客は私たちだけ。
三間続きの贅沢さよ。混雑時は襖を挟んだだけで何組もが泊まるのでいびきのうるさい客が隣にくるともうどうしようもない。そんなことも含めて体験してもらいたかった。
庭には防火用水も兼ねた池があり巨大な鯉がひしめく。

お風呂は檜風呂で天窓もあって風情がある。ただし寒い。追い焚きも朝風呂もない。それでも温かい風呂に身を浸せるのは幸せだ。風呂自体が贅沢ということを思い知る。

甘辛く味つけられた鯉の甘露煮。
松代屋と蝋抜きされたご飯茶碗。白米も美味だった。
おでん
イワナの塩加減が絶妙でパサつきもなくとても美味しかった。
茶碗にお吸い物
七笑という地酒を熱燗にしてもらったのだが、サラサラと大層美味しかった。豪華食材というのはないかもしれないがお腹いっぱいのご馳走だった。そして何より水が美味しい。息子と水が美味い、水が美味いとお代わりした。
宿の主人はとても親切、朗らかで快適な滞在だった。宿には「貸さない 売らない 壊さない」という妻籠宿保存の掟というか誓いのようなものが貼られていた。この宿場町に生を受けたらいろんな生き方が半強制的に決まってしまうのかもしれない。それらとうまく折り合いをつけてくださっている人たちのおかげで楽しい旅の思い出を作れるのだよな。