2019年パリ出張戦利品

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  • 2019年パリ出張の戦利品。スーツや革靴、着替えなどを入れることを考えると、ここら辺が限界。スーツケース重量は28kgになった。

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  • マリアージュフレール紅茶 アールグレイ D'or 黄金とマルコポーロ ブルー。マリアージュフレールアールグレイのフレーバー種類が豊富な紅茶ブランドで、日本だとフレンチブルーやインペリアル 、ウェディングブルーなどぐらいだがフランスの店舗にはもっと種類が多い。
  • インドの木箱入りオーガニックダージリン紅茶はインド人同僚からのプレゼント。(貢物?)
  • 中央の白い大きな紙袋のものはMaison Colibriのピスタチオマドレーヌ。10個が個別包装になっているのでばら撒き用に重宝。
  • トルコ青の缶はMont-Saint-Michelのバタークッキーレモン味。缶は食べ終わったら子供のオモチャ箱に使ってもらおう。レモン味はアタリだった。爽やかな酸味が一捻りされていて、しかも日本にはないフレーバーで良い。
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  • 実家御指名のトリュフ塩。トリュフと聞くと豪勢に感じて一度は買いたくなるが、トリュフの香りが強すぎて料理全体が支配されてしまいかねないかなりの料理上級者向けアイテムだと思う。私は使いこなせない。
  • 粉末ブイヨンを鶏と牛肉それぞれ。100%天然素材。ジョエルロブションによる共同開発。日本でも売っているが1750円。4倍近い値段だ。
  • プロヴァンの薔薇ジャムは友人への土産。
  • プロヴァンの薔薇マスタードは自分の冒険用。ハラミステーキに薔薇マスタードが合う勝算は3:7だと思っていたが、友人からの評価は上々。そこまでキワものではなかった。
  • ジャックジュナンの生キャラメルは妻の指定品。チョコやプラリネよりもマンゴー、木苺、カシスなど果物味が美味しいそうだ。
  • ジャックジュナンのチョコレート詰め合わせ×2個。ベルガモットやフランボワーズなど好みの9個を選ばせてもらった。
  • ジャックジュナンだけで60€もした。メゾンドゥショコラのグランショコラティエが独立した店舗で日本未上陸ともなると贈物にも使える。もはや税金のような妻への献上品。

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  • エシレバターを有塩と無塩それぞれ350g。スライスして冷凍すれば長く使える。
  • モノプリPBのアーモンドビスケットは見た目の華やかさはないが味はダントツだと思っている。アーモンドの風味がとても豊かでしかもさほど甘くないのも嬉しい。箱も小さめ。職場で食べようと自分用に買って帰ったが妻に召し上げられた。5箱くらい買ってくればよかった。

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  • ラクレットチーズはモノプリPBではなく三種詰合せのものを買ってきた。プレーン、黒胡椒、ハーブ。黒胡椒入りラクレットが美味しいことを発見。
  • 修道士印のチーズは安定の美味しさ。日本でもっと取り扱うべき廉価で日持ちもするセミハードチーズの良品。
  • カプリスデドュー クリームチーズ
  • SaintAgurのゴルゴンゾーラチーズ。
  • 子供用に栗ペーストのチューブ3つ。
  • さらにカフェ経営する知人に大きめの栗ペースト缶を一つ。

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  • チョコレートビスケット各種詰合せ
  • 空港で小銭処分に買ったバタークッキーレモン味とショコラそれぞれ

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  • 最後に友人からの依頼品のフレンチ ウルトラマリン ブルーの絵画用ピグメント。膠に混ぜたら日本画にも使えるのだろうか。同じ分量でコバルトは5倍の60€もした。画家は売れても売れなくても絵を描くのにすら結構な金がかかるのだな。
  • キャッシャーであなたは画家かと聞かれたので、「これは画家の友人の頼まれものです」と伝えると、それならディスカウントできますと15%も割り引いてくれた。証明書の提示を求められる訳でもない。流石、美術と芸術の国、フランス。
実はクリニャンクールでアンティークの木製絵画用額縁を買おうと思っていた。子供の絵を不相応なぐらい豪華な額縁にあえて入れて飾ろうと思って探し歩いた。
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ひとつ気に入ったものが見つかったのだが、18世紀のもので300€だそうだ。そんな古いものでなくてもいいのだが。あまりに高いので断念した。

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ようやく見つけたパリ本場のB級スポット、死臭と耽美の猟奇の館、自然狩猟博物館

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フランスは永らく猟犬を育て鳥獣を狩り食す文化を持つ国で、そんな文化を知ることのできる博物館がポンピドゥセンターからほど近い場所にある。

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鹿を食用に狩猟し、その皮や毛を活用したり、頭骨を飾ったり、家具にしたり利用するのは私の中では構わないと思っている。しかしここにはアフリカ大陸などの珍しい角を持つ草食獣が好奇心から狩られ、高尚で富がなければできない趣味として見せびらかしてきた歴史も教えてくれる。

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男女差別、人種差別、ビーガン、動物愛護、食料廃棄、ファーストアパレルの大量在庫廃棄、マイクロプラスチックなどフランスの市民レベルからも多くの理解を得て提起されている社会問題は多い。しかし、強烈にそれらをやり尽くしてきた国の人達がそのカウンターカルチャーとして社会問題を提起し、意識高いヅラをして、自分らほど熱心でない他国の人達を後進的かのように見做す様には鼻白む。

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レディーファーストは男性優位社会特有の線引きだし女性の美醜の格付けまで熱心にやってきたのはフランス。アジアやアフリカを侵略して回り、今でも人種差別をし接客対応が露骨に異なるのはフランス、食料廃棄率が最も高いのもフランス、ファーストアパレルとてZARAのフランスでの成功は大きい。散々娯楽目的でも狩猟してきたのもフランスだ。日本の霜降り牛など日本も他国のことをとやかく言えないがフォワグラやら美食の為に家畜を虐待的に扱ってきたのも事実。度合いが強いからこそ問題に気付きやすいという点もあるのではないか。

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誰もが自己主張をし多くが政治的主張にも加わり行動も取るのはフランス人の良いところとも言える。フランスには他国や人を責めるのではなく、自国の問題を優先的に解決し、その解決法を他に提供する形で貢献して欲しい。

ちなみにエネルギー政策においては原爆被爆国であり、原発運営で致命的な過ちを重ね続けている日本こそがその分野でリードして欲しいものだが残念でならない。

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それにしても偶蹄類の顔はどの角度から見ても美しい。


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灰色の老いた猪の頭部剥製があった。森の主だったのだろうか。その白い毛は森の中では目立っただろう。追いかけ回され、追い詰められ、討たれたのだろうか。せめて狩り手の二、三人でも道連れにしたかもしれないが、犠牲になったかもしれない勢子は単に駆り出された農民やら下僕だったかもしれない。

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幼児連れのフランス人家族が多い。ほら、牛さんだよ、ライオンさんだよ、という動物園感覚で連れてきている様子。

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この博物館自体は幼児子供向けに作っている意図はないようで、子供が触りたくなるようなものは皆どれも触れることは禁止されており、館員が都度都度、注意している。

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「怪獣たちのいるところ」変身ブーツ。子供が履きたそうにしていた。それはね、熊さんを撃ち殺して、脚を切断して、皮を剥いで作ったのだよ。


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大きな広間では巨大なスクリーンに、何もない閉鎖空間に狼と鹿を閉じ込めて観察している映像を繰り返し再生している。「ほら、鹿さん」みたいに子供に促している親も多々いて、その表面だけを消費する珍妙さや俗悪さを客と一体で構成する展示のようでもあった。鹿は逃げ場のない空間に捕食者と入れられて落ち着かなく、思考停止しているようでもあった。


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この眼は断末魔の狂気。狩猟者に息絶えるまでの数分にあらん限りの呪いをぶつけている眼。

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こんなポットを開けて、「見よ、朕が今日、仕留めた猪肉のシチューである。美味そうであろう」なんてやってきた歴史を持つ西欧の支配者達には帝国主義の植民地競争では勝目がなかった理由がわかる気がする。

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おでこにドングリ載せるなよ!

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時代が下ると、死んだ猪もエレガントに静かに、諦めの雰囲気を纏うようになっていく。釉薬の流れを活かして毛並みを表現する超絶技巧付き。

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この博物館の中で最も猟奇的に思えたのが何世紀にもまたがる猪の陶製ポットコレクション。

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一時代の一作家の悪趣味では済まされず、何世紀にもわたって改良に改良を重ね表現が探求されてきた、気まぐれではなくしっかりと根差した一潮流だと言うことがわかる。何せ、その時その時の貴族や為政者が造らせ続けてきたのだから。

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よりグロテスクに、よりリアルに。肉片に調理されても対象の元々の姿と死と苦しみを再度感じながら食べるその胆力。

 

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幻想的な展示が並ぶ。

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何年に誰々が作りました、高さは何メートルで。。。なんて陳腐なガイドではなくこういう展示にこそどんな意図を込めて造られたのか解説が聞きたい。

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美しいのだけれど背徳的。

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この梟は目が完全に人間のそれで座っている。なぜ、人間の肩幅にシルエットを作るのか。

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なぜ天井を見上げたら視線が合うように作るのか。夜中に起きて天井にこれがあったらトラウマものだ。

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澁澤龍彦氏ファン、猟奇愛好者、バロック好き、ベルセルクファン、そして華の都パリでカタコンベに行くような人にはもしかしたら呼応する幻想世界かもしれない。

 

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切り倒された樹々、斬り落とされた首。寓意は何だろう。ハイエナの表情がなんとも活き活きとしていて、絵全体の印象は秋晴れのように爽やか。鼻からの血の垂れ方に写実性がある。

 

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可愛らしい子鹿の壁紙かと思いきや。

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リッピング

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狩猟文化を単純に賛美せず、グロテスクさを隠さないところが良い。ようやく変質的なフランス人の好奇心と毒とユーモアを感じられるB級スポットを見つけられた気がする。


死臭と耽美の猟奇の館。甘く可愛いパリに飽きた人にオススメ。


セーヴル国立陶器博物館 厳選三作

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テラコッタに水彩絵具で彩色したかのような風合いと簡素なままで作り込んでいないが完璧とも思える造形に足が止まった。

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胸像の大きさといい、部屋の中で引力を持つ大きさと、支配的になりすぎない柔らかい色彩。こんな空気感の日本女性の胸像を作れるようになりたい。

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瞳もぼやけているのだが遠目から見ると丁度良い。

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こちらは一級の絵画が陶器に絵付けされているシロモノ。ありきたりに美しいとしか言いようがない。

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例えば白信楽土に段階的に赤土や黒土を混ぜていった泥漿で絵を描いてみたらどうだろうか。削れて下地が露出するのが恐ければ透明釉を掛けて焼成すれば良い。

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半透明の志野、あるいは月白のような釉薬を用いて薄い布の透け具合を表現した傑作。

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その指先の細部に至るまでの造形も完璧だが釉薬の特徴の活かし方に脱帽。

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写実的な美術は西欧がやはり抜きん出ているのか。

セーヴル国立陶器博物館

昔は食器など全くもって興味を示すことはなかった。今も絢爛豪華に装飾した絵付け磁器に興味はないのだけれども、こうしてセーヴル陶器博物館で3時間近くも過ごすほどに陶器に興味関心が出たのは不思議なものだ。

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今現在、全く興味はないが10年後、20年後に興味が出るものは何があるのだろうか。着飾ること、歌うこと、車や腕時計、生け花、茶道、踊ること。自分がどう変わるかは案外わからない。

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階段を上がった入口にあるのがこの像。

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この頃の染付けは適度に粗くて緊張感がなくて良い。この像は青が抑制的。

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こんな浮かし彫りのような飾り陶板を作ってみたい。天使や雲の代わりに多肉植物を象って。


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く、臭い!という絵。


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アール・ヌーヴォー


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光の反射具合から上絵付けなのがわかる。それにしても繊細で鮮やかな図案。f:id:mangokyoto:20190316183527j:plain


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七宝焼きに近いように見える。エナメルか。

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陶人形の造形力が尋常じゃない。

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この指。

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この脚の踏ん張り。


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陶芸美術がフランスにおいて行き着いたのは塑像と絵画の融合なのだな。しかも両分野ともに恐ろしいほどに技術蓄積がある。

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陶板に描く絵でもここまでやれますという、これ見よがしの嫌がらせのような技術自慢。

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セーヴル陶器博物館は洋食器皿だけでなく壺や陶製の像などもふんだんに展示されており素晴らしかった。

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製作所を見学したかったが非公開とのこと。

花の乱れ咲く動態展示の秀逸なシャノンソー城

橋の形をしたシャノンソー城。元々はシェール川にかかる製粉場だったものをシャルル8世の侍従が城に設え、さらにアンリ2世の所有となった後に妾のディアーヌ・ド・ポワチエが相当、手を入れて作り込んだらしい。

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絶大な影響力を持った愛妾が自らの慰めに愛着を持って手をかけて育てたものは一般的に素晴らしいものが多い。容姿と才覚で愛されながらも、その正当性の無さから苦悩も深く作り出される精神世界は繊細複雑になりやすいのかもしれない。

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歴代女性館主が織りなす歴史はドラマに溢れたもので、戯曲やら最近のテレビドラマやらにもなっているらしく、フランス人同僚にシャノンソー城に行ったことを話すと、フランソワ1世や愛妾ディアーヌ、正妻カトリーヌなどの名前が簡単に出てくる。日本で言うところの大奥、春日局などの知名度だろうか。

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シャノンソー城では至る所に花々がアレンジされていて、それが保存された史跡ではなく息づいた空間に感じさせてくれて素晴らしかった。

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日本にも豊かな生け花の文化があるわけで、自分の作品を見て欲しい、それなりの技量を持った生け花愛好者も多いと思われる。人の多く集まる文化財や史跡に常に篤志で花を生けてもらう仕組みを導入できないものか。1週間区切りにして、観光客に気に入った作品に投票してもらう。

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文化財や史跡は無償で空間を花で飾ってもらえる。

展示者は歴史的な建造物など非日常的空間で活ける経験が積め、なおかつ大勢に見てもらい、評価もされる。

そして観光客はより彩りのある空間を楽しむことができる。花で飾られることで魅力も集客力も上がるかもしれない。

そんな仕組みを作れないものか。

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こういう、まだ花も咲いていない緑や枝もうまくアレンジするところが好感が持てる。

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橋の上の回廊は舞踏会場として使われ、今は美術館のように展示がなされている。

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この巨大な焼き菓子型はそのまま、陶植木鉢の型に使えそうな気がする。クリニャンクールで売っていないか探してみよう。

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台所には猪や鹿を丸ごと一頭、吊り下げられる解体場があった。分厚い台の板が歪んでいた。重量物を置いて、さらにそこで斧や巨大な包丁を打ち下ろしていたのだろうか。

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ハンドルをくるくると回すと三連の豚や鶏の丸焼きが回しながら焼ける便利なシロモノ。バームクーヘンを焼くことはあっただろうか。

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なかなか歴史的価値の高い史跡の暖炉に火を入れるなんてことは珍しい。ああ、これだけ大きな暖炉を炊き続けてこの程度しか暖まらないのだな、ということがわかる。

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シャノンソー城をそのまま模して陶箱植木鉢として作ってみたい。橋状の土台が排水性に考慮された脚そのもの。

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桜だ。日本も咲いているだろうか。

 

パリからの日帰り遠足に穴場、シャンパーニュの旧首都プロヴァン。

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Provinsというイル・ド・フランス県の南東部の小さな街へ出掛けた。シャンパーニュ伯爵領の首都として栄えた中世の商業都市だそうだ。プロヴァンというと南仏のプロヴァンスと勘違いされることが多く、パリに住むのが長くとも知らない人は案外、多い。

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11世紀の街並みを残している世界遺産の小さな城塞街なのだと説明しても、ふうん、そんな所があるなんて聞いたことがない、と反応されることが多かった。

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まずは観光客がそもそもまばらにしかこの終着駅では降りなかったこの街で、さらにその数人が向かう方向とは逆の新市街にある古い教会から訪れてみた。

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ルネサンス期を思わせる巨大なフラスコ画を装飾する木製の祭壇。大きく割れることもなく、まだ油分を含んでいるような艶を持っている。このレベルのものが、さほど知名度もない観光地街の外れにある教会にあるのだから全体の美術芸術の裾野の広がりと分厚さを感じさせる。

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浮かし彫りの木彫画も見事なものだ。

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この街中で2、3箇所の教会を回ってみたものの、ここほど立派な装飾や絵画、ステンドグラスを備えた教会はなかった。

 

このステンドグラスの左端の一角だけでも家の大広間の窓にでも掛かっていたらさぞ素晴しかろうに。宗教画を無理に日本の木造住宅に嵌めるぐらいならば、和風柄のステンドグラスを作って家の内庭に向いた窓に嵌めたい。輪郭はさほど細かくないし、顔や細部を画家の友人に描き込んでもらったら見応えのあるものになるのではなかろうか。

 

抽象画のようなステンドグラスも見たが、輪郭だけで描いたこのステンドグラスの作風は初めてかもしれない。精緻に作り込まれたゴシック教会建築に抽象化され過ぎた図案は合わないと思っているのだが、これはその匙加減が丁度良いのではないか。

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横廻廊のステンドグラスはこれまた作風がガラリと変わり、並ぶ三窓が連続とした色合いになっていてこれもまた遠目から見て素晴らしかった。


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教会を出て、坂道を登り新市街へ。城壁に囲まれた典型的な城塞都市へ。テラコッタの屋根にはこんもりと苔が群生している。ここまでのコロニーがテラコッタのような無機物の上に育つにはどれだけの年月が必要だったのだろうか。

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丘の上の広場を囲むようにレストランが並んでいた。ここらの家屋は木組みが露出していて、少しドイツやオランダ的雰囲気がある。木組みと土壁の間が剥離して隙間が生じたりしてないところを見ると寒暖差と乾湿差が少ないのか。いや、経年後にメンテナンスを重ねて隙間に壁を詰めたからかもしれない。


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サラダ、ガレットとクレープのセットを食べた。12€。ガレットにはほんの少しばかり辛いチョリソーとブリーチーズが挟まっている。ブリーチーズはここら一体の名産らしく、ガレットが一段とクリーミーな味わいになって美味しかった。 f:id:mangokyoto:20190310215714j:plain

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クレープもこれまた絶品で、山盛りの生クリームを別で出してくれるのが有り難かった。クレープよりも生クリームのほうが甘みが少なく軽く、たっぷりと生クリームを食べられてしまって危険この上ない。

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Provinは薔薇の産地として有名だそうで、薔薇を使った土産物が並ぶ。薔薇の香水、薔薇の石鹸、薔薇のコンフィ、薔薇の塩、薔薇のキャンディ。

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思わず薔薇のマスタードを買ってしまった。美味いのかね。帰国したら、低温真空調理したハラミステーキと合わせてみようか。

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城壁の外には緑の穀倉地帯が広がっていて長閑だった。城壁の階段に腰掛けて30分ほど放心する。この頃は誰から身を守っていたのか。

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三月のパリ周辺にしては珍しい快晴。


シャンボール城内装。玉座、王冠、鹿の角。

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 この窓を見た際に、シャンボール城は居住性が悪かったとの説明が腑に落ちた。こんな窓を毎朝、自分で開けたくはないし、眩しいから閉めたり、寒いから閉めたり、手を加えるのにいちいち誰かに指示をしないといけないなど面倒極まりない。

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 見せびらかすには素敵な陶製の暖炉だけれども、このお宝のような暖炉を各部屋に設置して大量に薪をくべないといけないとなると考えもの。

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銅製鍋がサイズごとにずらりと並ぶ様は見ていて気持ちが良い。

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キャス・キッドソン。Cath Kidston。もう、それにしか見えない。

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 こちらもキャス・キッドソン系。見上げると絶妙に甘い濃ピンクと青の乙女の絵が掛かる。童話のような、少女漫画のような城住みの女の子たちの部屋。

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そしてこちらは王の間。

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こんな形の植木鉢を作ってみようか。金の王冠躯体はラスター光彩釉で、そして赤い布地部分を鉢にしてそこから多肉植物が十字の下から這うように育っていく。

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 賑やかな玉座

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 これぐらい立派な椅子がやはり玉座に相応しい。鮮烈な紅色のバラードに王家の紋章。金塗りの椅子は肘掛けの先が狩猟犬の顔となっている。多分、手持ち無沙汰に犬の顔を撫で回したくなってしまうのだろうな。

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どや。ルイ十四世はここで産まれたそうな。太陽王と言われるとそれらしい派手な出で立ち。

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これが玉座ですって?!!ここはお墓よ。あなたとあたしの。」

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ワインテイスティングをさせてもらった回廊には狩猟した鹿類のハンティングトロフィーがずらりと飾られていた。

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ヘラジカや大角鹿、レイヨウなど様々な種類。年代は1960年代や1970年代のもので、別に礫器的なものでは全く無いようだ。フランソワ1世の時代には狩猟の拠点として使われていたという話なので、かつてもこのように骨が並べられていたのかもしれない。


2時間では足りないぐらい見所に溢れていた。本当は2時間ぐらい持ち込んだ小説を読んだり、カフェでお茶したりしてゆっくりと雰囲気を味わいたかった。