映画

「竜とそばかすの姫」と実名で何かを表現することについて

子供達を連れて朝8時の回で細田守監督の「竜とそばかすの姫」を観てきた。この映画の中身に対して事前情報が無かった。単にカンヌで上映され14分間のスタンディングオーべーションが起きたというニュースを見て、子供を家から連れ出して外で時間を潰さないと…

スコセッシによる遠藤周作「沈黙」

キリスト教は火縄銃と共に日本にもたらされたというのが象徴的に思える。厄災とより大きな厄災か、厄災と希望だったのか。 映画で提起される問いのひとつ。なぜ多くの国でキリスト教は迫害を受けながらも普及したのに対して日本では根付かなかったのか。 日…

THIS IS US 36歳、これから

36歳を迎えた兄弟3人とその親、子を交えた3世代の心の襞を丁寧に丁寧に描いたアメリカの連続ドラマ。派手に撃ち合ったり、人が死んだりしない。アメリカにおける小津安二郎的なドラマで親子関係をたっぷり時間を割いて描いていく。 アメリカ人はビタミン剤や…

私のイスラーム時代に引き戻してくれる映画「キングダム・オブ・ヘブン」

私は若い頃、イスラームなものに溢れた世界にいた。 日に5回、街にアザーンの祈りが響き渡り 挨拶はメルハバやアッサラームアライクンで 暑い陽射しの下で、髭だらけの男と頬を触れ合わす挨拶を交わしていた。 ターバン、ジュラバ、ヒジャブといった大きな布…

米連続ドラマ「シカゴ ファイア」に中毒

最近、アメリカの連続ドラマシリーズ「シカゴ ファイア」にはまっている。どのくらいはまっているかというと連日、数話も日付が変わるまで観てしまう。 シカゴの消防署、消防隊員を巡るドラマで毎回、映画のような本格的な迫力ある火災や事件現場が繰り広げ…

日本映画史上最高興行収入記録を打ち立てた「鬼滅の刃」を原作を知らずに観る

息子にせがまれて重い腰を上げて映画「鬼滅の刃」を観に行った。公開から随分と経った朝8時からの回にも関わらず6割以上も客が入っていたのは驚きだ。 興行収入が日本映画で最高記録を塗り替え、2度、3度と観る人が多いという話は聞いていた。幼稚園に子供を…

映画「レオン」と殺し屋が愛した植木鉢

深夜、映画「レオン」を観た。 繰り返し観たいお気に入りの映画を50本探したいと思いながら映画をあれこれ観ているが、既に50選に入っている映画の一つ。 ここ最近に観た映画がどれもイマイチだった。繰り返し観たい映画を探しながらもお気に入りを何度も楽…

映画「日々是好日」

「世の中にはすぐわかるものとすぐわからないものの二種類がある すぐわかるものは一度通り過ぎればそれで良い けれど すぐにはわからないものは長い時間をかけて少しづつわかってくる」 映画より引用 いい映画だった。 静かな「間」と雨の音、水の音、雪の…

2020年に観た映画35本の振り返り

振り返ると、それなりに35本以上も映画作品を観ていたようだ。上半期は暇だったから。下半期はしんどすぎて現実逃避に何本も観たように思う。私の主観評価で世間ではもっと評価の高いものもあれば、低いものもある。もっぱらAmazon PrimeとHuluで観ているの…

ブラッド・スローン

順風満帆のエリート人生を歩んでいた男が飲酒運転で友人を事故死させたところから転落していく様を描く。Shoot Callerという原題がブラッドスローンに変わっているが血の玉座という意味か。ニコライ・コスター・ワルドーはゲームオブスローンズでもジェイミ…

人生が「リミットレス」なブラッドリー・クーパー

リミットレス (字幕版) 発売日: 2013/11/26 メディア: Prime Video 人間は普段、能力の20%しか活用できておらず、それを100%活用できるが致死的な副作用を持つ薬の力で成功を掴む男の話。 単なる破滅の話で薬物使用を戒めるような話だと思ったが、違った。こ…

MLB黒人暴行騒動を起因して吹き荒れるデモと暴動。ホラーコメディーの傑作「帰ってきたヒトラー」

最近のニュースをみるのがしんどい。アメリカでのコロナ禍が止まらない中で起きた警察官による黒人市民の不当殺人、その犯人の警察官の名字が盲目的愛国主義、排斥主義者を意味するショービニストのモデルとなったフランス人と同じ苗字であるCHAUVINというの…

COVID19下でこそ見応えのある映画数本

幸せの絶頂で悲劇の名作を観てもいまいち味わい尽くせないように、その時の世相や状況でより味わい深くなる映画があるのだな、と思った数作。 コンテイジョン Contagion ☆☆☆☆ COVID19後に作られたと思うような、8年前に既にCOVID19を予見していたかのような…

映画「鉄道員 ぽっぽや」

鉄道員の自己陶酔が理解できない。 駅員の代わりなんてどうにでもなるんだから家族を大事にしろよ。代わってくれる人はいるから、少しは甘えろ。 娘の最期に立ち会えよ。 苦労をかけた妻の最期に立ち会えよ。 後悔だらけじゃないか。 1歳で亡くなった娘が幸…

2019年に観た映画36本の勝手な感想と備忘録

私には1000本の映画を観てその中から繰り返し観たいお気に入りの映画50選を見つけ出したいという細やかなライフワークがある。その一環で観た映画の備忘録を残そうと心掛けている。 なんだかんだ、2019年は海外出張の機上で30本以上の映画を観た。国内の映…

物議を醸す大ヒット映画「ジョーカー」

『ジョーカー』映画前売券(一般券)(ムビチケEメール送付タイプ) 出版社/メーカー: ムビチケ メディア: Video Game この商品を含むブログを見る 案の定、渋谷のハロウィンには安易な「ジョーカー」に扮した輩が多かった様子。服も調達しやすいし、顔のメイク…

半世紀前の映画の魅力 ラピュタ阿佐ヶ谷で「渥美マリ」作品

阿佐ヶ谷のジムで汗を流し、ふらりとラピュタ阿佐ヶ谷に足を向けたら1970年の映画のレイトショー上映があった。取り敢えず、観てみることにした。上映していたのは渥美マリという昔の大映女優が主演の「続いそぎんちゃく」という作品。別に日活ポルノのよう…

映画「グレイテストショーマン」「ペンタゴンペーパーズ」「ホスタイル」「ブラックパンサー」「「アイ トーニャ」「レディバード」

「グレーテストショーマン」☆☆☆☆ 「ペンタゴンペーパーズ」☆☆☆ 「hostiles」☆☆ 「レディバード」☆ 「ブラックパンサー」 「アイ、トーニャ」☆☆ 「グレーテストショーマン」☆☆☆☆ 笑いあり、涙ありの王道ハリウッドミュージカル。しかも歌謡的じゃなく速いリズ…

最近の話題映画「ウィンストンチャーチル」「スリービルボード」「ブレードランナー2049」「デトロイト」「バリーシール」「キングスマン」「はじめてのおもてなし」「シェイプオブウォーター」「砂と霧の家」

「Darkest Hour ウィンストンチャーチル ヒトラーから世界を救った男 」☆☆☆☆ 「Three Billboards Outside Ebbing, Missouri スリー ビルボード」 ☆☆ 「Blade Runner ブレードランナー2049」 ☆☆☆ 「Detroit デトロイト 」☆ 「American made バリー・シール ア…

映画「42 -世界を変えた男」

42~世界を変えた男~ [DVD] 出版社/メーカー: ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント 発売日: 2014/11/05 メディア: DVD この商品を含むブログ (4件) を見る 副題が蛇足でしかない。邦題のセンスのないこと。ありきたりの安っぽい感動ドラマ感を副…

映画「モード」、「ヘッドハンターコーリング」、「二つ星の料理人」「オールアイズオンミー」「ゴーストストーリー」「ダークタワー」「ベイビードライバー」「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」

目先の損をしても自分の信念を押し通す。自分にとって価値のあるものからブレてはいけない。そう思わせる作品数点。忘れっぽいから時々、こういう作品を見て自分の立ち位置を再確認することは有意義だと思う。 MAUDIE ☆☆☆☆ しあわせの絵の具 カナダの実在の…

自我とはなんぞや。映画「ゴーストインザシェル」、「教団X」、「サイコパス」

「ゴーストインザシェル」 22年前の名作アニメーションを最新技術で実写化した。 アニメーションは伝えたい要素を抽出し、無駄な情報を削ぎ落とした芸術表現なのだと改めて思った。同じ尺で実写にした結果、情報がうるさすぎて、展開に間や余韻がなさすぎて…

映画「ムーンライト」「レヴェナント」「夜に生きる」

「Moon Light」☆なし LaLaLandがアカデミー各賞を総なめにする勢いだった中で、作品賞受賞ということで観た。感情移入することもなく、あまり深い感情の動きを察することもできず、いつの間に映画は終わった。ゲイではないと同感しづらい孤独や悩みなのか。 …

小説「スペードの3」「仏果を得ず」に自己投影

「スペードの3」 「何者」で戦後最年少直木賞を受賞した朝井リョウの作品。 子供たちの嫉妬や不安、加虐性、優等感、劣等感などは誰もが少なからず似た経験をした青春期の思い出として苦く生暖かく受け入れられがち。その一方で大人の嫉妬や悪意は肯定しよ…

映画「LaLaLand」「手紙は憶えている」「ザ・コンサルタント」「マリアンヌ」「人間の値打ち」「聖の青春」「永遠の0」

フランス往復の機中で観た映画備忘録。 「ララランド La La Land」 ☆☆☆ 「ザ・コンサルタント The Accountant 」☆☆ 「手紙は覚えているRemember」☆☆☆☆ 「マリアンヌ Allied」 ☆ 「人間の値打ち Il capitale umano」☆ 「永遠の0」☆☆ 「聖の青春」☆ 「この世界…

映画「フライトゲーム」

教師だって警官だって弁護士だって、その職業が本人の清廉性や人格を保証してくれるわけではない。 アル中でヘビースモーカーで人生に失敗した疲れ果てた航空保安官だっている。そんな航空保安官がハイジャック犯に嵌められ、濡れ衣を被せられる中で乗客を救…

河合隼雄著「働き盛りの心理学」

昭和55年の統計データなんかを元に論じられている河合隼夫氏の少しというか、かなり古い本。古い本にも拘らず目新しさが殆どないということに、新鮮な驚きがあった。 親が子供に物質的に貧しい時代の幸せの在り方を示せても、物資的に豊かな時代の幸せの在り…

中年クライシス小説「月と6ペンス」

敬愛する河合隼雄氏ですらミスは犯すのだな。 買ってから暫く放置していたサマーセット・モームの「月と6ペンス」をおもむろに読み始めたら止まらない。これこそ河合隼雄氏が「中年クライシス」に収録すべきだった大人の中二病小説ではないのか。収録した数…

映画「君の名は。」

アラフォーに差し掛かる友人知人の高い評判を聞いてアニメ映画「君の名は。」を観た。世の中には素晴らしいものがまだまだ沢山あるもんだな。新海誠監督のような存在がいることが有難い。 素晴らしいものを享受する側、消費する側にいて、産み出す側に立て…

村田沙耶香著「しろいろの街の、その骨の体温の」

「コンビニ人間」で芥川賞を受賞した村田沙耶香さんの2014年の小説。いまだに週に3回ほどコンビニに勤務し、勤務した日だけ、夜2時頃に起きて朝6時まで執筆するらしく、朝井リョウや西加奈子ら小説家仲間からの渾名が「クレイジー沙耶香」だとか。 小説家は…