映画備忘録

ネタばれしない範囲で薄いコメント付きの映画備忘録

 

タリーと私の秘密の時間 ⭐︎⭐︎⭐︎ 百選入り

シャーリーズ・セロンが3.5ヶ月の間に22kgも体重を増やして臨んだその役者根性ばかりが語られがちだけれども作品としても良かった。

聞き分けのない子供のわがまま、真夜中の夜泣きと睡眠不足、仕事が忙しくて不十分な範囲での「手伝い」しかしない夫、散らかった部屋、親としての自信喪失、そして孤独と疲労。いつ終わるのかもわからず発狂して絶叫したくなる子育て真っ只中の人や、そんなしんどい時期を乗り越えた人には思うところが多々ありそうな観る人を選ぶ良作。

私も身重の妻が半年も長期入院してしまい、母親から離れて不安定な言葉も通じないオムツの取れない2歳の長男の世話をした暗黒期を経験しているのでこの映画を観ると主人公の不安や孤独や叫びたくなるほどの閉塞感が身に染みてわかる。今、乳幼児育児に真っ最中の人は私だってタリーみたいなベビーシッターが欲しいし雇ってくれる金持ちの兄弟なんていないんだよと怒るかもしれないし、結局どこの家庭も夫はわかっちゃいないと腹が立つかもしれない。

これから子供が産まれる人は夫に課題映画として見させると良いかしれない。

 

ジェーン・ドゥの解剖 ⭐︎⭐︎⭐︎

強烈なオカルトホラー。ただ人が大勢斬りつけられて流血するスプラッターと違い、遺体解剖と並行して徐々に丁寧に明らかになっていく不可解な遺体の特徴が恐怖を募らせていく。映像も目を逸らしたくなる一方で美しくもある。

作中では説明されない遺体女性の怨讐を想像すると余計怖くなる。ハリウッド映画のホラーは物質的な流血の凄惨さで終わりがちだが、日本映画的な呪いや恨みを感じさせて怖さが増す良作。

 

ラストディール 美術商と名前をなくした肖像 ⭐︎⭐︎⭐︎

無事にハッピーエンドにたどり着いてくれるかハラハラしながら観ていた。赤貧の画家や身の破滅すれすれの画商など芸術に魅せられた人達が集まる世界。

レーピンというロシアの画家を知る。

 

 

サイドエフェクト ⭐︎⭐︎⭐︎ 百選入り

ルーニー・マーラとジュード・ローの共演サスペンス。美人の狂気。

5年ぶりぐらいに再度観てもとても楽しめたので百選入り。

 

 

ラストスタンド ⭐︎⭐︎⭐︎

アーノルドシュワルツネッガーが地方の小さな町の保安官を演じてFBIでも手に負えない凶悪メキシコマフィアを撃退する痛快な娯楽映画。こういう単純なシュワちゃんが見たかったのだ。韓国人監督がいい仕事してる。

 

天使のくれた時間 ⭐︎⭐︎⭐︎

私の人生はニューヨークで成功した超エリートのジャック・キャンベルの人生をベクトルは似ているかもしれないが100倍しょぼくしたようなもので、だからといってケイト・レイノルズや娘とのいつまでも熱を帯びたような質素なかわりに愛と笑いに溢れた愉快な生活でもない。

 

天使は「全てを得た」と豪語する超大富豪に、金では手に入らない何かを気づく時間を与える。そして結局、超大富豪は炎上案件で会社の地位を追われるのかは知らないが、その資産と名誉、実績を得ながら人生に大事な何かも得る。なんだこれ。超大富豪が得られていない人生の幸せに必要な決定的何かを気付かせる天使。超大富豪がそれこそ、全てを得て終わる話ではないか。

 

成功してない我等に「あんな金持ちになっても寂しいもんだ。他に大事なものがある」と自分を慰める後押しをしてくれる凡人ポルノ。それがクリスマスの心温まるラブストーリーを装っている。

 

まあ、それでも平凡な毎日の中に幸せを感じることをすすめる「しあわせは自分のこころが決める」相田みつを映画というか、「日日是好日」的映画。

 

タイヤ販売店で個室を与えられた幹部マネージャーも悪くないじゃないか。

 

ティア・レオーニが演じるケイトレイノルズのような天真爛漫な奥様は素敵だな。調べるとX-fileのデイビッド・ドゥカブニーの奥さんだったそうな。婚姻期間は1997-2014なのでもう離婚しているらしい。

 

日々是好日 ⭐︎⭐︎⭐︎

樹木希林の遺作。日々の生活にひとそれぞれがどのような幸せを見出していけるかだなあとしみじみと思わされる良作。

 

アンノウンソルジャー 英雄無き戦場 ⭐︎⭐︎

今や幸福度で世界一を争う北欧の福祉国家先進国フィンランド。しかしスウェーデンとロシアの間の緩衝地帯として翻弄された長い歴史を持つ。

冬戦争で奪われたカレリア地方を奪還するためにナチスと手を組んでソ連に侵攻し、ソ連に敗北してからはソ連の意向に沿ってナチスへの攻撃に転ずる。際どい政治的板挟みの中で戦い亡くなっていく兵士たちをその家族のエピソードなどと合わせて丁寧に描いていく。フィンランド映画史上最大のヒット作となったそうだ。

フィンランドも日本同様、奇跡のような復興と進歩を果たした国だと知る。

 

 

ピーナッツバターファルコン ⭐︎⭐︎

なんだか「ギルバートグレイプ」や「スタンドバイミー」を観たくなるような郷愁誘う純朴な友情物語。

シャイアラブーフがトランスフォーマーシリーズの若手アイドル俳優時代からしっかりとステップアップしたことを感じ、息の長い名優になってくれそうな予感が一番うれしかった感想。

 

 

セブンシスターズ ⭐︎⭐︎

一度は見る価値のある独創的な世界観と設定の創造性あふれる作品。作品で描かれるように同じように育っても個性は異なって育つように思う。もし、巨額献金の不正がなければ7人姉妹はどうなってしまったのかを考えると恐ろしい。

 

ジェミニマン ⭐︎⭐︎

引退した世界最高の暗殺者。ウィルスミスとウィルスミスの共演。CGもアクションもどれも良くできているなあ、と頭の半分は冷めたまま見てしまった映画。成功する要素が詰め込まれた商業的成功狙い作品感が残ってしまうのはなぜだろう。

 

デス・ウィッシュ ⭐︎

分かりやすい単純な復讐の物語でかつ、ハッピーエンド。妻・母親があっさり忘れられてしまうストーリー展開。美しい娘役のカミラ・モローネはアル・パチーノの継子でディカプリオのガールフレンドだそうだ。これからますます売れていく予感が漲っている。

 

エンドオブステイツ ⭐︎

ジェラルドバトラーが大統領のシークレットサービス長官候補として活躍するアクション映画。無数のドローン攻撃の恐ろしさが印象的。実際にこのような攻撃を仕掛けられた場合に防ぐ手立てはあるのだろうか。

 

 

VIVA!公務員 ⭐︎

イタリア人の自虐が面白い。非市民的だという自覚があるわけか。

Viva!公務員(字幕版)

Viva!公務員(字幕版)

  • ケッコ・ザローネ
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バトルフロント 

ジェイソンステイサムの映画はどれも同じシリーズものかと思うほどの期待通りでそれ以上でもそれ以下でもない作品。観るけど。

 

 

3月のライオン ⭐︎⭐︎⭐︎

将棋の世界というよりも競争社会の残酷さとそれにまつわる様々な人間関係を描く。有村架純さんは清純な役よりもこういう顔の奇麗な底意地の悪い女性のほうが似合うのではないか。心の奇麗な不運の多い3姉妹家庭があまりに善玉すぎてちょっと盛りすぎ。誰にだって闇はある。

 

バケモノの子 ⭐︎⭐︎

評価の分かれる作品だけれども、3回目に親目線で観ると親心をくすぐられてそわそわしたり、じんわりしたり。私は好きだけれどもなあ。

 

バッドアス ⭐︎

ハイエナロード 

偽りなき者 

祈りの幕が下りる時 

東野圭吾作品の実写化だったのか。なんだか不自然な偶然の重なりが濃すぎて終盤、心が離れてしまった。