竃と五右衛門風呂の古民家体験

  • 池袋から最寄駅まで30分、そこから徒歩20分
  • 幼児連れにはトラブルがあっても店や病院に駆け込みやすい安心感
  • 本格的に竃に羽釜で御飯を炊ける
  • 薪をくべて入る五右衛門風呂
  • 一軒貸切
  • トイレは新しく清潔な西洋式
  • お湯も出る
  • 夏でも小屋組の立派な古民家は涼しい
  • BBQ、流し素麺やピザを石窯で作れたり、楽しみ方にバリエーションがある。

 

 

所沢に竃で御飯を自炊し、五右衛門風呂に入れる古民家宿を見つけたので夏休みの体験にぴったりだと思い予約した。

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五右衛門風呂って何?と子供達に聞かれたので頭に閃いたのは予習をさせてから行くこと。五右衛門風呂に父と子供達と入るといえば、「となりのトトロ」でしょうよ。

 

実は子供達にとって初めて観る長編アニメ映画。飽きずに最後まで観れるか懐疑的だったが、時には立ち上がったり、興奮して足踏みしたりしながら熱中。ジブリおそるべし。

 

猫バスが大ウケだった。

 

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で、西武池袋線下山口駅から幼児の足で15分ほど歩いた場所にある古民家に向かった。

 

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広いが隅々まで掃き清められた土間。

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建具を外せば32畳が続く広間。そりゃ、走り回るよね。でも一棟貸切だからいくら歓声を上げても気にならない。

 

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8畳間が3つ、6畳間が1つ、8畳の囲炉裏の間が1つ、8畳の土間。さらに8畳の台所に8畳の洋室。そして脱衣所と風呂、窯口、トイレ。12人は寝られそうだ。

 

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床間も清潔で物が少なく美しい。

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生活当時からの神棚はそのまま残されている。仏壇は残されていない。

 

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子供達に競うように雑巾がけさせたり、広縁に腰掛けて夕涼みしたり西瓜にかぶりついたり。光景を見ただけでそんな光景が思い浮かぶ。

廊下の突き当たりにはタオルやシーツの入った桐ダンス。

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竃は屋外にある。二口ある上に、室内の囲炉裏にも鍋が吊るされている。

 

穴子と牛蒡と長葱の炊き込みご飯を作ることにした。牛蒡はサク切りにしてアクを抜いたものを保冷バッグに入れて持参している。

 

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説明書きでは水状態から火を強火に持っていき15分、さらに中火に落として15分、そして蒸らしと書いてあった。しかし炊き込みご飯は焦げやすいので日頃の土鍋炊き御飯の経験をもとにまずは火を強火に準備することにした。

モグサから新聞紙、そして細かい薪に火を移し太い薪へ。迅速にして完璧な火起こし。自画自賛。娘には火起こしの上手な男と結婚しろよ、と助言したい。息子しかいないけど。

 

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最大火力になったところに研いだ米に牛蒡と葱の入った羽釜をセットして息子達に団扇で扇がせること8分。

 

薪をとなりの火口に移し、穴子を投入して軽く掻き混ぜ、中火に落としてさらに8分。炭も掻き出して蒸らし5分。

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米粒の立った申し分のない炊き込みご飯が炊けた。我ながら素晴らしい。失敗したら近くにコンビニを探そうと思っていたが、駅前にすらコンビニがなくて失敗は許されない状況だったのでホッとした。

 

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炭を室内の囲炉裏に移し、醤油を塗りながら玉蜀黍を焼く。

 

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長男に灰が舞い上がらない加減で扇いでもらう。なんだかいつ焼けたのかわからないが、焦れたところでかぶりついた。最近は茹で玉蜀黍ばかり食べていたのだが、焼き玉蜀黍の美味いこと。

 

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さあ、五右衛門風呂の時間。水から沸かすとなるとかなりの薪を消費するし時間もかかる。ガス給湯器でお湯(といってもかなりぬるい)を張った後で適温まで薪で加熱した。

 

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五右衛門風呂の焚き口は竃よりも風通しが悪くて火を起こすのに苦戦した。木片を使い切ってしまっていたのもある。昔の人が火種を大事にした理由も分かるし、地震の多い日本でそれが如何に危険かも実感が湧く。

 

トトロの親子入浴シーンを盛大に真似て騒いだ。汗に煤が混じっていた顔や腕も綺麗さっぱり清められた。

 

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床間に布団を3つ並べ、豚の蚊取り線香を広縁に起き、続きの間に扇風機を置いて就寝。夏真っ盛りだが深夜には扇風機を止めるほどに古民家は風も抜け涼しかった。

 

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子供達が寝入ったところで私は台所へごそごそと起き出して、竃のおこげを肴に福井の日本酒「九頭龍」をチビチビと楽しんだ。

 

土鍋だとおこげは食べられないほど黒く炭化してしまうことも多い。何故か竃の羽釜は盛大におこげがつくのだがあれだけ強火力で炊いていたのにおこげは全く黒く焦げておらず、醬油味のカリカリ御飯煎餅のような感じになる。これが日本酒に合うのだよな。

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豚もいれば山羊もいる

 

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Corot

大人4500円、小学生以下3500円。

薪1000円

 

上腕骨肉解剖鉢の造形

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信楽白土と赤土4号のそれぞれの色味を活かしたくなって作りはじめた。没頭すること3時間。外からは見えないインナーマッスルも忠実に作ったので時間がかかった。

 

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名付けて「上腕骨肉解剖鉢」。誰が何と言おうともオブジェではなく植木鉢だ。

 

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上腕二頭筋のパンプアップぶりが凄い。

 

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横から見ると骨と肉のコントラストが美しいように思う。

 

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無論、植木鉢だから骨と筋だけとはいえ、土を入れて植え込めるようにしないといけない。それが故の筋肥大した上腕二頭筋だ。上腕筋、三頭筋もそれぞれ独立した鉢にした。

 

赫麗や火祭などの真っ赤に萌えるクラッスラ系多肉植物を植えたい。血潮のような赤。

 

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個人的には指骨に着く深指屈筋にさらに両側から巻きつくように付く浅指屈筋が見所だと思う。

 

 

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尺側手根屈筋を大破させ、そこからも植え込めるようにした。水抜きの穴も開けてある。

 

掌に母指対立筋、小指外転筋をつけ忘れた。

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果たして、分解することなく無事に素焼きできるだろうか。

 

補強の為にも釉薬を掛けたいが、せっかくの白土と赤土が見えなくなってはつまらない。だからといって透明釉を掛けてテカテカとするのも好みではない。何を掛けるか、とても悩ましい。

 

前途多難な植木鉢を作ってしまった。無事に焼きあがるかわからない緊張感があると、無事に焼きあがった際の喜びも格別だ。どこに置くか思案するのも楽しい。

 

 

 

豆鹿頭骨鉢、団子虫鉢窯出し。

豆鹿頭骨の窯出し。酸化焼成

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一つ目、縁に弁柄で輪郭を描き辰砂をどぶ漬けしたもの。辰砂は濃度もちょうどよく、釉剥がれすることもなく綺麗に発色してくれた。

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骨らしくない色だが、せっかく陶器で作ったそれらしさがあって気に入っている。植え込む植物は合わせるのが難しいかもしれない。

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二つ目はマグネシヤマットのどぶ漬け。55ボーメに濃度調整したのは濃すぎるように思えたが、実際はちょうどよかったようだ。焼き上がりのインパクトに欠けるならば上から弁柄で輪郭を描いて二度焼きしようかとも思ったが、この静かなマットな陶肌もこれはこれで良い。

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静物的雰囲気。ドライフラワーなどは何でも合わせやすそうだ。

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裏。土を入れて植え込んだ際の水抜き穴でもあり、壁に掛ける際のワイヤーの通し穴でもある。

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三つ目の試験的作品がこちら。初めて炭化珪素、あるいはシリコンカーバイドと呼ばれる素材を使ってみた。信楽白土に2%ほど混ぜて泥漿化きたものを塗り重ね、さらにマグネシヤマット釉そのものにも若干混ぜてみた。早く小さめのマミラリアを植え込みたい。

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効果としては狙い通り。粘菌や胞子嚢のような有機的なテクスチャーが生み出せた。

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境目のトルコ青結晶釉下地も発泡している。炭化珪素はあれこれ遊べそうだ。白土の上に筆で何度も厚塗りしたのでトルコ青結晶もドギツイくらいに鮮やかに発色してくれた。厚塗りすると釉剥がれすることも多いので申し分のない塩梅だ。

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左はトルコ青結晶釉で焼いたもの。眼窩が大きすぎて造形が少し気にくわない。庭の土の中に半分埋もれるように植え込んでみようか。


これまでの豆鹿頭骨鉢はモノトーンか青緑系統が多かった。あと一つ、弁柄で輪郭を描いた上に一号透明釉を掛けたものを還元焼成待ちだ。


これまで様々に試してきたが、金ラスター筆塗り、マグネシヤマットどぶ漬け、トルコ青結晶に炭化珪素で粘菌を加飾したものの三つが満足度が高い。


今後、試してみたいのは

弁柄ではなく呉須で輪郭を描き、一号透明釉で還元焼成

表面に和文様を描いて辰砂をどぶ漬け。



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団子虫鉢も見事に焼きあがった。メタリックに仕上げたかったのだがほぼ期待通りの瓦のような燻銀。土を入れて植え込んだ後に重心が変わらないか確認は必要だが、むしろ安定性は増すのではないか。

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暗所に置くと、重厚感のある黒に見える。

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直射日光の下に置くと、その金属光沢感は一層、強まる。こいつも大事に育てて行きたいマミラリアを植え込みたい。ひょろひょろっと長い老楽に根元を群生株で覆うのが理想的。


ここまで、窯出しの成果は期待以上と言える。発色不良、剥がれ、釉垂れもなく、満足のいく焼き上がりばかり。こんなことは滅多にない。そして次回に同じようにやったつもりでも再現できなかったりする。


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運を使い切らずに良かったか。水槽の投げ込みフィルターカバーは筆塗りしたマグネシヤマットが白く発色してくれなかった。

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しかもこちらには炭化珪素を混ぜた覚えもないのに発泡している。

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薄褐色の下地が見えてしまっている。

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幸いにして崩れたりしていないので、ヤマト糊を混ぜたマグネシヤマットを筆で厚塗りして二度焼き再生しようかと思う。






信州家族旅行 旅程備忘録

軽井沢、松本、渋温泉竜王雲海SORAテラス、蓼科、諏訪を巡る500km走破の3泊4日の信州家族旅行備忘録。

 

学び

1.日本酒好きな外国からの友人が来たならば、1泊2日で諏訪湖に湖の眺められる温泉宿をとり、酒蔵巡りや寺社巡りを満喫するのもまとまりの良い充実プランになりそうだ。

2.夏の家族旅行としては軽井沢に代わって次回はエクシブ蓼科に泊まり、白樺湖ファミリーランドで子供達を遊ばせたい。避暑地としては軽井沢よりも蓼科の方が涼しくて人も少なく、快適だ。諏訪大社

 

3.長距離運転はせめてデミオクラスが良い。

4.SPOTIFY便利。

5.銘菓「雷鳥」が亜種を出している。米のまぶされた「雷鳥の羽」を気に入って購入。

6.辛子は調合すると風味が増す。

7.旅館の広縁に置かれるようなローチェアセットが欲しい。

8.我が家には当面、貸切風呂のたくさんある温泉旅館が嬉しい。

9.テーブルの天板に外の緑を反射させるレイアウトは良い。

10.カラフルなソーダの側面に柑橘類のスライスを添えるのは手軽で見栄えがする。

 

初日、軽井沢へ。

ツルヤスーパーでジャムや生搾りジュース、乾燥果物などの自家消費用土産をリピート購入。翌日の朝御飯に「おやき」を各自購入。

 

おもちゃ王国でアスレチック。緑に包まれていて気持ちが良かった。

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冬季は閉鎖されていた。春から秋まで営業しているが、雨が降ると閉鎖されてしまう。

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何はともあれ体を使って疲れてくれると親は嬉しい。

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エクシブ軽井沢パセオにチェックイン。

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夕食はホテルの外に出て歩いても行ける距離にある天麩羅専門店「きどぐち」へ。好みとしては「きこり」の蕎麦でも良かったかもしれない。

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二日目。松本へ。

松本城

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急な階段を登って天守閣まで上がった。説明板や展示ケースに入った銃や鎧兜、器やらがあるだけで、基本的には建物内は空だ。調度品を配して当時の状況を再現したら誰もが視覚的に理解できて楽しめるのに。といつも思う。

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城主と姫が子供達と写真撮影に応じてくれた。「江戸から来たのか」「わらわは〇〇じゃ」など終始、時代がかった物言いを徹底していた。

 

中通り商店街、縄手通を散策。

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日本民藝館に立ち寄る時間はなかった。せめて「ちきりや」に寄りたかったがなんと休業日。小洒落た雑貨店はちらほらあるものの、都心価格で食指は伸びず。

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渋温泉へ。金具屋へチェックイン。

私の中でのハイライト。

夜、一人で温泉街を散策。

 

三日目。竜王、蓼科へ。

朝、家族風呂を楽しみ、朝食後、温泉街を散策。

 

渋温泉から車で30分ほど。竜王マウンテンパークの雲海SORAテラスへ。

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もう8月だというのにここでは紫陽花が満開。

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雲海は見られなかったものの、雲の中にいる気分は楽しめた。

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テラスの内装がとてもモダンに綺麗に改修されていて感心。

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ドリンクが色鮮やかで思わず買ってしまう。

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スライスした柑橘類を側面に貼り付けると豪華さが増すのだね。

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スキー場のオフシーズンを雲海をテーマに夏のオンシーズンへと刷新する試み。犬を連れて小説を持参して山頂で一日過ごすのも気持ちの良い休日になるに違いない。家からもっと近ければな。

 

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かなりの傾斜を見下ろして撮っているのだが、平衡感覚がわからなくなる。斜面を時折、雲が這い登ってきて周囲がすっぽり包まれるのが楽しい。

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上田で老舗のベーカリーを見つけ朝食を買い込む。

エクシブ蓼科にチェックイン。

ホテルのプールで楽しむ。

 

四日目。諏訪、そして帰宅

朝、パンを部屋で食べる。

プールで楽しむ。

自室のジャクジーで泡風呂を楽しむ。

 

エクシブ蓼科から車で20分ほどの御射鹿池へ。整備された道路沿いにあるとは思わなかった。てっきり、山道を徒歩で進むと急に視界が開けて眼前に広がっているのかと思っていた。

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深い青緑で湖面への青葉の反射が美しい。酸性度が高く魚は住めないとのこと。

 

 

上諏訪の鰻の老舗「うな藤」で鰻重を楽しむ。

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こんなに肉厚な鰻は久し振りに食べた。やはり鰻は美味い。松は2690円で最も安いがそれでも食べ応え十分。

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子供達にも鰻重を振る舞うなんて、素晴らしい親。食べている姿の写真を印刷して大きくなったら見せよう。年取ったら、子供達に鰻屋に連れて行ってもらおう。

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腹が満たされたところで、真澄の銘柄で知られる宮坂酒造の蔵元販売店「セラ真澄」で地酒を仕入れる。

この日に発売したばかりの夏酒を一つ、この酒蔵限定の樽酒の四合瓶を一つ買った。

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テイスティングコーナーがあり、外国人スタッフが外国人客に説明をしていた。

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地場の器や食材も売られている。

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このセラ真澄の400mほど先には「舞姫」「麗人」「本金」「横笛」の酒蔵もある。どこも風格のある門構えで、時間があればハシゴしたかった。裏筋には蔵を改装した小洒落たカフェなどもあり、散策が楽しめそうな街だ。

 

最後に上諏訪神社本宮に参拝。相撲の土俵、大太鼓、橋など見所も多い。静謐さに溢れた素晴らしい神社。

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ここまで苔むした大きな手水鉢は初めて見た。

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高地の気候ゆえか、諏訪大社は苔がとりわけ密で美しく感じた。

 

子供達が大きくて体力があれば自転車を借りて諏訪大社四社全てを回る旅もしてみたい。

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帰路、高円寺へ。走行距離500km超の旅行だったが洋風なリゾートホテルに泊まる日もあれば、歴史遺産のような正統派温泉旅館の日もあったり、なかなか充実した4日間だった。

 

避暑に最適な「エクシブ蓼科」

初めてエクシブ蓼科に泊まってみたが、夏のエクシブ軽井沢パセオに泊まるよりも様々な点で気に入った。

 

次回

  • ベーカリーレストランエピで朝食を買い置く
  • もしくはツルヤスーパー上諏訪
  • 白樺湖ファミリーランドに連れて行く
  • 冬のスキー利用に使うのも有り

夏の軽井沢は実際には暑かった。蓼科は標高1700mほどにあり、思い描くような避暑地。何せ、標高では竜王雲海SORAテラスと変わらない。


ブリティッシュスタイルで統一され雰囲気を纏ったロビーや客室。従業員の制服までが狩猟着風で目指す世界観が明確。

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広々とした露天風呂。大きな岩風呂だけでなく、一段上がったところにも湯船があり真四角な軽井沢の露天風呂よりも他の客を気にせず寛げるレイアウト。


露天風呂からは苔むした地表から立ち上がるカラマツや白樺が眺められる。
なんといっても温泉。エクシブ箱根離宮には及ばないが、エクシブ軽井沢、エクシブ湯河原よりも好みだ。


室内にはジャクジーや打たせ湯などあれこれあって子供もはしゃいでいたクアハウスという室内プールがある。

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屋外のプールは水深1.2mエリアと0.6mエリアがあって子供達の泳力差に対応。プールサイドにはデッキチェア。ありがたいことに、温水プールの水温がかなり高いので、泳いでいて体が冷えるということがない。10月まで温水プールを維持していると合うのだから贅沢だ。

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キッズルームは軽井沢の方が充実で小学校低学年まで楽しめそう。蓼科のキッズルームは簡単な玩具とテレビがあり乳幼児向け。


そのかわり、ゲームコーナーがとても充実。

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カーレースやバイクレースの本格的なゲームまで。

 

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 四号棟に泊まったがクアハウス、お風呂までが近い。軽井沢パセオは風呂までが果てしなく遠かったのを思うと、子供が寝付いた後に風呂に何度も入りに行きたい私達には有り難い。

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部屋は二部屋のうち一部屋が廊下から完全独立している。子供達を寝付かせた後にも居間で電気をつけて気兼ねなく寛げて良い。

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軽井沢パセオはドア一枚でもう一部屋が隔たれているが、蓼科は完全な別個室となっている。和室は6畳ほどで広くはないが、寝るだけのスペースとしては十分だ。

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夜のロビーでウイスキーでも飲みながら読書したら寛げるだろうな。

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些細だが、このオットマン付きソファチェアがかなり快適で家に持ち帰りたくなった。勤続20年のご褒美に妻にねだるか。

 

野生の鹿の群れに出くわした。奈良公園の飼いならされた鹿と違い、餌付けられていない鹿は初めてだ。「野生の鹿に会えたね」なんて盛り上がっていると、道路の脇を野生の狐が走っていた。蓼科は自然が豊か。

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エクシブ軽井沢パセオは75平米で21000円。エクシブ蓼科は66平米のラージグレードで16,000円。
レストランのグレードは食べていないのでわからない。蓼科は徒歩圏に飲食店は無く、車で数キロ移動する必要があるが、イタリアンやフレンチ、蕎麦屋、定食屋などあれこれある。「ご飯処たてしな」で夕食をとってみたが、カツの衣はサクサクとしており、添えられた辛子もあれこれ調合した風味豊かな辛子で唸らせるものだった。


人によっては、軽井沢のほうが周辺のゴルフ場の質が高いだとか、軽井沢銀座などの買物や飲み食いできる店が充実しているなど、軽井沢を好む理由もたくさんあるのかもしれない。我が家では、当分、軽井沢はお休みで次も蓼科に来ようかね、という話になった。

15年来も憧れてきた念願の有形文化財の宿、渋温泉 金具屋の湯

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金具屋の有名な姿が外から見上げた構図。右はロビーなどのある増設棟で、総木造四階建築の姿を眺められるのはここからだけとなる。

 

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まさに歴史の宿。

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宿で貸与される手形と鍵で温泉街の無数の外湯を湯巡りすることもできる。

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源泉が熱いので夏場はそういくつも入浴する体力がもたないが、そぞろ歩くのは楽しい。

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行き交う人達が浴衣なのが良い。下駄の音が響く。店の人は浴衣を見るだけで、ああどこそこ旅館のお客さんね、とすぐ見抜く。

 

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射的に温泉卓球

 

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もう至る所に外湯が散在する。

 

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巨大な芸術折紙を所狭しと陳列している店があった。昼間は体験もできるらしい。

 

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金具屋以外にも風情のある宿があちらにもこちらにも。

 

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とても狭い山合いの温泉街なので、建物の密度が高い。裏路地を歩くと源泉から温泉を引くパイプがある張り巡らされていたりと異世界を覗けて楽しい。

 

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で、肝心の金具屋の風呂へ。

「斎月の湯」という貸切露天風呂へ入った。ここは館内に6箇所もある貸切露天風呂の中で最も大きく、最も新しい。貸切風呂はどれも空いていれば好きな時間に何度でも入ることができる。

 

壁には芸術的なタイルで富士山が描かれている。雲間の月のように見えるのは円窓で、外へと繋がっている。

 

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天井にもぽっかりと穴が。雨の当たらない箇所へ通気孔として常時解放されているようだ。

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湯船は花形で優に8人は大人が入れる規模。家族で借りるには十分すぎるほどの開放感だ。洗い場も、シャンプーやボディーソープも備え付けられている。ちなみにシャワーの温水は温泉湯だ。

 

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こちらの脱衣室は改装されてモダンレトロ。

 

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こちらは大浴場の鎌倉風呂。とても雰囲気があって素晴らしいのだが、何せ湯温が高い。大浴場な手前、水で薄めるのも憚られる。

 

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こちらはもう一つの大浴場、浪漫風呂。鎌倉風呂とこちらが常に男湯か女湯となっており、深夜0時でもって切り替わる。

 

この手の古い旅館には露天風呂がないんだよね、と思うことなかれ。男女別の露天風呂もある。

 

難点は湧出温度96℃の源泉掛け流しなので、基本的に熱い。大浴場や露天風呂は浴槽も大きく、水を入れて薄めるわけにもいかないので夏場は熱くて入れない。しかし6箇所の貸切風呂は水で薄めて入る前提なようで、自分好みに調節して長湯できるのでありがたかった。

 

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部屋食の宿泊プランもあるようだが、「飛天の間」で食べるのがやはり気持ちが良い。

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志賀高原IPAを飲みつつ

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舌鼓を打つ。

 

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典型的な昭和の旅館のご馳走といった感じ。

 

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海のない立地で美味しい刺身を求めて苦労するよりも、岐阜の奥穂高の温泉で感銘を受けた朴葉味噌焼きのご馳走のように郷土料理を主体にしても良いのにな、とは思う。

 

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美味しかった。何より、これでもかというぐらいの量がある。いろいろな意味で昔懐かしい旅館のご馳走だ。

 

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チーズケーキと巨峰。幼児メニューにも同じものが付いていたそうで、出し忘れたとのことで部屋まで届けてくれた。

 

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朝御飯はお腹に優しく、黄身だけを混ぜる山芋掛けご飯。焼魚だのが何品も出なくて、あっさりとして良かった。

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金具屋に泊まるにあたって、ジャランやらの口コミもあれこれ読んだ。素晴らしいとの声も多いが、女将の愛想が悪いだの、若当主に気分を害する対応をされただの、食事が期待はずれだの悪評も書かれていた。

 

確かに食事は目玉というほどの感動や斬新さはないかもしれないが、楽しめるものだった。当主の館内ツアーの説明も良かったし、台湾人や東南アジアからと思しき従業員も誠実そうで頑張っていた。他の日本人の従業員の方達ま写真を撮りましょうか、だとかあれこれ世話を焼いてくれた。

 

この宿にも不満タラタラな人もいるのだな、というのが驚きだった。これで文句を言われるのだから、客商売というのは大変だ。

 

 

 

15年来も憧れてきた念願の有形文化財の宿、渋温泉 金具屋

  • 4階建総木造建ての有形文化財旅館
  • 宮大工が腕を競った技巧溢れる内装
  • 千と千尋の神隠し」の聖地巡礼の一つだそうだ
  • 源泉掛け流しのとろみのある鉱泉
  • 同じ宿の中でも異なる源泉の風呂
  • 4つの貸切家族風呂でカップルや家族も楽しい
  • 雰囲気溢れる浪漫風呂、鎌倉風呂
  • 必見の価値のある飛天の間での御馳走
  • 9代目が自ら案内してくれる館内歴史ツアー
  • ぶらぶら歩きの楽しい温泉街

 

 

宮大工になることが小さい頃の夢だった。木造3階建て、4階建ての旅館はその響きだけで惹きつけられる何かがある。

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旅館というものには、こう建てないといけないという建築様式上のルールがない。無論、建築基準法など安全の上での遵守すべき法令はあるが、これを満たさなければ書院造とは呼べない、寺社はこうでなければいけない、この様式とこの様式を混ぜてはならない、行ならばこの素材、草ならばこの素材などといった様式上のべき論からは自由な存在だ。

 

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そんなわけで京都の船岡温泉しかり、旅館や銭湯といった遊興施設では宮大工が技術の腕を自由に振るったセオリー無視の傑作が残る。

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曲線が美しいこけら葺きの屋根。なかなか格式の高い寺社仏閣でしか見られないシロモノだ。それが客室の窓際から眺められる。

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私達が通された部屋は新館(といっても古いが)で有形登録文化財の対象ではない。旧館の部屋に泊まることのできるより高価なプランもあったが、幼児連れとしては気後れして通常の部屋にした。

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金具屋のWEBから拝借した有形文化財登録棟の客室写真。金の純度の異なる箔が貼られた花頭窓風の襖が美麗。天井も折上格天井。

 

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私の泊まる部屋も4人には十分な広さがあり、窓からは松の木とこけら葺きの屋根や日本庭園が見下ろせる。室内も古びてはいるが手入れの行き届いた完全なる和室。トイレ付きでエアコンも完備。庭の緑が反射する座卓も私の好きな意匠というか室礼の一つだ。磨き抜かれた漆塗りの床板に庭のもみじを写す「床もみじ」というものがあるが、それに通じるものがある。

 

お陰で何枚か、息子とのとても良い写真が撮れた。

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天井板一つとっても節なしの一枚無垢杉板が2間幅に渡されている。

 

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ちなみに隣の部屋がまだ空いていたので覗かせてもらうと、こちらは広縁に向かい合う椅子の置かれた部屋だった。

 

17:30から毎日、館内ツアーが催されている。

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9代目が自ら金具屋の屋号の由来や館内の特筆すべき建築様式や技巧を説明してくれる。声は聴きやすく、説明は分かりやすい。聞くのは初めてだろう客に熱量をもった全く同じ説明を来る日も来る日も繰り返すのは、とても覚悟と熱意と真摯な気持ちがなければできないことだと思う。腰に下げたスピーカーから録音済みの説明を流すことだって可能だが、9代目自らが肉声で語りかけ、客の質問に応じることが素晴らしい。良い後継に恵まれたようで客としても嬉しい。

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8階に位置する「飛天の間」は岩山の斜面に建っているので実際には2階建ての2階部分となる。畳が横10枚、縦に13枚の130畳の大広間で5間の横幅の間に全く柱のない構造は屋根にトラス構造を用いて実現したとのこと。富岡製糸工場に次ぐ先進的な西洋建築様式の導入例だそうだ。

130畳の一切柱を設けない豪壮な大広間を作るにはどうしたら良いか、実現したい派手な普請野心がまずありきで、実現方法が模索される。

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舞台も奥行きのとても深い、本格的な興行ができてしまうシロモノだ。天井は折上格天井で、かつては全て幅半間の節なしの無垢板が用いられていたそうで、舞台上の天井だけに今もその名残が見られる。半間というのは90cmなわけで、幹の太さが120cm近い樹齢400年越えの御神木サイズの木からしか切り出せない。現在では金を積んでもそもそも手に入らない部材だ。どうだ、凄いだろう、と見せびらかすようなものだったし、説明されることもなくその贅沢を昔の人は即座に理解できたのだろう。

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掛けられた日本画の巨大さだけでなく、その絵のクオリティの高さも驚愕する。

保存された見学場所としての広間ではなく、実際に朝食と夕食を客が頂ける場なのだから素晴らしい。今は個人客同士の間を衝立で区切っているが、お膳が数百も並んだ大宴会の姿を想像してしまう。さぞ豪勢だろうな。

 

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誰の作だろうか。尋ねそびれてしまった。

 

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「飛天の間」に登る階段は壁が遊郭のような紅色。階段の手すりは水車の廃材を組んで取り入れている。

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 いちいち、置かれている絵画が趣味が良いと思う。

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「飛天の間」の下には小宴会場が二つある。一つはシャンデリア

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一つは洋風な飾り窓のついた部屋

 

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1階にはこれまた遊び心の塊のような造作。館内に砂利敷きの廊下を設け、左手には建物内に家屋が並んでいるように見せるために窓辺に欄干などを作り込んでいる。右手には商店街を模して土産物が陳列されていたという。そしてなんと天井はドーム状に丸く作られ、青く塗られ空を模している。建物の中にいながら商店街を疑似買物散歩できる趣向だ。今で言うヴィーナスフォートのようなものを100年以上に渋温泉で作っていた。

 

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普請道楽の塊のような宿。階段の板もピカピカに磨き抜かれている。

 

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全ての部屋が異なる造作、意匠で作り分けられている。お前の部屋はどうなってる、うちの部屋はこうだ、とお互いの部屋を行き来する口実になったのかもしれない。

 

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階段の裏にまで網代を貼るのが職人拘りの粋。

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これだけの規模の既存不適格であろう4階建て木造旅館に営業許可が降りているのはとても珍しいのだそうだ。2年ごとに認可を受ける必要があるという。消防署の理解もあってのことだろう。

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どこにカメラを向けても絵になる。

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古色あふれる電話があちこちに。線は繋がっていないようだが。

 

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創業当時は近隣の客が泊まりにくる簡素な木賃宿のような建物だったという。鉄道が湯田中駅まで延伸し、善光寺詣でに都会からくる客が数百人単位で渋温泉にも立ち寄る世の中になることを見越した先先代が一大投資をして贅を尽くした旅館にしたのだという。往時の当主が全国を見て回り、良い造作例や工夫を選りすぐって詰め込んだものを宮大工に具現化してもらった夢の結晶だ。

 

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2017年に有志達による「千と千尋の神隠し」のファンアート撮影会が行われたようで、その作品群が展示されている。あの作品が好きな人は観て楽しいに違いない。ハクなどの再現度が高かった。

http://raruha.oiran.org/

 

このような文化財の建物に源泉掛け流しの良泉で1泊2食で1万5千円というのは安い。豪勢に普請し直した100年前当時の宿泊料はもっともっと高かったはずだ。箱根の環翆楼は同様に素晴らしい有形文化財、源泉掛け流しの皇女和宮も投宿されていた素晴らしい宿だがあちらは3万円前後だ。都心への近さという立地の差はあるが、建物そのものは金具屋の方が好みだ。1万5千円で泊まれるのは私としては嬉しいが、これだけの文化財を維持管理して後世に残していくことを考えるとこの低い価格設定は果たして正しいのか疑問にも感じてしまう。10年後、20年後、50年後の改修の積立はできているのだろうか。

 

また10年後、20年後と人生の節目節目に泊まりに来たい。