青白く光る近未来上海観光

週末を利用して家族が出張先に遊びに来てくれた。

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子供達は76階に泊まるなんて少し怖いなあ、と期待に胸を膨らませてきた。

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空中に浮いたかのように青白く光る上海の大都市の夜景を見下ろす湯船。河口近く、流れの蛇行する最も輝かしい一角、外灘や豫園が見える。

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次男には窓辺にオットマン付きのソファを置き、窓際の夜景を見ながら寝られる特等席に寝てもらった。子供達の目にはどのように写るのだろうか。

 

 

翌日、道路を挟んで向かいの上海金融センタービルに登った。チームラボによるOcean by Nakedというプロジェクトマッピングを駆使したイベントが4Fと97Fで開催されているので、100Fの展望台と展示を楽しもうと思った。日本に先んじて上海で展開され、日本にも10月に上陸とのこと。ただし上海の方が規模は大きいようだ。

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残念ながら上空は雲に覆われ展望台からは何も見えないと言われたのでOcean by Nakedだけ見ることに。

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94Fの大きな部屋にはセンサーを駆使した一面の壁があり、触ると花火が打ち上がったる。床にも投影された魚群や珊瑚などが目に楽しい。

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壁を触れるとそこに大きな泡の玉が生じ、さらにそこから様々な魚やタツノオトシゴなどが生まれて泳ぎ出す。まるで創造主になったかのよう。

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青魚の大群が時折、通り抜けていく。巨大な幼稚園の運動場のような様相で、いつのまにか息子も言葉の通じない中国人の子供と戯れ遊んでいた。

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手で壁を掻き混ぜると海月が生まれる。センサーを駆使したインタラクティブな展示も多い。

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正直なところ、うちの子供は小さい頃からチームラボの展示で何度も遊んでいるからか、飽きるのも早かった。画像のテーマは変わっても、手を動かしたらセンサーで読み取って映像が連動したり、壁に触れたらそこに何かが投影されたり変化するというパターンから脱していないからかもしれない。

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実は子供向けを装いながら大人の子供心をくすぐるのがチームラボ展示の実態かもしれない。

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人がいない空間に異世界が映されると都会の寂しさが襲いかかってきそう。単身赴任で子供のいない平日夜に独りで来たらホームシックになるような幻想さ。


日本のOcean by Nakedは規模がかなり小さいらしいので要注意。

ついに支付宝(アリペイ)初体験。劇的便利。

初めて支付宝(ジーフーバオ)を中国で使ってみた。アリペイというやつだ。

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以前は中国で銀行口座を開かないとAlipayを利用することができず、かつ銀行口座を開くには諸所の書類を揃えて平日に申請にいかなければならないので現実的には難しかった。2019年になって漸く、Tour Passという外国人向けのサービスがリリースされた。

 

  • VISAMasterなどのクレジットカードから入金可能。中国銀行口座不要。
  • 上限2000元まで入金可能。
  • 中国人同様にQRコードで支払いが可能。
  • 中国人に混ざって割り勘機能なども使用可能。
  • 中国滞在中もワンクリックで上限2000元まで追加入金可能。
  • 入金レートは上海銀行レート
  • 2019年度中は手数料無料
  • 有効期限は90
  • 期限切れ残金は上海銀行レートでクレジットカードに返金
  • 地下鉄や屋台でも5元、10元など少額の支払いに非常に便利。
  • タクシーでの支払いに現金を必要としなくなったのは大きい。
  • アリペイと伝えて通じないこともある。ジーフーバオと言えば確実。
  • 現地でのローミングWifiなどの通信手段確保とスマホの充電が切れたら決済手段を失うのでバックアップバッテリーや現金の代替手段は必要。
  • 中国到着直後、空港からのタクシーを捕まえる際には現金の心配をしなくて済むので圧倒的に便利。

 

支払い方法には2通りがある。

  1. 自分のQRコードを提示して相手にスキャンしてもらう場合は、引き落とされた通知が来る。金額を水増しされた場合は外国人向けTourPassでも拒否できるのだろうか。
  2. もう一つ、相手QRコードを自分の端末で読み取る場合は金額を入力して支払いボタンを押さないと支払われない。QRコードを読みとった後に暗号番号を打ち込み支払い完了まで相手は確認してこないことも多く、払い損ねたり、支払わずに踏み倒せてしまいそうになる。厄介は避けたいので念のため支払い完了画面を店員に見せるようにしていた。

 

金額を入力し間違えて支払うと途中修正はめんどくさそうだ。追加で差額を支払えば良いのか。

 

はたして自分が主導権を握って入力手間を惜しまず支払うのが良いのか、それとも相手に読み取らせる方が良いのか。

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自分のQRコードを店員に提示中に赤の他人に背後から読み取られる犯罪が増えていると聞く。30mの距離でも最近の高性能カメラでは難なく読み取れてしまうらしい。相手QRコードを読みとって支払う方が安心か。

 

結局のところ、スターバックスなどの大手で信用できるところでは自分のQRを読みとって引き落としてもらい、屋台などのレジの無い店での売買ではこちらからスキャンして金額を入力する使い分けに落ち着いた。

 

TourPassは外国人向けで詳細の精確なところはよくわからないままでアプリとアリペイを信用して使うことになる。入金上限2000元というのは適切な基準に思える。

 

ついつい気軽にあれこれ買えることに嬉しくなって買い過ぎてしまった。屋台の焼甘栗が50gで18元。味付けしてないのに焼いただけでなんでこんなに美味しいのか。

 

AlipayのTourPassがあれば、かの噂のT-mallの11月11日の巨大商戦に参加することができる。会社に配送してもらう必要があるし、プリセールの説明は全て中国語で英語非対応なのは大変ではあるが。


百花繚乱の日本のQRペイメント。生き残るのはPayPay、D払い、楽天Pay、メルペイ、オリガミなどの中のどれか。私のような人間にはもしAlipayが各国間で相互利用が可能になるならばAlipay一択で構わない気もする。

上海三塔

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帰ってきました、上海。霧というか靄のようなものが摩天楼に立ち込めていて、魔都さながら。

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結界。中心点から異空間が出現しそう。

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得体の知れないエネルギーをチャージしてるに違いない。

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カッコいいわい。今となっては三塔の中で一番低い定宿の金茂大厦だけども、トクサのような90年代ドット絵のような光方は個性の一つとして好きだなあ。



ムンバイでゾロアスター教徒料理専門店へ

インドにはパールシーという特殊階級の人達がいる。カーストなのか、部族なのか、民族なのか。

 

日本ではゾロアスター教徒拝火教徒として知られている。イランの第二位の聖火を引き継ぎイランがイスラム化した後はインドに移り、ムンバイやプネーを中心に寺院を建立し住んでいるらしい。

  • パールシーの語源はペルシア。
  • 世界最古の一神教
  • 父親がパールシーでなければならない。
  • 娘が異教徒と結婚すると棄教せねばならない。
  • インド人と混血していない純血アーリア人である。
  • 少数ながら相互扶助が強く非常に裕福で教養の高い人達が多い。
  • 鳥葬の習慣がある。
  • タタ財閥はパールシーである。
  • インディラガンディーの夫もパールシー。
  • 肉食である。

 

てなわけで、ムンバイの同僚が「ボス、あんたこういうの好きでしょう?辛いものが食べられないフランス人が来る前に食べに行きやせんか?」とインド門のある旧市街地のパールシー御用達のレストランへ連れて行ってくれた。

 

レストランの外壁にあるレリーフがもうアッシリアというかアケメネスというか、たまらん。

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パールシーは菜食主義ではなく、肉をよく食べる。今までのインド人同僚は皆、菜食主義者だったのでパールシーのレストランに連れてきてくれる人はいなかった。

 

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Pallonji'sパロンジというパールシーの飲食店以外ではなかなか見かけないというインド産コーラのようなもの。ジンジャーエールとコーラの中間のような味なのだが、強烈に甘い。

 

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バナナの皮に包んで焼いたハーブ魚蒸し。全く辛くない。臭みも無く美味しい。

 

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名前を一瞬で忘れた。スパイシーな卵焼き乗せ何か。これがまた食べたい。

 

 

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パールシー式ビリヤニ。鶏肉入りのインド炒飯。ベジタリアンビリヤニより美味しいのは肉と旨味とこのイランの木の実。

 

ちなみにビリヤニはインターネットで調べると世界三大炊き込みご飯なんだと出てくるけれども、では他の二つは何かというとパエリアと松茸ご飯だと。そんなわけあるか。中華料理が怒るだろう。biryani、paellaと検索してもそこにMatsutakeなんて出てこない。日本人が吹いてるだけだろう。

 

 

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脱線したがパールシー料理はとても美味しかった。同僚曰く、パールシーの連中は見た目ですぐわかるよね、と言われたが全く容姿の違いがわからない。

 

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貴重な経験ができた。多謝。

 

 

韓国人はウンチがお好き

かもしれない。そうに違いない。

 

韓国滞在中、唯一、受け付けなかったのがこちら。

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ウンチみたいな見た目だな、と思ったら本当にウンチを意図しているらしい。カップルセットで2000W割引の7000W、22%オフ。二人してキャッキャ言いながらウンチを頬張れば愛も深まるに違いない。そんなわけない。

 

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話題作り先行の店が一つあるわけではなく、何店舗も散在しているところを見ると、それなりに支持されて定着していることになる。和式便器型の皿にウンチ型のワッフル。洋式便器型の碗にあるまじき写実性を持ち込んだとぐろウンチ型の何か。洋式便器型の碗に注がれたカフェオレに至っては酷い下痢としか思えない。

 

「トンパン」と言い、少なくとも2014年6月には「匂いも食感も申し分ない逸品」として話題になっていることがRocket Newsで確認できる。つまり5年以上も人気を博していることになる。タピオカブームは5年以上も続くだろうか。換言するならばタピオカよりも長く愛されているのが韓国でのウンチ焼きだと言える。

 

息子たちにお土産で買っていったら絶対喜ぶと思う。鉄板。ウンチ、ウンチ、連呼して私と妻に何回も「やめなさい」と怒られることになると思う。だから買わない。

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そういえば弘大にアラレちゃんの壁画があってみんな、写真を撮っていた。この2019年の世に、若者が集まる街になぜワンピースでもナルトでもなく、ドラゴンボールですらなくアラレちゃんなのか。道ゆく若者は生まれてないだろうが。

 

合理的に思いつく理由。アラレちゃんといえば、棒の先に刺さったトグロをまいたウンチ。韓国人はとぐろを巻いたウンチが好きなのか。生まれてもない若者にもウンチの象徴漫画として次世代に引き継がれたわけか。

 

韓国人のチームメンバーに「韓国人はとぐろウンチが好きなのか、あなたも好きなのか」と聞いてみたかったが、いつも韓流アイドル並みに隙のないオシャレをしている彼女は下手したら口を聞いてくれなくなりそうなので聞けなかった。疑問は解消されずに終わった。

 

12回もウンチと書くことになるとは思わなかった。

カロスキルよりもインサドン。最新流行スポット仁寺洞アート雑貨散策

仁寺洞は再開発が進む最新流行スポットだそうだ。王宮、ギャラリー街、韓国村という古民家を改装したお洒落なカフェやレストランが密集した地区が相互に徒歩圏にあるので週末を潰すのに至極快適だった。

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サンジキルという雑貨店が入った商業施設が大抵のガイドブックには載っているここ数年の流行スポットらしい。ガイドブックの写真からは気づかなかったのだが、廊下が5階まで螺旋状になっており、しかも廊下に面した店舗は全て全面ガラスなので歩きながら興味のある店を見つけたら入ることができ、右往左往せずに全ての店を見られるのでとても便利な構造と言える。

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1階の片隅にあるアンティーク風なデザイン画を印刷したグッズを売る店へ入った。特に韓国らしさがあるわけではないのだけれども、昆虫、鹿、サボテン、犬を辞書の頁に重ねた印刷物が私の好みのど真中だったので買ってしまった。

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ネットの画像をコラージュしている安易なものではなく、わざわざ店主が被写体の写真を撮っているのだという。他に数人、デザイナーがいるとのこと。印刷も近く見ても粗がない品質。

 

最初は冷やかし客と思ったのか、店主は鈍い反応しかみせなかった。私が見本帳から、これとこれを見せてくれ、と頼むと少し売る気が出てきたようだ。

「3枚買ったら1枚サービスする」とディスカウントショップの情報のようなことを言い出した。

「虫が好きなんだよね」と店主が言う。私も好きだ、と返して陶器で虫の植木鉢を作っていると伝えスマホに保存している写真を見せた。

「おー 売ってるのか?」

「売ってない?売りなよ。売れるぞ」

「何、趣味の作品だし数が作れないって?そうか、しゃあないな」

「インスタ登録したらうちの最新の商品情報を見れるぞ」

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「ああ、写真も撮ってくれていいぞ」

「今度、カンナムに移転するんだ。3倍の広さになるんだ」

「俺もサボテンが好きでな。これを見てくれ」

 

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「2年でこんなに育ったんだ。すごいだろう。」

「ユーフォルビアは水が好きっぽくて水抜き穴がなくても問題ないな」

「ここにはそんなにないけど、サボテンをモチーフにしたやつも実はたくさんあるんだ」

 

話が止まらなくなった。このおっちゃんとかなり気が合いそうな気がする。最初の朴訥な印象は単なる客あしらいの無愛想に過ぎず、いざ私の興味関心に共通点があるとみるや饒舌になった。思った以上に英語が流暢だしユーフォルビアだとかエケベリアだとか多肉植物の種類もわかる。もっと仲良くなって日韓多肉植物陶器交流したい。

 

サボテンや多肉植物のサンプル写真を送れば、デザインに落としこんで背景を辞書風に加工して制作してくれるそうな。受注制作も多いとのこと。

 

おっちゃんと話したら、早く帰国して作陶したくなった。こういう、良い刺激を受けられる友人が高円寺に欲しい。

 

 

通仁カゲという5階までギャラリーの入っている建物があり、1階の陶器店が素晴らしかった。先端の作家ものの陶器が並ぶ。白磁青磁、枯れた風合い、歪みや割れの偶然を愛でるもの、やはり日本人の美意識との近さを感じる。写真を撮ることが憚られたがアンティークの皿の高台に薄く挽いた白磁を重ねた陶器が目を惹いた。 


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巨大な筆を含めありとあらゆる書道具が売られる専門店もあった。

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ムキムキ韓流イケメンが巨大な筆を肩に乗せてイキっている巨大広告なんかもあって、さすが韓国。韓流であれこれ解決するのだ、きっと。

 

周辺にはギャラリーや作家モノの作品を売る雑貨屋が多くて街歩きが楽しかった。

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木製の幾何学模様の部品がクルクルと回っているのだが、ぼうっと眺めていられる。

 

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徒歩数分の距離に益善洞と呼ばれる流行スポットがある。韓国村という古民家街で家屋を改修してお洒落なカフェ、レストラン、スイーツ屋、バーに転用している。

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こちらのカフェ「トゥルアン」はカフェソウルという斎藤工出演の日韓合作映画のロケ地になったそうで、日本人の観光客も多いのだそうだ。靴を脱いで寛ぐ小上がりもある。

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柿の葉茶に干柿の中にクルミを詰めたお菓子。 

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 なかなか素朴で美味しい。

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本当に街並みは洗練されたカフェやレストランだらけで感心した。もっと写真を撮っていたかと思ったが全然撮っていなかった。

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私は若い女子やカップルだらけのカフェで食べるよりも美味い韓国大衆料理が食べたい。益善洞を出た小さな食堂に入った。

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蛸のビビンバを頼んだ。

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混ぜて、混ぜて。辛くて美味しい。


芸能人が集まるというシンサ、カロスキルよりもインサドンの方が私の好みかもしれない。

仁寺洞

昌慶宮

昌徳宮

サムジキル デパート

通仁カゲ ギャラリー店 工芸

益善洞 トゥルアン 伝統家屋のオンドルカフェ


 

 

韓国の紅葉と昌徳宮と昌慶宮


日本より先に韓国には冬が来ている様子。最高気温7℃、最低気温-4℃。そんな寒さの中、氷雨のソウルを散策した。世界遺産にもなっているソウルの五王宮のうちの昌慶宮、昌徳宮へ。

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街中で韓国はパステルカラー使いが多い。西洋的な「可愛さ」の模倣かと思っていたのだが、王宮の色使いを見るとパステルカラーは韓国で古くから好まれてきた色彩なのかもしれない。

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気候が日本と近い韓国では植生も似ていて、この通り紅葉も美しい。

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雨の中、人影もなく棄宮の佇まい。大人ならば容易に乗り越えられそうな壁の高さが平和な時代の王宮の造りだ。最初の宮殿は600年前の1419年に建造され、豊臣秀吉が攻めた折に消失した。日本の軍勢が焼き払ったのかと思ったが、実際は豊臣秀吉軍が入城する直前に民衆が略奪し放火したらしい。韓国人からしたら、日本のせいで焼失したことには変わらないだろうけれども。

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黄色から朱色へと錦状に移ろう葉。

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全体的に霞んだ抑制の効いた淡い色の中で鮮やかに引き立つ模様。

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立ち入れない柵の中の紅葉の株元は赤一面だった。

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扉の色は和名で言えば「水浅葱」あたりだろうか。

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人工の建造物の色彩よりも植物の色の方が遥かに色彩が強いとは。

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魔除守護の霊獣だろうか。とぼけた顔をしている。紫禁城の最高位に格の高い建物には十の像が乗るのだったっけ。

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韓国の紅葉も以呂波のような切れ目の深い葉で葉脈が一際鮮やか。素晴らしい。

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昌慶宮の玉座の背後の衝立に描かれた山と日月が気になる。京都の西陣に「松翠閣」という西陣織工芸美術館があって、そこにも見事な日月山水図の西陣織が展示されていたのを覚えている。閉鎖してしまっていたが、今年、あさぎ美術館として開館され展示されるらしい。

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昌慶宮の池の片側にガラス宮を模した植民地時代に造られた温室がある。その中でも様々な植物が紅葉していた。

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この流し込みのような赤と緑の滲んだ混ざり合いは見ていて飽きない。

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錦木のような葉の鮮烈さ。

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寒い季節に一際、目立っていたのは山茶花

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Camellia Sasanquaだそうだ。椿をCamellia Japonicaと命名した後、花弁がひらひらと散る椿に似た花はまとめて日本語のササンカを転用してしまったのか。

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Sedum takeshimense。私の愛する多肉植物セダムのようだが、竹島の名を冠してしまっている。さすがに学名は政治的理由では変えられないのか。日本ではタケシマキリンソウと呼ばれているやつだ。

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こちらはCirsum nipponicum、和名はナンブアザミ。Cirsum japonicumだとノアザミのこと。いずれも日本の固有種ではなく、朝鮮半島や中国大陸でも自生しているらしい。昔は名付けに政治的な側面は無頓着だったのだな。その頃は植物学者は朝鮮半島にさほど目を向けなかったのだろうか。


日本にいると右傾化した報道ばかりで日本の植民地の名残は須く目の仇にされているかのように書かれているが、こうしてtakeshimenseなどと書かれた札が目立つ場所に置かれているところを見ると韓国は至って平和だ。


紅葉を愛でる文化も、建物も、日韓の美意識は多くの点で近いことが多い。それでいて明確な違いもあちらこちらに感じるからこそ、お互いに魅力にも感じやすいのではないかと思う。本来、もっともお互いの良さがわかる文化同士なのではないか。