神々しい朝の陽光と深い青紫、陶蟲夏草鉢「蚕蛾」

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春秋のよく晴れた朝の陽光は魔術をかけてくれる。

水耕栽培で咲かせたヒヤシンスの球根を庭に地植えしたものは施肥もしておらず小さく咲いた。その代わり、花びらの紫に子房の深い、深い青は素晴らしい。
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触角も翅もボロボロになった姿に愛おしさを感じてしまう。羽化したばかりの完全体ではなく、生き抜いた姿。
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顔に光を浴びた姿も良し。
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見ていたら創作意欲が湧いてきた。蚕蛾が身体を窄めて立ち上がったような姿を作りたい。

生ハムのあるタイ居酒屋「メコン東京」

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3月にオープンしたばかりの創作タイ酒場「メコン東京」に行ってみた。ちなみにビールはチャンとかタイビールは一切なくラオスビール飲み。
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今だけLINE登録で生春巻きがサービスされる。山葵醤油で食べるようでここらへんも創作タイ料理らしさか。タイらしく甘辛いタレで食べたいかもな。
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お勧めと言われたのでレバーとパクチー。レバーは筋があって少し食べづらかったけどパクチーと合うかも。
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「あの屋台のパッタイ」だそうで、創作せずにタイのそのままのパッタイが出てきた。これは英断。パッタイに創作は要らない。
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何故か生ハムがある。
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創作メコン流域料理が正しいのか。ただそれだと分かりづらいからイメージしやすいようにタイと名付けているのか。いや、創作とつけたらどんな逸脱も「だから創作なんです」といえば通じるのか。

 

創作って便利な言葉だなとしみじみ思った。美味しければ、正統派だろうと創作だろうとかまわない。

蝉透かし翅鉢造形と本焼き

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日々、挑戦あるのみ。ということで翅を透かし彫りした蝉成虫の陶蟲夏草鉢を作った。
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確実に衝撃で破損しやすいので太い子実体をガードの為に生やした。それでも当たりどころが悪ければすぐ破損してしまうのだろう。
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それでも、蝉の成虫の儚さを表現するのに透明感を出すために透かし彫りした翅を作りたかった。
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重心のバランスを取るために反対側にもつける。粘菌や菌糸っぽく粘った感じに。
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乾燥するまでにひび割れてしまう懸念も高い。素焼き、本焼きを乗り越えられるか不安は大きいが出来上がりが楽しみになってきた。
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素焼きも第一弾が焼けた。
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ギチギチの計量。測定するたびに、焼成費を思うともっと薄く軽く作れば良かったと後悔する。
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釉薬をかき混ぜるとやたら濃い気がしたのでボーメ計で測定すると70。水を加えひたすら撹拌して55に整える。釉薬の適度な濃度調整など一つ一つ手を抜かずに最善を尽くさないと思わぬ失敗につながる。

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さあ、無事に焼けてくれますように。1230℃にセットし、6時間掛けて620℃近くまで温度上昇させ水蒸気が出なくなったことを確かめて栓をして退室した。
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フラワーショップ「ラフレシア」

オザキフラワーパークの下の階にある切花やドライフラワーを売る花屋「ラフレシア」。ここも久しぶりにきたら店舗スペースを拡張して品揃えも強化されていた。

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なんとも珍奇な風貌なプロテア。

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化粧道具のパフのような手触りのふわふわもふもふ感。こんな
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3,300円か。ううむ。予算オーバーだな。この価格の花材を合わせるのはしんどい。
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チーゼルも顎や下葉を落とせば胞子嚢っぽい雰囲気になりそう。
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旅人の木の種は着色したわけではなく天然でこの青さ。

 

猫柳とアーティチョークが最近、気に入った新しい花材。

 

 

作陶について 土の風化と崩壊を取り込む

「陶蟲夏草」という作家名で冬虫夏草をモチーフに植木鉢を作っている。

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instagramのアカウントを作り作品を載せ始めたらありがたいことに誘われるがままに今年は5つの展示会に出すことになった。自ら博物フェスティバルというイベントに参加応募してみようと思ったが作品を作り溜めできそうになくて断念した。

 

1〜3月のもの

6月のもの

4〜7月のもの

10〜12月のもの

12月のもの

常設展示していただいているギャラリーにも必ず追加納品したいと思っている。

それとは別に個人の制作依頼が2件
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蟲から菌や茸へと生が託され紡がれていく過程で蟲が苗床となり朽ちていく儚さや虚しさ、それを糧として育ち実るささやかな喜びのようなもの。整理できない曖昧で混じり合ったものを混ざり合ったままに。

 

単に表現したいと思っていたし、それが伝わる人がいれば良いなと思って作ってきた。いろいろお声がけ頂くようになったのはそれが少しづつでき始めているからだとは思う。ただ、まだ私の求める理想とは程遠いものを出していることに恥ずかしさや後ろめたさがある。

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次の展示会の作品を制作し、その次の展示会の作品の構想を練りながらもふと気を抜いた時に「どん」と落ちるような虚しさにも囚われる。

 

鳥山明さんがなくなった。アラレちゃん、ドラゴンクエストドラゴンボールにどれだけの時間を接していただろう。近所の幼馴染と一緒にドラクエをして遊んだ。海外に住んでいる時、友人宅にドラゴンボールが全巻あって最新刊を読みにいくのが楽しみで仕方がなかった。鳥山明作品を思い出すと友人との思い出が芋づる式に湧いてくる。自分の子供時代が失われたような喪失感がある。そしてちびまる子ちゃんの声優さんも亡くなった。

 

バイデンとトランプが相変わらず大統領選を争っており、そのどちらかしか選択肢がないことにただ暗い気持ちになる。有能な候補者が出てこない仕組みに巨大な機能不全を感じる。

 

興味関心をなくして米や欧州からの支援の途絶えたウクライナはロシアの目論見通りに屈するのか。パレスチナも見捨てられつつある。

 

帝国主義を批判しながら自らの軍事力を強化し恫喝外交を続けている隣国の経済も停滞し始めて不穏な気配もし始めた。

 

恵方巻きの大量廃棄だとか過剰繁殖させた犬猫の死だとか電車や雑踏での無差別殺人だとか10歩進んで9歩後退するのが、時には11歩後退する時もあるのが世の中なのだろうなと思えてくる。

 

両親は老い、理屈で考えれば20年後にはいないことに思い至る。自分も健康診断の結果は今までAだったが前回からD判定だらけだった。確実に無理が利かなくなっている。

 

売上と利益の伸長を目指すその先に何があるのかわからず成長が自己目的化した企業で、キャリアとか自己成長に冷め切ってしまった。

 

活躍する友人や先輩後輩の報に触れるたびに同じような情熱を自分が持たないことに残念に思ってしまう。

 

仕事は家族を養う収入のためと割り切った場合、経済基盤に大きな懸念はない。幸にして息子たちはそれぞれに人格を持って育ってくれているし、今後もゆるやかに健全に親を離れていくだけだと思う。自分が死んでも遺族年金が支えてくれる。

 

とてもではないが後世に残るようなシロモノではない高校生が図画工作で作れそうな陶器鉢を忙しく作り続ける自分に何をやっているのだろうと冷めた目で俯瞰してしまう瞬間が増えた。自分自身が世の中の何の役にも立たずに潰えていくのを自覚する。

 

こういうことが諸行無常、浮世の示すところを肌感覚で感じているということなのだろうか。遥かに速いサイクルで生死を繰り返す蟲にも同様の苦悩や葛藤、虚しさがないとは言い切れない。

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作りたいのだから今後も陶器は作ろう。作品の精度を上げていって1作品10万円以上で売れるようにしていきたいわけではない。多くの人が少し覚悟して迎え入れられる価格帯で届けられるようでいたい。作品の質を遥かに引き上げていきたいという気持ちはある。制作日数や密度を増やしていくのではなく粗くとも洗練された形。雑そうに見えてハッとする線が潜んでいるような、最高に美しい素描のような作品を目指したい。

 

積み上げた実績というか基盤は明確に進みたい方向が出てきた時の足場になるのではないか。その時のために目先の展示会に向けて作品制作を頑張ろう。虚しさに負けるな。

 

「土の風化や崩壊」を取り込もう。作品に少しばかりの要素を加えるにあたって、結構多くのことをうだうだとあれこれを考えているのだという話。

 

東京で一番勢いのあるように感じる園芸店オザキフラワーパーク

半年ぶりに来たオザキフラワーパーク。

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植物売り場の真ん中に夢心地な映えスポットが作られていた。

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猫脚のバスタブに浸かりながら優雅に本でも読みつつ、時折休憩に頭上のビカクシダや足元の苔絨毯を眺める週末。たまらない妄想の世界が実現していた。この先端を先取りしていく姿勢がオザワフラワーパークの魅力。

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売り場の配置が面影がないほどに変わっていた。この躊躇うことなく労を惜しむことなく改善し続ける姿勢には頭が下がる。
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アマゾン本社で見たのと同じ観葉植物が売られていることに驚喜。クロコダイルファーンというのだそうだ。
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しかも2,980円と手の届かない値段ではない。衝動買いしそうになったが最低気温5℃以上を必要とするらしいので凍死させては可哀想なので諦めた。

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巨大なビカクシダの塊がぶら下がる。「コロナリウム」の大きなものは40万円など。
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19,000円。葉幅が狭く鹿角らしさに溢れている良品。我が家に迎え入れるならこのぐらいの値段のものがせいぜい。
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ウツボカズラがゆらゆらと揺れる。
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何十万円もする株を見ると数千円の株が安く見えてしまう危険なお店。
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売り場がジャングル。
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いいなと思っていた白棘のマミラリアもウロウロしている一瞬で姿が消えていた。
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「残雪の峰」の雪の白さが陶蟲夏草鉢に合う気がする。他の売り場を見て戻ってきたらもう姿はなかった。残念。欲しいものは躊躇してはならない。
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接木は台木が先に枯れるイメージがあり、接降ろしをして発根管理するのに心理的ハードルがあって手が出ない。
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通常のホリダは2,900円。ゼブラになると7,980円。縞に拘らなければ通常ホリダでも良い。
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趣味を楽しむ人にとって日本は大概のジャンルでハイレベルなものが揃う稀有な国なのではないかと思う。大抵なものをタイや台湾などから輸入して揃えてしまう。
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造花コーナーもレベルが高い。山野草、庭木、観葉植物、サボテン、熱帯魚、両生類。各ジャンルの水準が高いのだよ。
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チランジアの造花は株元に苔が張った仕様の美品。
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素晴らしい星、星、星。
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カンガルーポーも素敵なのだが、ドライにするとポロポロと崩れてしまうのだよな。
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久しぶりに来るたびに大きな刺激と植物欲を煽られる名店。

陶器屋さんの「羊と山羊」で催されていたオベサ祭りへ

 

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以前からinstagramで流れてきて気になっていた陶器店「羊と山羊」。作家もののお皿や酒器、植木鉢を扱っているのだが作家の選び方やホームページがかなり好み。そんな「羊と山羊」がオベサ展を催しているとの情報を得て12kmを自転車で走った。
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窓辺に置かれたオベサの多頭ぶりがすごい。先日来た中国人もしきりと質問してきたそうだ。残念ながら店主の非売品だそうだ。納得する迫力。
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LIGHTHOUSE.PLANTSという東京近郊でオベサだけをひたすら扱っている園芸店があるそうだ。昨今、アガベ専門、ビカクシダ専門はよく見聞きするけれどもオベサ専門というのは珍しい。
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同じ品種かと思うほど個性的なオベサの株が並ぶ。球、多頭、綴化、多頭融合、瓢箪型、柱。
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基本的にオベサしかないのだが、唯一の例外がこのテフロカクタス・ゲオメトリクス。ファンタジーの世界の植物のように球が連なる。こういう粘菌の胞子嚢のような形状の植物を私の陶蟲夏草鉢に植え込みたいのだよな。
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結構な頻度でさまざまな作家さんの作品が入荷するらしく楽しみなお店を見つけられることができた。自宅からオザキフラワーパークまで10kmほど距離があるのだが羊と山羊までは12km。オザキフラワーパークとハシゴする良いお店を見つけることができた。
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白眉が30cm以上ありそうな綺麗な直立したオベサ柱。樹齢は40年を超えているそうだ。木質化している樹肌の模様が素晴らしい。
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お迎えしたのがこちら。玉葱型オベサ。ポンプのように先端から何かを大量に反射しそうなフォルムをしている。
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深いスリットも面白い。真上から見ると丹精な点対象をしているのもわかる。鉢を回しながら育てていきたい。
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どんな鉢が合うだろうか。

 

店主は八木さんというらしく、それで「羊と山羊」なのだそうだ。山羊、陶器、植物と好みが三重に一致する大変、気のあいそうな店を見つけられて嬉しい。オザキフラワーパークとハシゴできる店が見つかったという点でも嬉しい。