金魚鉢刷新

ささやかな愉しみで温和に平凡に生きていける自信がある。それで満たされることができる。しかし現代社会人としては向上心の無い人ということになってしまうのだよな。今は良くとも10年後、20年後を考えるとこんな隠居爺のようでは成り立たないのがつらいところ。


金魚鉢を一新した。冬の間に枯れてしまった金魚草を取り出し、睡蓮を沈めた。そこに布袋草を二株ほど浮かべて日陰を作る。ごくごく簡易ではあるが簡単なエアポンプもとりつけた。よしずを半分かけて鉢の半分に影をつくり温度上昇を防ぐ。金魚鉢を直接、直射日光にさらすのは良くない。日夜の水温の変動幅が大きくなってしまうし、藻が発生しやすくなる。しかし睡蓮はよく日に当てることが重要らしい。ここらへんはどうにもならんが、中途半端な状況の寄せ集めでそれぞれが耐えてもらうしかない。そして酸性に傾きすぎないように鮑の貝を入れてみた。


現在の顔触れは紅い頭の丹頂、朱色の劉金、そして黒の蝶尾の三匹。


ううむ。いまひとつ足らない気がする。底に砂を敷いてみようか。鉢の淵に苔を活着させてみようか。金魚が食べられる線の細い水草を少し入れてみようか。はたまた水面の上に直立するパピルスでも植えようか。

熱帯魚バー BLUE FISH AQUARIUM

三条河原町にある水族館だらけのバー。


水槽の中はどれひとつ同じではなく、こちらではコブダイ、あちらではイソギンチャクとクマノミ、あちらではネズミザメ、極彩色のハゼに蝦と華やか。いくら珊瑚礁の海を潜っても、こんな高密度に華やかな固体がいるわけではない。泳ぎ回って探し出すからこそ驚きと喜びもあるのだが、ここのようにオールスターが揃っているのも目に楽しい。


カウンター席に座っていた女性二人組の目当ては魚ではなく男前のバーテンダーのようだった。感じの良い若いのが揃っている。どうやら彼女らは看護婦らしい。魚に癒されに来る客もいれば、不規則な生活の中でバーテンダーに癒されに来る人もいる。


またダイビングに行きたい。そんな衝動に駆られるバーだった。今度は沖縄の慶良間にでも行ってみようか。それともパラオにでも行くか。


テーブルチャージ520円。ドリンクは700円から1000円程度。水族館に行ったほうが安いのかもしれないけれども、この青く浮かび上がる雰囲気の中で座って酒を飲むのもまた別の良さがある。


BLUE FISH AQUARIUM
河原町通三条上ル二筋目東入ル恵比須町
[月〜木・日・祝]
19:00〜翌3:00
[金・土・祝前日]
19:00〜翌5:00
夜10時以降入店可、日曜営業

餌やり

金魚藻が茂りすぎているものだから、肝心な金魚は殆ど目にすることができない。しかし時折、庭にはそこらから猫がやってくるので獲られない為にはこれで良いのかもしれん。


唯一、確実に観られるのが餌をやる時。



鰹節のようなフレーク状の餌。金魚は構造上、胃が無いらしく餌をやりすぎると消化不良を起こす。それでいて、腹八分で食べ終えるという自己抑制もできぬらしい。自然界では生きられぬまでに体型も人工的に手を加えられて久しいくせに、そういうところはなかなか変わらぬものらしい。


今まで3日間餌をやらずとも元気だが、一体何日間ほど餌やりをせずに家を空けても大丈夫なのだろうか。水面に落ちた羽虫を食べたり、金魚藻を食べたりしてくれているのだろうか。


金魚藻

カボンバという種の金魚藻を睡蓮鉢に入れてある。何やらラテンな響きのする北米 原産の沈水性植物。



水草は以下の重要な役割があるとされる。

  • 二酸化炭素を吸収し酸素を供給する
  • 金魚の隠れ家となりストレスを低減する
  • 金魚の餌となる


小生にとっては、水換えの頻度を減らせ、何日も家を空ける際に食いつないでもらえるので楽ができる。ネットで情報収集するかぎり、日照不足で葉が溶けたり枯れたり、はたまた金魚に食べ尽くされたりと扱いづらい側面もあるらしい。幸いにも我が家の路地モノは水面を覆うほどに日に日に増殖。肝心の金魚が見えなくなった。

小さな白い蕾発見。その背後には僅かに覗く紅。

琉金と丹頂

金魚。最もインテリア性の高い和様に合う観賞魚ではなかろうか。しかも錦鯉などと違って、金魚鉢さえあれば飼える手軽さも良い。熱帯魚と違って外で越冬できる丈夫さも有り難い。


残念ながら家の近所には金魚を売っている店が無い。熱帯魚店があることにはあるのだが、龍魚専門店で金魚と言う庶民の愛玩魚には関心が無いらしい。そこで30分ほどかけて六地蔵コーナンまで足を伸ばした。


江戸時代には大量の品種が生み出された金魚。しかし関東大震災、第二次大戦などの惨禍で多くの種が途絶えてしまったと言う。発祥の地中国でも同様な様で、文化大革命時に旧文化として非難され、多くの品種が途絶えた。香港の金魚街に行くと、多くの水槽には「日式」品種が並ぶ。


どうも「出目金」や「水泡眼」、「天頂眼」なんかは畸形に見えて痛々しくて苦手だ。「花房」や「獅子頭」のように頭がボコボコと隆起したランチュウ系品種も好きではない。


琉金」体型が好きだ。あの尾鰭がふわりと広がる様も優雅で涼やかだ。尾鰭が反転した「土佐錦」も好みなのだが、天然記念物であるし、値が張る上に栄養価の高いイトミミズを与え丸鉢で飼育する必要があるとのことで、敷居が高いので諦めた。血が濃く体が弱い上に、青水ではなくさら水を好むと言うので逞しく屋外飼育するには不向きなようだ。


色は斑模様よりも1色もしくはせいぜい2色のものが良い。「キャラコ」は好みではない。「茶金」の銅色もなかなか魅力的だ。


そんなわけで、肉瘤のあまり発達していない「丹頂」と、白の入っていない一番真っ赤に思えた「琉金」を一匹づつ購入した。紅白一対の金魚の雌雄は分からない。金魚の寿命は10〜15年と言われる。露地飼育では15年まで生きないだろうが、可能な限り長生きさせたい。


奇しくも京都便利堂で見かけた美術はがきに神坂雪佳の「金魚玉」があった。この容姿、琉金ではなかろうか。そして左右に配されているのは「しのぶ」。金魚しのぶ玉のアイデアはこんなところに既に有った訳か。



http://kingyo.zukan.in/?Zukan

しのぶ

京都の新居に植えたい観葉植物のひとつに「しのぶ」がある。


これは日本に自生する羊歯類なのだが、特に常磐忍は雪降る寒冷地ですら緑を保つ常緑草なのである。坪庭なんかにちょぼちょぼと生えているあれだ。常に瑞々しく、かつ半陰性でもある為、建物の陰などにうってつけの植物である。


地味な存在にしか映らなかったが、最近妙に惹かれる。関東なんかでは軒下に玉状にしつらえた「釣り忍」というものを吊り下げた光景が江戸時代では一般的だったらしい。羊歯の葉が青々として狭い路地裏でも涼を取れる。


その下に風鈴をつけ、目と耳で涼をとるものもある。苔玉というのも、要は忍玉を現代風にアレンジしたということらしい。


さらには最近には釣り金魚鉢を覆うように仕立てた「釣り忍」もあるらしい。江戸時代からの歴史あるものかと思いきや、金魚鉢仕立ては東京最後の忍屋、「萬園」の深野晃正氏が多摩美術大学東京造形大学と連携して生み出した新しい様式らしい。古いようで新しい。


そこらのサイトから画像を拝借。。。

ううむ。この金魚鉢仕立て釣り忍が欲しい。京都で手に入らぬものか。忍は一年でも数センチしか成長せず、生業として成立させるのは難しいらしい。とは言うものの鉢物は数百円で手に入るので、自分で仕立てれば安く上がるかも知れぬ。


これはバリ島の道端でみかけた。日当たりの悪い壁があったら、このようにしのぶを植え込んでみても面白いのではないか。苔としのぶはどうやら相性が良い。

彦根城下町

予想以上に町並みが綺麗に整えられていた。古びた風情は無いが、活気がある。こんな町が増えて欲しい。100年後にはそれなりの雰囲気を纏うであろうよ。頑張れ。


観光地作りの成功例として表彰されているらしい。


近江牛、鮎尽くしと近江名物の店が並び観光客で賑わう。値段に見合う旨い店はこんなところにはおそらくないのだろうが、これはこれで雰囲気を楽しむと思えばよい。


こんな町並みが広大に広がっていたら面白いが、遠目からはどれも同じ家屋に見えてわかりづらいとも思う。現代のように建築様式が多様化し、ランドマークとなる建物が増えても町並みは同じに見えがちなのだから、江戸時代の街並みなど大層わかりづらかっただろう。