今後の作品の方向性「風前塵」

人生の折り返しをすぎると虚無感との戦いだと思っている。

 

平家物語の冒頭は簡潔にしてこれ以上、一語として引く余地がない。

 

祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。奢れる人も久からず、ただ春の夜の夢のごとし。猛き者も遂にはほろびぬ、偏ひとへに風の前の塵におなじ。

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人の一生も俯瞰してみれば蟲の一生とたいして変わらない。100年も経てばみな骸だ。200年前の経済的に成功した人、裕福だった人、不遇を嘆いて無くなった人、自分は志高く生きたと誇りに思って寿命を全うした人、それらを誰も覚えてなどいやしない。
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昨日、今日に会った人、明日に会う人。通勤電車に同乗する人も上司も部下も飲食店の店員さんも自分が隠居生活に入った頃には覚えてもいない可能性は高い。現時点の生活の中で頭に浮かぶ人たちは60年後には生存すらしていないし誰も覚えていない人たちだと思っても差し支えないだろう。無常で虚しい世の中を私たちは生きている。少なくとも自分はそう思っているしその思いは年々強くなっている。その寂しさを前提に価値あるものを見出して行く。
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そういうものをもっと凝縮して具現化した作品にしていかねば。

 

風前塵をテーマに据えて作っていこう。