海洋堂ミュージアム

もうすっかり忘れ去られているのかもしれないが、10年ほど前に大人がこぞってチョコエッグの中の動物模型に夢中になった時期があった。ソニーの子会社にバイトとして出入りしていた時分、多くの社員のモニターやパーティションの上に並べてあるのを見たことを今も覚えている。何の役にも立たないプラスチック片ではあるのだけれども。動植物が好きで造形物も好きな小生は案の定、はまった。



これが150円もしないペットボトルにおまけとしてつけられていたのだから驚きだ。そしてその時、それを制作していた海洋堂という模型屋の存在を知った。今回は京都から電車で1時間半ほどの滋賀の長浜という町にある海洋堂ミュージアムに行ってきた。




これらはどれも実際におまけとしてつけられていたもので、それらを集めるとこんなジオラマが作れてしまう。大抵、5,6個の部品に分かれていて、その切り出し方も直線ではなくて興味深かった。彩色は中国の工場で大勢の作業員が絵筆を持って塗っていたらしい。そんなわけで凝視すると微妙にどれも違うのだが、それにしても無料のオマケの概念を覆す品質だ。




プロモーション限定のオマケだったけれども、150円の商品に付けるオマケなわけだから一つ数十円で作れないと採算性は無いのではないか。そんな値段でこれだけの精緻なものを作れるというのは恐れ入る。



結局チョコエッグからチョコQに、フルタからタカラへと名前や提携会社を変えながらもブームは数年続いた。しかし景品法だかの観点からシークレットという低い割合でしか手に入らないオマケの収集目的に過剰に商品購買を煽る仕組みが問題視され、中に何が含まれているか明示しないといけなくなった。そしてシークレットなんてものもなくなった頃から次第に世間の熱狂も冷めていった。



「松本しのぶ」という造形師による、グロテスクと言われようが写実的な造形がなんとも見事だった。繰り返すようだが数十円のオマケの世界にこれだけのものを持ち込めたのがなんとも驚異でならない。



ちなみに小生はチョコQのアニマテイルズと呼ばれた日本の固有動物シリーズが好きだった。特に爬虫類の造形が見事だった。中期以降のフルタからのものはなんとなく雑なものが多く、造型師も松本しのぶ氏でないものが多かった。やはり彼のものでなければ。



ここ海洋堂ミュージアムには無色の模型に好きな色を塗る絵付けもできる。



さすがサンプルも創造的だ。T-レックスはかめはめ波を撃ちそうな体勢をしているものな。