「多肉の森」制作依頼。主役は碧瑠璃蘭鳳玉。

今夏、思い立ったこと。それは画家の知人に絵を描いてもらうこと。

 

京都にいる頃に親しくしていた仏画師の友人から、高円寺に在住の現代画家の知人を紹介してもらった。京都と高円寺、二つの街での縁だ。彼女の作風はどちらかというと女性的で幻想的な絵柄の画家で私には似つかわしくないのではないかという少し恥じらいというか敷居の高さを感じてしまうのだが、お願いすることにした。時にグロテスク、ときに不安定さが表現されていて綺麗すぎない深みがあると思っている。

 

大事なものの「今」を形に留めたい。テーマは「多肉の森の中の子供二人と犬一匹」。私の好きな趣味の一つである陶器は形を変えないが、子供達は日々成長し、多肉植物とて緩やかに形を変えていく。2019年の姿を切り取ってもらいたい。

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多肉の森の主役はやはり、この古木だろうな。碧瑠璃蘭鳳玉の巨柱。おそらくは50歳はいっていると思われる。多湿な関東で年に数十ミリという緩やかさで伸びている。

 

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木質化して灰色に硬化した株元とマダラになった中間部の表情が素晴らしい。

 

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真上から見ると端正な7陵。今年になって成長点に変化が見られた。子が二つほど吹いている。ここから二本に分岐しようというのか。これだけの巨樹になると花を咲かすだけでは足らず、子を吹いて子孫を残そうとし始めているのかもしれない。

 

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陵の数が元々は4つだったのが多い時には最大9つになり、ここ20年近くは7つで育っていた。子が頂点に出来始めたので今後どのように育っていくのか皆目見当がつかない。

 

碧瑠璃蘭鳳玉を主役に茂る多肉植物の深い森に佇む二人の男の子とそれに寄り添う犬一匹。私の好きな要素で構成された我が家の絵だ。寝室の壁にどんと飾りたい。15号サイズで依頼した。

 

絵だけで生計を立てている専業画家に制作を依頼するのだからけして安くはない。それでも1年後には覚えてもいないような職場の飲み会を重ねていくよりも、それらを減らす代わりに絵を描いて残してもらう方に価値を感じる。

 

作品の仕上がりが楽しみだ。