下諏訪 毒沢温泉神之湯で毒抜き

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自転車で下諏訪大社春宮の脇を抜けさらに北を目指す。調べておけばよかったと後悔するほどの急な坂道を自転車を漕いだり歩いたりしながら登っていき、住宅街を抜けるとさらに強烈な山道の急坂へと続いた。電動自転車の方が楽かと思ったが重たい車体を押し上げるよりは軽い自転車で結果良かった。


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つづら折りの坂道で休み休み登ってようやく辿り着いた。途中で引き返さなくて良かった。


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積み上げられた薪に冬の厳しさを想像する。

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私の信じる温泉ブランド「日本秘湯を守る会」。泉質重視で風情のない温泉宿もあったりするが総じて間違いない品質保証。

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観音像が立っている。

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湧出温度12℃の冷泉らしいがそれを42〜43℃ぐらいの少し熱めな湯温まで加温してくれている。大きな窓から風も入ってきてひんやりと気持ちが良い。

鳥海温泉、姥子温泉、エクシブ箱根離宮で感じられたなんとも言えない気持ち良さをまたここでも感じることができた。

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誰もいない貸切風呂。いろいろ雑貨屋や飲食店が閉まっていて不便な緊急事態宣言発出中の平日中日だったがそのおかげで温泉で他の客がいない贅沢を満喫できたのだろう。人気の飲食店で食べられるよりも湯船独り占めの方が私は嬉しい。


かくして毒沢温泉で毒抜き。

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湯船の脇に紙コップが置かれていて鉱泉を飲めるのだが、確かな酸味があって驚いた。健康に良さそうだが調子に乗って沢山飲むと腹にくる超硬水。


下諏訪に泊まるならここ一択のマスヤゲストハウス

全てがお手本となるようなゲストハウス。民泊するならこんな感じにしたいというのが詰まっている。

古い木造物件が素晴らしい。これに尽きる。

客室からしか行けない吹き抜けに面した内広縁のような空間にある二人がけのローテーブルセットが素敵。

寝具が茶色で柄が煩くなく、汚れも目立たない。

あちこちの広縁で寛ぐ人多数。

円窓のフォトジェニックな空間。

食事を一切提供しないのも有りか。利幅の高いアルコールと乾き物だけ提供。

バーで宿のスタッフが客の話し相手をしてくれている。誰かと繋がりたい人が来るところだから。

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下諏訪駅から10分足らずでさほど迷うことなく辿り着けた。

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なかなか好みな古民家の風情。実は古民家ではなく廃業したこじんまりとした旅館をゲストハウスとして再利用、再開業したのだそうだ。そのおかげで元々の作りが独立した部屋数が多い。

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元からあったのか、後から造作したのか。廊下に面した大きな円窓。冬には建具を入れられて仕切れるらしい。

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緑青のようなムラだらけの緑がとても好みだ。我が家のトイレの壁をこんな感じで真似て塗ってみようか。

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霞んだ村のある緑。

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廊下を挟んで中庭の石灯籠を眺めることができる。我が家に足りないのはこんなローチェア、ローテーブルのセットのように思う。

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広々とした炊事場。朝食も夕食も出さない完全セルフなのでこんなに広々としたスペースが必要かは疑問。大きな木のテーブルを置いて、好き好きに卓を囲んで朝食を取れる形式でも良いかもしれない。

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ゲストハウスなのでメインとも言える2段ベッドが詰め込まれた8人ドミトリー。押し入れをベッドにしているようだ。ドラえもん形式。鍵は全く掛けられない自由な開放空間。

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このような小上がりの座卓もある。この陰影と一輪挿しの美意識が流石。

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ダブルベッドルームもある。理想的には6畳欲しいところだけれども、寝るだけならば十分なのかもしれない。いや、大きな荷物を置くスペースは欲しいところ。

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しかしダブルベッドルームには室内からしか行けない吹き抜けに面した廊下ほどの幅の空間がある。

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反対側から見たところ。この空間がなんとも好みだ。吹き抜けに沿って多肉植物を並べ植えられた吹き抜けを覗けるスペースがあったら夢のようだ。吹き抜けの天井は天窓で遮光したり陽射しを入れたり。

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一時期デザイン系の雑誌でよく見かけた異なる大きさの窓を組み合わせた窓壁。

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元々が旅館だったこともあり、建具や装飾に艶がある。

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正門から中庭を挟んで眺める。蔵も整備したら離れの個室になりそう。

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雰囲気抜群。いいな、こんな家で余生を過ごしたい。

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私が予約したのはアララギの間。2〜3人で泊まることを想定した部屋だろうが一人で貸し切った。それでも6500円。ゲストハウスで個室を独りで貸し切るなんて学生時代に比べると贅沢になったものだ。

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ごくごくシンプル。テレビもないが、コンセントは十分にあるし無料WiFiもある。室内は飲食不可ということで冷蔵庫もなし。

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押し入れの引き戸をとっぱらい、寝具が積んである。シーツを敷いてセルフで布団を準備する。寝具は汚れの目立たない、柄模様のない茶色一色。それで良いし、それが良い。一番安上がりだし見た目にも存在感がなくて良い。朝、シーツは剥がして洗面所に持っていくシステム。

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個室を独占して清潔なシーツの中で迎えた静かでひんやりとした朝。そして目覚めには徒歩数分の銭湯温泉の熱々の湯。これが格別だった。

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マスヤ旅館の名前が残るかつての浴室。今は物置になっている。浴槽は持たずに簡易なシャワールームだけだが基本的には銭湯に行くから問題ないのだろう。公衆浴場に抵抗のある外国人客用という感じ。

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こういうものはわざわざ調達するには高すぎるありがたい遺産だろう。

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広縁に座りながら鉢植えの世話をしたり団子を摘んだり茶を啜ったり。そういう静かで長閑な日が恋しい。

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花瓶を置くだけで写真映えのする建物。


貯金を減らさずに年金と宿運営で収支を合わせて老後を暮らせていけたらいいだろうなあ。

諏訪旅 2日目 煮詰まって疲弊したら取り敢えず旅に出ろ

学び
  • 個室で迎える静かでひんやりとした朝と熱々の温泉が最高に気持ちが良い。
  • 大都会にいるとこれが良い、こうあるべきとのまやかしに惑わされがち
  • もっと対人的には謙虚に、かつ自分自身には我儘に生活することを心がけたい。我儘とは自分の好みに忠実になるという意味。
  • 田舎にも多様な生き方がありそれを良しとしている
  • 外に出ると、しかも遠出するほど新しいものが見つかる
  • 疲弊回復には休息と旅行が自分にはとても効く
  • 放牧してくれた理解のある妻に感謝

 

6時半に目が覚める。

徒歩数分の「新湯」という温泉銭湯で体を温める。昨日の菅野温泉42℃よりも湯温が高く目が覚める44℃の熱さ。マニアの中で人気の旦過の湯は47℃らしい。狂っている。もはや低温やけどの領域。

ゲストハウスに戻ってきたら雨が降り始めてしまった。自転車で走り回るのは昨日に済ませていて良かった。

 

 

2日目最初の観光として「日本電産サンキョーオルゴール記念館すわのね」へ。名前が長い。9時開館だがオルゴール造り体験は10時からとのこと。雨が止むのを待って遅く出て良かった。

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自分で曲を選び組み立てたオルゴール付きのフォトフレームを伯母と妻への祝いに贈ろうかと思っている。

700曲という選択肢の中から楽曲を選ぶ。幸いなことに伯母への選曲は既に決まっている。合唱団を長年指導しバチカンローマ教皇の前でも歌った伯母には私の結婚式でも歌ってくださったシューベルトの「アヴェマリア」。もう迷う要素がなくて楽だ。

 

妻は何が好きなのか全くわからない。King Gnuの「白日」やYOASOBIの「夜を駆ける」など最近の曲までカバーしている。散々悩んだ挙句、米津玄師の「パプリカ」にした。オリンピックが開催された年を記念して。曲も懐かい郷愁を誘う旋律でオルゴールの音色に合う。

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 一通り構造の説明をしていただく。

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ドラムと櫛歯は唯一無二の組合せなのだが、花のワルツのドラムにおじいさんの古時計の櫛歯を組み合わせて鳴らすなんてこともしてくれたのだが、案外これも良い曲。


ここからは自分でハンマーで叩いたりバネを巻き取ったり指示に従って組み立てていく。

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音色を奏でる櫛歯をドラムにどれだけ近づけるのかで音色がかなり変わってくる。平行でないと高音が強くなったり低音が強くなったり違いが出る。曲の速さもガバナーの調整具合によって変わる。最初は指導員に櫛歯に近すぎる、歯が左に寄っている、低音に比べて高音が強いなどと指摘を受けてやり直していた。勝手がわかってきて最終的にはアヴェマリアを高音を軽やかに少しゆっくり目に調整し、パプリカは全体的に強め、速めにしてみた。

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プロではない私が作ったものは私の個性が反映されているとも言える。手作りの温かみとして勘弁してもらおう。18歯のオルゴールは手作り体験用に採用しているオルゴールの分類としてはかなり簡素なもので、速さの調整にはかなりの制約があるそうだ。

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展示室にはヨーロッパの様々な本格的な自動演奏機が並び、いくつかを実際に演奏してくださった。ディスク式オルゴールのジュークボックスが素晴らしかった。芸術と機械科学の結晶のようなシロモノ。オートマータという響きが良い。ダークマターとは関係ないけれども。ちなみにオルゴールはオルガンから派生させた和製英語なんだそうだ。

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受付や売店のお姉さんがどなたもとても美人でなんだかわかりやすい容姿採用だなと思った。後から若いカップルが来て、男の方がお姉さんを見た際に目を見開き、その瞬間を隣の彼女が見咎めた表情をしていた。後で文句を言われるのだろうか。幸運を祈る。

制作体験もでき、文化財級の自動演奏機の演奏を次々と聞かせてくれ、予想以上に充実のオルゴール館だった。

 

下諏訪から上諏訪へ電車で移動して荷物をロッカーに預けて2日目の散策開始。

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まずは手長神社へ参拝してみる。f:id:mangokyoto:20210922120307j:plain

左手の長い廊下の天井に収められている太い綱は御柱祭に用いるものだろうか。

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残念ながら不在とのことで御朱印は頂けなかった。書き置きはあるのだがあまり貼るのは好みではない。

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摂社末社が多く並ぶのだが、四方に御柱が立つのは諏訪大社に連なるこの地方の神社ならでは。

 

暇潰しにあれこれ調べていると手長神社は諏訪大社上社末社だそう。上社は諏訪氏、下社は金刺氏族によって祀られていたがやがてそれぞれ武士化し14〜15世紀には上社と下社で激しく対立し武力衝突していたらしい。下社の金刺興春が上社の内部分裂に乗じて戦いを仕掛けるも形勢が逆転し金刺興春が返り討たれただけでなく下社を攻め落とされ社殿も焼かれて焼け野原となったそうだ。そんな歴史を聞くと諏訪大社の歴史も権力と富の占有のための一部氏族による政治宗教の独占と利用でしかない。人間の歴史だからと言われるとその通りなのだろうけれども神への祈りだの穢れを祓うだの言われてお金を納めるのもその是非がよくわからなくなる。祈祷料や賽銭箱を回収する貴方達も既得権益に胡座をかいた人間に過ぎないのではないか、と。

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諏訪の四社は一つ括りにすべきでないような対立してきた上社、下社の二勢力を合わせたものだし、歴史は案外と血生臭く下世話なものに思えてしまう。それでも神殿と古木は素晴らしい。

 

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山を降り評判の高い「古畑」を訪ねてみたら休日。そこで隣の「おび川」で4500円の鰻重竹を注文する。梅よりも上を頼んだことなどこれまでないかもしれない。朝御飯を抜いたから値段的には変わらないなどと自分に言い訳をする。

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このツヤと照り。食べてる間、いや、人生も悪くないと思う。

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「竹」にもなると下段にも鰻が入る二層式なのですね。初めて見る世界。シンガポールモスバーガーに鰻ライスバーガーというものがあったけれどもあれはご飯が鰻を挟んでいた。ご飯が鰻に挟まれている状態はどう表現すべきなのか。

 

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残念ながら2日目は何かと不発なようで酒蔵巡りはどこも試飲や蔵見学を休止中とのこと。蔵に来た意味がなくなってしまった。f:id:mangokyoto:20210922132645j:plain

店の人も申し訳無さそうに対応してくださるが本当に気の毒なのは酒蔵さんだ。開催されていれば私も1800円の飲み比べ手形のようなものを買って飲み歩いただろうし、どれか気に入ったものの4合瓶を少なくとも買って帰ったと思う。しかし試飲できずどれが好みかもわからなかったので買わずに帰ってしまった。悪いのはコロナ。

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 横笛の写真を撮り忘れた。真澄も訪れたが真澄は比較的東京でも流通しているお酒なので私の関心はどちらかというと麗人、本金、舞姫

 

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片倉館へ。三代に渡って日本の近代養蚕業の発展に関わった片倉家。シルクエンペラーと呼ばれたらしい。あの富岡製糸工場も後に二代目が買収している。今年は我が家でも蚕を繭になるまで育てたので少しばかり片倉館に愛着が湧く。しかし蚕に関する展示などはほとんど無かった。

二代目片倉兼太郎が欧州視察後に当地の温泉厚生施設に感銘を受けて温泉、社交、娯楽、文化向上のために建てたのがこの片倉館だという。

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欄間や建具の装飾を見ても案外、簡素で贅を尽くしているとは言い難い内装だったのだが自分の邸宅ではなく寄贈した市民温泉文化センターだと思うと十分に豪華なのかもしれない。ウリは今でも入れる千人風呂だが大きな温泉旅館ホテルの大浴場に慣れた現代人には全く驚くような大きさでもないが、100年近く前の昭和3年当時では「千人風呂」と興奮気味に名付けるほど画期的だったのだろう。

栄華を誇った片倉財閥も戦後には衰退して片倉工業として存続しているものの年商400億円の中小企業となってしまっている。養蚕事業からは撤退していて何故か埼玉のコクーンシティなどの不動産業なんかも手がけていたり。コクーン=繭と名付けたところに祖業への愛着の片鱗が見える。富岡製糸場保全や片倉館の維持など歴史文化遺産をしっかりと残す姿勢に敬意を払いたい。

 

 

小腹が減ったのでその道の並びにある「くらすわ」へ。新しい施設で1階にベーカリーや工芸飲食物産。ベーカリーもお洒落な流行りのブランジェリーといったメニューでしかも珈琲250円、ホットドックも350円とリーズナブル。冷蔵庫に冷えた地ビールや地酒を1階か諏訪湖の眺められる屋上テラスに持っていって食べられる。

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曇り空だが風があって気持ちが良い。

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私の好きなオラホビールもあったがここは先ほど何も買わずに後にしてしまった麗人酒造のビールを選んだ。麗人酒造の醸したビールはアメリカで2年に1度開催される世界で最もエントリー数の多いWorld Beer Cupでブロンドエール部門で銅賞に輝いたそうだ。しかも2018年度は日本からはCOEDOとこの2つしか入賞していないので実はかなりの掘り出し地ビール上諏訪の五日本酒蔵めぐりの酒蔵「麗人」で醸されているようだ。飲んだだけでその違いがわかるほど私の舌は肥えていないが普通に美味しいアタリのブロンドビールだった。

アテにはメンチカツ、チーズレーズン胡桃サンドを選んだ。

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ビールにより合うのはメンチカツかね。

駅までのお供にさらに350円のソフトクリームを買って食べ歩いたのだが、牛乳の味が濃厚で美味しかった。「くらすわ」は家族で上諏訪に来た際にまた寄りたい。

 

ツルヤスーパーが駅前にあることを上諏訪駅で降りた時点で確認していたので土産物は全てここで買うつもりでいた。温泉饅頭なんかよりも長野県民が普段買いする信州生蕎麦や胡桃ダレ、炊き込みご飯の素やドライフルーツの方が喜ばれる。

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愛媛県産不知火

広島瀬戸田産しらぬひ

瀬戸田産みかん

清見オレンジ

別の商品として出す意味はありますかなどと聞いたら怒られるんだろうな。「食べてみな、全然違うから!」

ほかにもブラッドオレンジや林檎各種などたくさん種類がある。

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冒険した品としては西尾抹茶バタースプレッドとあおさ海苔の瓶を買ってみたがマツヤスーパーのことだから多分美味しい。私はマツヤスーパー商品開発部に並々ならぬ敬意を抱いている。

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帰宅後の翌朝、子供たちにパンケーキを焼いて西尾抹茶バターを塗ってあげたのだが案の定、大好評。美味しい。私の中ではりんごバターよりも上。おそらくヨーグルトに少しかけたりしても美味しいはず。マツヤスーパー流石だわ。

 

上諏訪駅に着いたが1時間に1本の特急あずさ50号まで30分も待ち時間がある。しかしプラットホームの中に足湯があるので全く問題なし。

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そうこうして20:30に帰宅。書き留めておきたいことは沢山ある。旅に出ると如何に刺激が沢山得られることか。


今の生活や仕事にどんな不快や理不尽や苦痛があるかを理屈で持って訴えたくなるが、旅に出て美味しいものを食べて疲れて寝たらどうでも良くなる。結局はそんな程度の悩みだったりする。自分をそんなに高等な人間だと思わない方が良い。力を抜いた方が良い仕事、人間関係の構築ができそう。

 

結局、諏訪で酒蔵巡りして試飲、酒蔵見学は出来なかった。温泉に入りまくれるのは良い。手長神社、足長神社、温泉寺の御朱印も頂いていない。鰻はまた食べたい。諏訪にはまた来ることになりそうだ。


2日目旅程備忘

  • 朝風呂
  • 新湯の熱めの湯で目を覚ます
  • 宿に戻って布団に入る
  • チェックアウト
  • すわのね オルゴール作り
  • 上諏訪へ移動
  • 手長神社
  • 鰻 おび川
  • 酒蔵巡り
  • 片倉館 入浴
  • くらすわ 軽食
  • ツルヤスーパーで土産物を買う
  • 上諏訪駅であずさ50号を待ちながら足湯
  • 20:30 帰宅

諏訪旅 1日目 縄文遺跡や土器を楽しめるようになった

一人で好きにどこにでも出かけて良いとのことで、下諏訪のゲストハウスを拠点に下諏訪と上諏訪を散策することにした。テーマはゲストハウス+日本酒蔵めぐり+銭湯巡り+寺社巡りという子供が飽きることを満喫しようかと思う。

 

学び

  • 無価値に見えて興味がなかったものが知識を得ることで興味深いものとして楽しめるようになる。
  • 日本中を興味のままに旅して思う存分に楽しんでいる人たちがいることを再認識。
  • 子供を育て終わって定年を迎えるまで我慢したら勿体ない。今だからこその若さと感受性と行動力で物事を堪能すべき。
  • 仕事は仕事ともっと割り切ったほうが良い仕事ができるのかもしれない。

 

 

9:30〜10:00の会議が避けられなさそうだったのでPCを持参して6時半に家を出て「あずさ1号」で9時過ぎに上諏訪に辿り着き、そこからリモートで会議に出ることにした。お邪魔したのはambird。

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連休に挟まれた合間の平日朝ということもあってか客は私だけだった。WiFiもあり、美味しい珈琲を飲みながら会議に出る。私が長野の上諏訪にいることは他の参加者にも上司にも一切匂わせていない。

 

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会議を終え、資料を送り、不在通知を設定してPCを閉じる。よほどのことでもなければもう開くつもりはない。PCは有給休暇中でも心置きなく楽しめるようにする為の2kgの安心お守りのようなものだ。

 

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上諏訪駅まで戻り下諏訪駅方面の電車を待つが1時間に1本しか運行されない。あと20分ほど待つことになったがなんとプラットホーム沿いに足湯がある。温泉卵も作れる。恐るべし長野。足湯で寛げられれば冬だろうと20分やそこら待つのは全く苦ならないだろう。

 

下諏訪で降車してゲストハウスへ。荷物をおろしてタオルや御朱印帳だけを巾着袋に入れて借りた自転車で出発する。半日でレンタサイクル250円は安い。

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まずは下諏訪大社秋宮へ。

 

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参拝を終えて糖分補給に老舗和菓子屋「新鶴本店」へ立ち寄る。

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170円の餅を頬張る。新しくも特異でもない味で馴染みのある丁寧に作られた知ったるこしあんの餅。

 

「今昔館おいでや」で数々の時計の機構の進歩の歴史を見る。

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中庭にはおよそ900年前に中国北宋で作られたという水運儀象台という世界初の天文時計の完全再現が見られる。

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その当時にあって24時間で2分の誤差というとんでもない代物だったそうだ。

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しかし完成から30年足らずで北戎が南侵してこれを破壊し奪い去ってしまったのだという。その価値を理解することも手入れして運用することもできなかっただろう。

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そんな話を製作指揮者である蘇頌のからくり人形が説明してくれる。500年後にヨーロッパで作られた機械時計と比べても精度で負けなかったと聞くと中国がかつては超絶科学先進国だったことを改めて感じるし、今後はあらゆる分野で中国が最先端を切り開いていく世の中になっても驚かない。EC、ドローン、AI、クローン技術。清王朝から文化大革命後までの暗黒期が長かっただけだ。

 

同じ「今昔館おいでや」という施設には考古学館のようなものもある。

子供達がマインクラフトに夢中になっていてマグマに水を掛けることで黒曜石を作出したりしている。そんなものを最近見せられていたこともあって下諏訪の星ケ塔遺跡の展示も興味深く見た。ここ下諏訪の星ケ塔遺跡は石器時代から縄文時代にかけての黒曜石の一大産地で半径500km四方に星ケ塔産の黒曜石が流通し最も遠くには青森県の北端の三内丸山遺跡からも出土しているという。石器時代から縄文時代において黒曜石産出地として諏訪が特別な存在だったことを知り、世界的な大断層である日本の中央構造帯と糸魚川静岡構造帯という巨大断層が交差する稀有な地であることをブラタモリで知り、そしてさらに日本諏訪大社が日本最古クラスの神社であることを諏訪大社の説明で知った。それらが重なることに何か不思議な関連性を感じて興奮を覚える。

 

マグマが急冷されると黒曜石、ゆっくり冷えると流紋岩になる。そうか、マインクラフトは正しかったのか。

 

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縄文時代の交易路や遺跡なんていかにもジジ臭い興味関心だと思っていた。それが今では説明文を読んで昔をあれこれ想像するぐらいに楽しめるようになった。

昔ならば全く興味無く早足で通り過ぎていた縄文土器のような展示も私自身が陶芸をするようになったからか楽しめるようになった。

歳を取ることで古代の交易路や縄文土器の展示を楽しめるようになるとは思わなかった。

同じものを見ても基礎的な知識があることで楽しめるようになると実感。無知だと目の前のものが無価値にしか映らないことを体感できた。年を重ねて知識を積んでいくことを好意的に感じられる。

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裏手には前方後円墳があった。こちらは円墳の部分で石室が露になって見える。有力氏族がいたことを示し、下諏訪大社の祭祀氏族金刺一族ゆかりではないかと言われているそうだ。

 

そこから自転車で急峻な坂道を毒沢鉱泉まで登り、誰も他に客のいない中で満喫した。

 

諏訪湖を眺めながら一気に坂道を下って万治の石仏を拝む。石仏を3回時計回りに回って無病息災を願うのだそうだ。

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岡本太郎筆の石碑もあったが、そういえば岡本太郎といえば縄文美術。たびたびこの地を訪れていたのだろうね。

  

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諏訪大社春宮は四社の中で最もこじんまりとしていたが、素晴らしい古木が境内にあった。

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そして下諏訪の酒蔵、御湖鶴へ。酒米を全量契約農家から調達することで酒米の品質を安定させ、0.1℃単位で温度管理をし、瓶燗殺菌でお湯で殺菌火入れして即座に水で冷やして栓をすることに拘った全量純米酒造りに拘った酒蔵だそうだ。

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しかし緊急事態宣言下で酒蔵見学も試飲もできないそうで蔵を訪れた甲斐がなかった。残念。

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純米辛口の1合缶を買って帰った。

 

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時間が余ったので今井邦子文学館にも足を運ぶ。

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左が邦子、右が弟だそうだ。やたら美男美女な姉弟。親に強いられた結婚から逃げて家出して新聞記者となったり、新聞記者と結婚するも後に夫の浮気を知って二児を置いて10ヶ月近く家出して京都の寺で修行したり、激しく生きた人らしい。

アララギ派歌人として長らく島木荒彦に師事し、やがて独立して女性だけの歌集「明日香」を創刊する傍ら万葉集など古典の研究も多いらしい。

そういえば私の泊まるゲストハウスの部屋の名前はアララギの間だ。

 

宿場街資料館にも立ち寄る。

江戸時代においては夏以外はここ日本のヘソとも言われる内陸地でも常に生のマグロが食べられていたということに驚かされた。

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旅籠の集客競争も厳しく、自分の宿に泊まることと引き換えにある程度の街道の手前から荷物を持ち運んだり、客引きが女性の性的なサービスを売りにしたり。なんとなく情景の想像がつく。

 

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目まぐるしく動き回った1日の汗を流しに菅野温泉へ。ゲストハウスではシャンプーやボディソープの入った籠を無料貸し出ししてくれていて、気軽に徒歩数分の銭湯に行ける。銭湯も眺望はない湯船だけの簡素なものだが240円と安価。なにせ温泉だし。高円寺だと沸かした水道水の銭湯に480円払わねばならない。価格差は湧出温度が高く燃料費がかからないことが大きいと思われる。

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晩御飯には難儀した。美味しいと評判の「とんかつ丸一」は昼は営業していたのに唐突に臨時休業。鰻屋の「うな富」で豪勢に鰻でも食べるかと思ったら予約満席と断られる。「本田食堂」は前日予約が無いとそもそもダメだという。宿の人は下諏訪も飲食店がかなり増えてきたというけれどもオススメされて行くところが悉く入店できないとは。仕方なくオススメに浮上してこなかったガレット屋で食べた。オイルがたくさんかかった分厚いガレットをシードルで流し込むが重たい。その間、厨房からマスターの客や知人への悪態が漏れ聞こえてくる。ううむ。晩御飯はハズレた。

 

夜はゲストハウスでビールを呑みながら寛いだ。旅好きな人達が集まっていてどこが良かったとゲストハウスや観光地、温泉の情報交換が盛んに行われていた。

旅が好きな人はあちこち転居している人も多く、私は出身は広島なんですよ、ああ私も数年名古屋に住んでました、京都に住んでましたなどとどこかしらで接点が見つかる。なんだか人生を謳歌している人が多い印象。旅好きな人達からは日本国内の良いモノを味わい尽くそう、人生を楽しもうという姿勢を感じる。


一人旅の魅力は自分の興味の赴くままに自分のペースで臨機応変に動き回れること。総じて私はハイペースで動き回るが気に入ったところでは1時間以上長居したり、ただ呆けて座ったりとムラがある。そしてクタクタになりなからも刺激をたくさん受けてよくわからない活力を得て寝床に入る。


旅程備忘

  • 6:30自宅出発
  • 9:13上諏訪駅着 ambird wifiでテレカン
  • 下諏訪へ移動
  • チェックイン、自転車レンタル
  • 大社煎餅で胡桃白餡最中を購入
  • 諏訪大社秋宮参拝
  • 新鶴本店で餅を摘む
  • おいでや館で時計、水運儀象台、黒曜石
  • 毒沢鉱泉 神之湯
  • 岡本太郎の石碑、万治の石仏
  • 諏訪大社春宮参拝
  • 諏訪御湖鶴酒造
  • 宿場街資料館
  • 今井邦子文学館
  • 公衆浴場 菅野湯
  • Cafe Tacでガレット
  • マスヤゲストハウスでビール晩酌
  • 23:00就寝 

秋の金魚釣堀「寿々木園」 金魚の肥育

かなり私にも慣れてきて近づけば餌をねだるようになって可愛かった紅白のコメット。白い尾鰭が綺麗なヤツだった。それが野良猫に食べられてしまった。金網をしっかりと被せていたので安心していたが突破されてしまった。半年かけて毎日餌をあげて肥育した挙句に猫に捧げたようなものだ。猫にとって金魚は美味いのだろうか。食べた以上は楽しんでくれたことを願う。


睡蓮鉢に魚を何も入れていないと蚊や虫が湧くので何かは飼っておきたい。メダカでも良いかとも思ったが、子供の遊びがてら阿佐ヶ谷の寿々木園へ。

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台風一過の翌日は避け、翌々日に来てみたがよく晴れていて気持ちが良かった。そして秋にもなると駅前一等地にあるので適度に周囲の中層マンションの陰になる。


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向かいの常連の親父が遠目にも大きな金魚を釣り上げて周囲がどよめいていた。毎日来ているような親父たちをどよめかせるのも納得のなんとも巨大な紅白の琉金だった。3歳ぐらいではないかというが、3年でこんなに大きくなるのだろうか。


ここの釣堀はこうして目の前で大物が釣れるので、自分が釣れなくとも大物は確実に中を泳いでいる安心感がある。腕と運が味方すれば自分にも釣れるのではないかと思わされる。

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我が家は大型観賞魚の餌にされるいわゆる「小赤」のようなやつが4匹釣れた。模様が入っているわけでもない至って平凡な金魚だが子供達が嬉しそうにしてるので良しとする。昔は巨大な黄色や紅白の琉金を何匹も釣れていたのに回数を重ねて釣果は減る一方。あれぞビギナーズラックというやつか。


釣堀の店員さんに「あ、これ持って帰ります?」と驚いたように聞かれた。常連ならば釣っても逃して返すような子赤だから。「いや、猫に食べられちゃってね」と言い訳をすると「猫は食べますよね。ご馳走なんですかね」と笑いながら袋に入れてくれた。


ガガイモsp「修羅道」 開花

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たった10日ほど前に載せたばかりなのだがまた載せてしまう。何せ花が早速咲いたもので。

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露出するほどに盛んにたくさん根を下ろしている。取り敢えず環境としては気に入ってもらえたようだ。

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ガガイモの花が妖しく見えるのは花弁が独立せずに隣とくっついているから、黄色と赤茶というコントラストの強さから、そして何より花弁の模様ではなく鞭毛のように赤茶の突起が無数に生えているからだと思われる。

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遠目には星のようで可愛らしく、近づけば妖しい。

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これをかなり過激に派手にした「ゼブラナ」という品種があるのだが欲しい。

ヘラクレスオオカブト フィギュア

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やってくれたよ。バンダイのいきもの大図鑑シリーズのガチャガチャは相変わらずクオリティがすごい。秋刀魚を買いに行って、道草食って余計なものを衝動買い。仕方ないよね。そして組み立ててみたら正直言って期待を上回っていた。

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これが500円で買えるんだから世の中は確実に進歩発展しているのだと思う。


企画を提案して通した人、制作した人が飲み屋で隣に座ってきたら奢りたいレベル。良い仕事をしている。尊敬する。


そういえばバンダイのオフィシャルホームページを見ても造形師のクレジットが見当たらない。標本を3Dスキャンして忠実に再現することが主流になったことで造形師は必要とされなくなってしまったのだろうか。架空の造形物ならば造形師は必須だが現存のものを忠実複写するだけならば3Dスキャンで足りてしまうようになったのか。

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前翅を開いた際に見える背中の節の段々と茶色く艶光りしているこのグロテスクさも忠実すぎる再現。眼福ですな。国立海洋大学で手乗りさせてもらったアマゾンの巨大ゴキブリを思い出す。

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飛翔することにおいて不都合すぎるフォルム。それでも飛ぶ、そこに夢がある。


本音はクワガタが買いたくてかなり探したのだけれども売っていなかった。7月に発売されたこのシリーズの1ヶ月後の8月発売のはず。このシリーズにはなんとミヤマクワガタがある。発売から店頭展開まで時間差があるのだろうか。