サクレクール

取り敢えずは朝の6時から開いていて歩いていけるサクレクールに向かう。4、5年ほど前にパリの友人宅を訪ねた時も案内してもらった処だ。



途中にル・グルニエ・ア・パン・アベスという2010年、2015年に栄誉ある最高のバゲット店に輝いたパン屋に立ち寄る。3、4人が並んでいる程度。ささやかに受賞歴を飾ってはいるが、事前知識がなければ気付かないような質素でおしゃれな店だ。売り子も後ろで働く職人も黒人だった。さすがにバゲットは1人には多すぎるのでクロワッサンとレーズンパンを買い、食べながら坂を登って行く。まだ熱くて香りが立って美味い。どれ程美味いのかは自分の舌では分からないけど、焼き立てのパリのクロワッサンは大概美味いもんだ。パン好きな友人をふと思い出すが、友人ならこのパンの真価を愉しめるのだろうか。



坂道の階段を幾度も登って行く。パリは乱暴な犯罪は無いと聞く一方でモンマルトルやクリニャンクールは治安が悪いとも聞く。結局のところどの程度かよくわからない。まだ7時半という観光客のいない時間帯に若い不良と行き違うのは少しドキドキする。何だかよくわから無いことを話しかけられたが、言葉がわから無いので薄ら笑いを投げて通り過ぎる。



まだ人の少ない朝陽を浴びるサクレクール寺院は美しかった。何だか造形からはイタリア的な印象を受けるのは素人の勘違いだろうか。それにしても。やはり宗教施設は静寂とともにあるのが良い。


入って左手すぐの壁画に見惚れた。ジャンヌダルクだろうか。騎乗した勇ましい横顔。

金色は薄暗がりに使うべき色だよな。陽射しの下で輝く金色は滑稽にすら思える。鈍く燻んで光ってこその金色だ。


裏手に回って公園から撮ってみる。藤の葉の茂る上に白い塔が映える。