姫路城と合わせて国宝第一号となった名古屋城は豊富に写真等の資料が残されており、米軍による空襲で消失した本丸御殿の忠実な再現の助けとなったそうだ。
軍国主義から解放し民主化してくれたアメリカには感謝しつつ、無差別空爆をし貴重な文化財の多くを破壊したアメリカの戦争犯罪っぷりもそれはそれとして批判し続けても良いのではないかと思ったりもする。
大阪の豊臣家への東進への備えとして徳川家康が加藤清正に命じて築城した名古屋城。もう戦国時代は終わったのだと、世の中は徳川のものだと、出遅れた者らはもう諦めろと言わんばかりの威容。
その普請したばかりの輝かしい様と限りなく近いものを私たちは見られているのかもしれない。
何か粗相をしたら首が飛ぶかもしれない緊張感を持ってごく限られた者だけが通された空間。
立派な御殿の一部だけではなく本丸御殿を丸ごと再建したのは凄い。既に見た光景のようでいて襖絵は確かに異なる。
見る者を屈服させ、圧倒させるための過剰。
この薄暗がりの中で鈍色に輝く金色の妖しさよ。
二条城でも思ったのだが、調度品を少しは置いてくれないものか。座布団や脇息、宴の膳や寝具など部屋ごとの用途に合わせて当時の使われ方が想像しやすい調度品も合わせて展示してはくれないものか。
虎と豹の踊る間。
光る竹の青さが印象的だった。
本丸御殿の再現に公金を費やしすぎたか。名古屋城は老朽化して立ち入り禁止になって久しい。