陶片を繋ぎ合わせて再生されたトルソー。染付にも手を出したい。磁器ではなく、あくまで白土に染付をしたい。
蝉茸!欲しい。この細さの脚で体を支える形状は陶器では難しく鉄ならでは。
次回上海に来た際に有用な情報として書き留めておく。
毎朝片道50分かけてホテルからオフィスまでタクシーに乗り、1日に9つ会議が入り、それから会食。根暗で無口で引きこもり気質で皮肉な人間が快活で謙虚でヤル気のある前向き人間を演じなきゃならない。きつい。ありのままの自分を見せたら酷い事になることぐらいは人生で学んだ。儀礼として演じなければならない。
少しぐらい自分にご褒美をあげても良いだろう、と自分を甘やかす口実を見つけるのは得意だ。
盲人按摩に行きたかったが、行き方がよくわからなかったので人民広場駅の近くの「伊都按摩」へ。ここはガイドブックやネットにたくさん紹介されている店で、おそらく日本人御用達。市価よりはだいぶ高いのだろう。
自分でローカル向けの店を開拓せずに、外国人観光客向けの店に安易に飛びつくのもひとつの堕落だろう。昔の自分では考えられなかった。
値段は足裏マッサージ1時間、全身マッサージ1時間の合計2時間で310CNY(5,000円)。物価の高い上海といえどもマッサージは安く、質から比較すると日本の半値、三分の一と言える。
足裏マッサージ用の快適なソファと全身マッサージ用のベッドが置かれた個室に案内される。まずは寝間着のような按摩着に着替える。6種類ぐらいから選んだ生姜とレモンの茶を飲みながら按摩師を待つ。清潔で静かで快適至極。
程よい熱さの足桶に脛まで足を浸しながら肩や背中を揉んでもらう。足を拭いた後はようわからんクリームを刷り込みながら本格的に足裏マッサージへと移行。痛すぎず、弱すぎず。
タイ、フィリピン、中国、バリから欧州の高級スパまで幾度となく試してきたマッサージ好きの自分で言うのだから間違いない。伊都按摩の按摩師は上手だ。少なくとも、今日施術してくれた男性は合格点を軽く超えていった。
按摩師は男性に限る。女性だと指が細く点の刺激が強くなりがちだが、男性だと指の腹の面で押してくれる度合いが強く気持ちがよい。どうせ按摩されている間は大抵、目を瞑っているので綺麗な若いお姉さんに按摩されていると脳内補完置換できるぐらいにはなった。世界は実態がどうかよりも己がどう知覚するかなのだ、と偉い坊さまがどこかで言っていた。確かにその通りだろうが、このスキルを極めると相当な聖人かヤバいやつにしかならないだろうから按摩の時ぐらいにしか活用しないことにしている。
全身マッサージも、そこは強く押されると痛い、という点を痛くなる手前の絶妙さでじんわりと押す。相当気持ちが良い。探るように一二箇所押し、ここぞとばかりに押してもらいたい狭いツボをぐっと押してくると、「そこだよ、そこ。あんたわかってるじゃないか!」と心の内で叫びたくなる。通って指名したい。ホストクラブ通いする女性の気持ちはこんなだろうか。
他の店を開拓するのが面倒になった。もう、毎回ここでよい。しんどい上海出張にも来る楽しみができた。次回は会食を仮病でサボって、一人で伊都按摩にくるかもしれない。
JWマリオットからならばタクシーも拾いやすくて便利。VISAクレジットカード払いもできて安心。
住所 | 上海市黄陂北路227号中区広場1階106単元 |
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電話番号 | 021-6386-3101, |
営業時間 | 10:00-翌1:00 |
休業日 | 年中無休 |
10年前とはあれこれ変わっている。上海タワー周辺の高層ビルやIFCモールなんかが総延長1.3kmの歩道橋で連結されて快適に歩いて移動できるようになっている。
それにしても高い。昼間はギュウギュウに人が詰まってるのか。そういや、珊瑚というやつは微細な珊瑚虫の巨大な群棲体なのだよな。無数の人間が蠢いて、創り上げた人間による珊瑚骨格のようなものなのかもしれない。
50階建なんて平均以下かもしれない。そしてそんな高層ビルの壁面を全面ネオン化してしまうのだから、60年代に子供向けの空想科学絵本に描かれたような近未来風景。
新宿の高層ビル群と違って色彩豊かなのが特徴か。光害への文句が少ないのか、文句を言われても無頓着なのか。中華人は強い色彩を求める。そして行き着いたのは赤、紅、緋、赫。
高層ビルが場所によっては壁のよう。
折角なので88階まで上がってみる。ここからさらに見上げる建物があるというのだから驚嘆。背比べの柱の傷のように年を経るごとにより高いビルが建っていく。624mの上海タワーを超える次のタワーはいつ建つだろうか。
上海の夜景を眺め、陶芸の着想は。。。何も得られない。
ホテルの受付が54階にあり、チェックインを済ませると割り当てられたのは77階の部屋だった。
17年前に建てられた88階建ての摩天楼。既にこれよりも高いビルが隣に二棟も建ち、超高層ビル群の賑わいの一つに埋もれてしまった。東京で言うと、池袋のサンシャインはかつて東洋で一番高かったのだよ、と当時の興奮を知る人が熱く語っても、今しか知らない人は醒めた目で古ぼけた少しばかり高い建物を一瞥するだけなのだろう。
何が言いたいかというと、十数年前にこの建物を訪れた時には度肝を抜かれ、さらに高いビルを隣に建てる計画があると聞いて呆れたこと。
上海は水が臭い記憶が強いが、今回蛇口をひねったところ、昔よりも水質は改善されているように感じた。
夜景を眺めながら風呂に入れるようだが、湯を張るとやはり少し黄色いのだろうか。
カーテンを全開にして寝たところ、朝起きるとビル群が広がっていた。
朝靄などではなく、中国基準で言うところの快晴。仕方がない。
朝食は54階のロビー階にて。ちょうど似た高さに電波塔の珠が見える。あまりに突出して高いところから見下ろすより周囲の建物より少しばかり高い方が眺めは愉しい。
大陸的スケールだな。中華人は壮大さを目指していく本能的な思考があるのかもしれない。
以前マンションの39階に住んで懲りた。土を少量しか置けず、植物には不向きだった。小さな一戸建ての家の猫の額ばかりの花壇でちんまりと植物を育てるほうが好きな自分には異なる価値観なので、たまにはこういうのを味わうのも愉しい。
山科疎水、南禅寺、大徳寺、銀閣寺などから採取した種を実生で育てている株が10ほど混生した鉢。混ぜこぜなので、どの株がどの寺からのものなのかわからなくなっている。
「紅爪」品種のように縁が紅く芽吹く伊呂波紅葉は好みだ。
これは「乙女桜」という名で、桜ではなくモミジ。紛らわしい。こんな春紅葉が林立してたら、あるいは桜と混生してたら華やかではないだろうか。
春は桜、秋はモミジと世間では思われているが春のモミジの美しさをもっと広く知られても良いと思う。
上から滝のように枝垂れ咲く桜。その株元に受け止めるように紅く芽吹くモミジ。そんな桜とモミジの競演も美しかろう。
2m丈の枝垂れ桜の大鉢が欲しい。しかし夏秋の桜は東京の住宅密集地には向かないのだよな。悩ましい。
土曜の朝、布団から出られない。
明後日から2週間、中国とインドを訪ねてこれから数年に渡って仕事をしていくであろう50人近くと会いにいく。
普段よりも大きな声を出して、少しばかりに大袈裟なリアクションをして、怒涛のように喋る彼らに負けじとああだ、こうだと喋らないといけない。少しばかりに社交的で明るい日本人を演じないといけない。そんな悪い奴ではありませんよ、こんな考え方してる奴ですよ、こういうこと一緒に頑張りたいですね、と関係構築しなければならない。平常時の素のままだと無表情で何を考えているのかわからない男だと思われてしまうことを、これまでの経験から自覚している。
暇があれば郊外の山にマンゴーと散歩に行くか、一人で黙々と土いじりをしていたい。バジルの種蒔きをしたい。そういや、茗荷も芽が出てきたな。作陶のアイデアでも練りたい。自然に体と頭が求めることと、これからやらないといけないことの乖離がしんどい。億劫で億劫で布団から出られない。
ものぐさなだけなのかもしれない。心あらずな働き方をいつまでも続けていて良いのだろうか、と逡巡もする。好きなことだけしたら子供の教育費が捻出できないだろうなと、現実に途端に醒めたりもする。
うだうだ、うだうだ。鄙びた山奥の露天風呂に浸かりに行きたい。
西荻窪北口の西荻窪銀座を歩いて10分ほど北上した交差点の角にあるcoticoという小さな花屋兼カフェに入った。カフェといっても2人掛けのテーブル席が三対あるだけで、キッチンも含めて3〜4坪あるかないかのような狭さ。