廃墟カフェ


久々にツボに入るカフェと出会った。カフェアンデパンダンを上回る廃墟っぷり。しかし決して不潔だったり粉塵が舞ってるわけではない。丁寧に掃除された目で楽しむ廃墟。



使い込まれた木材、植物、廃屋のような壁の質感。目が慣れるとこの上なく落ち着く明度に抑えられた照明。かなり好みだ。



壁には木の枠だけが飾られている。壁が剥がれた模様を楽しむ為の額縁か。こういうのはセンスの有無としか言いようがない。流石に好きだからと言って我が家を廃墟のような内装にすることは共同生活である以上できない。そんな吾身にはこんな錆びた空間は自分の家には求めるべくもない憧れの非日常空間である。



掘削機で四角く壁をぶち抜いただけのような通路。内装全体は錆びた色合いなのに挿色としてビビットピンクの一角がある。どこぞのデザイナーの手による店なのだろうか。



黒板の上に五線譜が貼られ、それを照らすかのように間接照明が設置されている。陰影が奇麗でなんとも落ち着く。




なんと窓際にはBRUTUS、TRANSIT、ESQUIREといった雑誌、各国の美術系写真集などが膨大に積まれている。中には古今という一冊1800円する印刷が美麗な雑誌なんかも置いてある。古今創刊号の琳派特集に没頭した。一人で来るにはこの上ない蔵書量。店が人気が出てしまうとこういう雑誌は撤去されてしまったりするのかね。いつも客の少ない店であってほしいというのは客の至極身勝手な願望。


ちゃんとした看板すら掲げていないので店名すら分からずじまい。どこかに行く通過点にあるような店ではないのだが、ここを目当てに再訪決定。