石油の生産と消費の実態


震災一周忌。これを機にエネルギー問題への理解を深めてみた。数字で実態を確認するとメディアで言われることとの乖離が見えてくる。

  • すでに50年も大きな油田は見つかっていない。2010年以降は数十億バレル規模の油田しか見つからない。
  • 原油の発見量が少なくなっているのに、石油の年間消費量は1966年の100億バレルから現在の300億バレルほどになった
  • 石油は太古の生物の死骸だから埋蔵場所は決まっていて掘れば無くなる
  • 近い将来、石油の不足が起こると値段は10倍程度になる
  • 利用が容易な石油は不足していくが、オイルサンド、オイルシェール、石炭など石油型在来資源は数百年分ある。
  • 石油は枯渇しない。石油供給減による価格高騰、非効率な石油型在来資源利用による経済問題である。
  • エネルギー自給率は日本4%、ドイツ27%、イギリス78%、アメリカ61%
  • サウジアラビアは世界6位の石油消費国。一人あたり消費量15.5L/日は米国の1.8倍
  • サウジアラビアは経済成長、石油火力発電稼働増、淡水化プラント稼働増を背景に20年以内に石油輸入国に転落する。インドネシアは既に転落。
  • サウジアラビアは2014年に増加し続ける水や電気への補助金により財政赤字に転落する
  • 石油の枯渇による懸念は発電ではなく食料や産業素材への影響である
  • 日本の発電は石炭、天然ガス原子力、水力で9割を賄っており、石油は1割に過ぎない
  • 医薬品や冷蔵庫の冷媒、産業部品や素材は石油型在来資源が必要であり自然エネルギーでは代替されない


太陽光発電の代替性

  • 石油は特定の国に流れることができるが、太陽の光は国土面積に比例し、一人当たりの太陽エネルギーは人口密度で決まる
  • 日本は人口密度がアメリカの10倍以上であり、太陽光を利用するようになったら10倍の不利を被る
  • 20世紀後半、日本の産業が繁栄したのは移動が容易で高いエネルギー密度を出す石油があったからである
  • 太陽電池は光を電気に換える装置が要るので「タダで無限」ではない。
  • 大量生産しなければ技術開発できない時代ではない。大企業は太陽電池の開発を自力でできる。太陽電池補助金は単に大企業に税金を還付しているだけ。
  • 太陽電池で生み出されるエネルギーでは太陽電池の素材や組み立てに必要なエネルギーすら生み出せない。エネルギー収支マイナス。
  • 太陽の光は1m2で1kwだが、石油を燃やして高圧のタービンを回すと3万倍の力が出る。
  • 言い換えると石油は容易に運ぶことができ、時間や天候を問わず使う場所で太陽光の3万倍もの力を出すことができる
  • 太陽光で10%以上の電力を賄おうとすれば森林を伐採し自然破壊につながる。農地、森林、宅地に使われていない余剰スペースは日本にはない。



食糧と石油の関係

  • 40年前の世界人口30億人の頃の世界の作付面積は7億ヘクタール。人口が70億人になった現在も作付面積は7億ヘクタールのまま。
  • 穀類の生産高は8億トンから20億トンへ2.5倍になったのはトラクターなどの動力と化学肥料による生産性向上による。石油が必須。
  • 20億トンの穀類は先進国、新興国や大国で優先的に消費され、さらには先進国向けの豚などの家畜が消費し、途上国の8億人が栄養不足になり毎年2千万人が餓死している。
  • 豚は5〜10kgの穀類を食べて1kgの肉を生み出す。全人類が畜産を控え、穀類を融通すれば飢餓は計算上生じない。
  • 石油不足が起きた場合、米国が穀類をガソリンにするので石油不足と食糧不足が同時に生じる可能性が高い。