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櫻滝 東寺

寺社仏閣 もてなし

唐、天竺、泰国から二十人ばかり来客があった。折角だから金曜日の夜の限られた時間だけでも京都らしい場所に行きたい、可能ならば桜を観たいというので幾人かを東寺に連れて行くことにした。


草津に帰るに便利で、京都駅から近く、夜間拝観しており、不二桜の巨木が満開だと聞きつけた。さらに京都駅ビルには飲食店は多いしヨドバシカメラで家電も物色できてしまう。短い時間に外国人が喜ぶ要素を詰め込むには最適だ。



桜は想像を超えた見事さだった。日本人ですら息を飲む迫力。中国にだって桜はあるだろうにと思ったが、桜花が国内最高の木造建築を背に瀧のように風に流れる様は一見に値する。近未来的で斬新な建造物の何色にも変わるライトアップでは及ばない、心を動かす力があるように思う。円山公園の桜が満身創痍の姿である今、ここまで高さを誇る桜の巨樹は東寺をおいて他に無いのではなかろうか。


唐、高僧、弘法大師空海曼荼羅敦煌厨子


これが中国人に説明した際にお互いが筆談した言葉である。話して伝わらないことも漢字を書くとああ、弘法大師空海も歴史で習った、と盛り上がる。照らされて暗がりに金色に浮かぶ薬師如来と日光月光菩薩が一層厳粛な雰囲気をかもす。薬師如来を観て、「あのヤウシーは病を癒してくれるんだろ?」と確認してくる。中国人曰く、歴史書の中の漢やら明やらの時代にタイムスリップしたような気分になるそうだ。中国は絶えず上書きされてきた文化がさらに文化大革命時に破壊されてしまったのであまり歴史的建造物は残っていないと嘆く。日本には唐時代、隋時代、宋時代などの異なる様式が各所に残されている。


漢字の筆談には乗れずにいた印度人だが、講堂に収まる立体曼陀羅を前にして帝釈天はインドラだとか、牛に乗っている大自在天はシヴァだとか、アショーカが仏教を広く伝え、それが中国、韓国、日本に伝播しただとか話をすると、ああ、中国もインドもタイも仏教で繋がっているのだなあ、としみじみとした。