窯出し 失敗の数々

大窯本焼き教訓

当面、大窯で翡翠粘菌は焼かない

焦がすならば下段は大丈夫そう。

念の為、薄く掛ける。

溶岩釉は問題なし。

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電気窯の大窯で本焼きしたのだが結果は残念なものだった。
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窯に釉垂れは無し。異常なし。詳細を失敗しようとも窯に損傷がなければ良し。
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カブトガニの陶蟲夏草鉢が酷いありさま。釉剥がれという症状。通常は厚掛けしすぎるとなるらしいが、普段よりも厚掛けしたとは思っていない。
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そもそも下段は同じように筆塗りした作品は釉剥げしておらず、上段だけ釉剥げしている。しかも黒っぽく発色している。
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こちらも同様。良好な焼き上がりと比べて発色も悪い。
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問題なく焼けている時は小窯で焼いている時。今回は珍しく大窯で焼いた。この霞んだ緑は少し還元がかかった結果ではないだろうか。あるいは窯の下段は温度が上がりきらなかったとか、冷却のスピードが小窯よりも遅かったとか、何か窯由来の理由がありそうな気がしている。
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無事に焼きあがればお気に入りになったであろう翅を透かした蝉の鉢も無惨に失敗した。
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CTCという合成糊を混ぜて釉薬を再度筆塗りして再度焼成して化けて復活してくれることにかけてみるか。それでも失敗したままなら植えて庭の土に植え込もう。

高円寺大道芸祭

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コロナ前ぶりに土日2日にわたる大道芸祭が復活した。同じパフォーマーを繰り返し見られると嬉しい。

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シルクドソレイユにも出てらしたというアスタリスクノヴァというドュオは高さが増して迫力も格段に増していた。高さ10mは見ている人にも恐怖だ。
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高円寺大道芸祭の主役はチャランポランタン派と大駱駝艦派がいると思っている。勝手に。

 

今年は5人編成で例年よりもかなり少なかった。男性のパフォーマーも例年は艦長を除いて2人以上いるのだが今年は1人だった。
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鶏のような滑稽な動きや垂直の跳躍が多くて面白かった。
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おお、見覚えのあるパフォーマーだ。
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駱駝艦の山場はやはりこの火吹き。

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ペストマスクの艦長と火を吹きかける金男。金男と書くと北の王朝の人みたい。
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さすが吐く炎に高さがある。もう1人、高円寺大道芸祭の火吹き男といえば芸人「マコト」だが彼は元気だろうか。今回は見られなかったがどこかの会場で場を沸かせていたはずだ。

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肉体を駆使したパフォーマンス。肌を金色にぬっているせいで肌呼吸ができなくなっているように思う。数分で大きな水滴が全身を覆う。
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1回のパフォーマンスで200人近くが集まる。投げ銭に紙幣を入れている人も多い。1回10万円ぐらいにはなるのだろうか。
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日本一になったこともあるという組み手アクロバットパフォーマー

高円寺の大道芸は招待制でどんなに参加したくとも招待されないことには参加できないそうだ。全国の大道芸人が参加したい大道芸祭の一つだそうで、来年も参加できるように頑張りますとのことだった。
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高円寺は大道芸祭でGWが始まる。

初めての在廊 ウサギノネドコ東京店「もしも博物展」

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京都展の巡回展として4月24日から7月29日までの3ヶ月にわたるグループ展「もしも博物展」がウサギノネドコ東京店で始まった。ありがたいことに京都展で85%の作品に貰い手がついてくれたので、また新しい顔ぶれをたくさん納品させて頂いた。
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谷中にある東京店も人通りの多い立地ではなく少し奥に入った住宅街の中にあるのでこの店を目的にしてくるお客さんが中心の店だ。
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眩しい。嬉しい。なかなか存在感を出してくれているように思うし、冬虫夏草とマミラリアサボテンの群生株の魅力が伝わればと思う。
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24日初日に早速、トゲトゲダンゴムシミカヅキツノゼミが貰われていったそうな。ミカヅキツノゼミは他店でも出品初日に貰われていったので巷で人気のモチーフなのだろうか。平日初日にたまたま通りがかって初見で気に入って買ってくれるような作品だとは流石に私も思っていないので、instagramを見て知ってくれていた方のような気がする。
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貰ってくださった方には、ここは作りが甘いのではないかとか、次はこんなのを作って欲しいだとか、こんな植物を挿してますとか植えてみましたみたいな連絡をしてくれると嬉しいのだがな。
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今回は鉢の中に植物を植え込んでいる鉢を3つほど置かせてもらった。比較的明るい窓際近くに置いてくださってありがたい。
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他の作家さんの作品もようやく拝見できた。率直に言って私よりも作家暦も実績も優れた方が多い。私は無名の駆け出しだ。
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制作量も私の何倍もあり、あちらこちらの店や展示会に出品されているのがわかる。
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このウミウシとか好きだな。白に緑青に金色。紫水晶が乗っている。
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実は初めて在廊接客を試みた。

 

まず、話しかけるべきかどうかわからない。話しかけるにしろいつ話しかけるのが良いのかもわからない。話しかけるのも気恥ずかしい。思った以上に難しい。

 

博物フェスティバルのように大勢のお客さんが目の前を歩いていて自分のブースに来たお客さんには自然に話しかけられる、そんな雰囲気はない。そもそも、お店に作家が在廊している前提がない。
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明確に私の作品に興味を持っている人だとわかれば話しかけやすいのだが、そうではない人に話しかけるとご迷惑になりかねない。

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冬虫夏草好きの人の輪を広げると言うのは想像していたよりも難しい。お客さんとの接点を求めるならば博物フェスティバルやデザインフェスタのような短期集中型イベントにも利点があるということか。
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一歩、一歩いこう。

バルサミコ酢オムライスが絶品「cupola」

facebookのUXが酷すぎる。しょうもない広告でも収入が入れば広告の内容は問わずに受け入れているようで内容も酷すぎてfbから遠ざかっている。それでも海外の友人との接点はfbなので仕方なく維持はしている。

GoogleSEO対策という中身がなくとも検索結果上位に出るための工夫とのイタチごっこの挙句、商業サイトの情報ばかりになってしまった。

instagramも見ていて目につく情報の偏りが酷い。高円寺界隈のカフェだとAIMU、RAD BROS、poem、最近だとmargaret houseというカフェの情報に集中している。誰かの投稿を見て流行りどころを抑える安直なinstagramerが多いのだろう。そこ、美味しいか?と疑問に思う店もinstagram上では人気だったりする。

 

欲しい情報は得難い。これだけ情報が溢れても自分の求める情報には辿り着けない。情報検索性は昔よりも悪化している気がする。

 

少しでも見栄えが良くSNSで取り上げられるループに入るとそこに情報が偏る。流行りの店は抑えなきゃとばかりにそこに大勢が群がる。よく行く店の店主が、その子たちはスタンプラリー感覚だから基本的に2度と来ない人が殆どですと言っていた。

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何を書きたいかというと、cupolaという東高円寺の緑道沿いのカフェが内装も素敵なだけでなく食事も美味しい。
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バルサミコ酢のオムライスが絶品だと思っている。某有名な白いフワフワなやつよりも、某人気老舗食堂のやつよりも美味しいと思っている。バルサミコ酢が効いたオムライスなんて他であまり見ない。真似されてしまうぞ。いつか世界はこの美味しさに気づくぞ、と思っている。定期的に食べたくなる。
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instagram上の露出はゼロに近い。こういうSNSの仕掛けが上手でない店は浮上しない。人の情報を参考に表層をなぞってるinstagramerばかりなのでこういう店は拾われない。
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少しばかり穴場感があるところなので客が少なすぎて閉店してしまうと私は悲しいので敢えて上げてみた。

2024年読書備忘録 第一四半期 Audible様様

昨年から読書量が回復している。実は全てAmazon Audibleのおかげだったりする。ジョギングをしながら、料理をしながら、通勤しながら、風呂に入りながら。ながら聴きすることで作品に触れられる時間が一気に増えた。ジョギングの苦痛も減ったし、甘夏の薄皮を剥くような単純反復作業も厭わなくなった。面倒なことをする時間が作品を楽しみながら作業を進められる時間に変わった。文明の利器万歳。

デメリットもある。内容が詰まらないと気が散って聴くのをやめてしまうこともある。感情を入れ込みすぎた過剰なナレーションだとうんざりして紙の本を買いなおすこともある。字面が意味を持つ作品には向かない。よって図やチャートを見る必要のあるビジネス書にも向かない。しかしこれらデメリットを上回るメリットを感じる。

 

1-3月に聴いた作品の中では時代小説に好みの作品が多かった。段々、涙することなど無くなってくるが「まいまいつぶろ」「木挽町の仇討ち」「極楽征夷大将軍」には感情が揺り動かされた。猛毒はなんといっても「ペテロの葬列」で先のシリーズ2作から連続して一気に読むことで読後の心理ダメージが倍加する。

 

まいまいつぶろ ⭐︎⭐︎⭐︎

名作。生まれながらにして脳性麻痺を患い頻繁に失禁していたため「まいまいつぶろ=かたつむり」のようだ、小便公方だと嘲られていた徳川家重言語障害があったため言葉が発せず、唯一大岡忠光だけが理解できたとされる。廃嫡と見做されていたが子を授かりその家治が利発な子であったため、将来の家督争いの禍根を絶つために苦渋の選択で徳川吉宗が「長子が家督を継ぐ」慣習を維持するために家重を次期将軍に選んだとされる。酒に溺れた虚弱で暗愚な将軍だったともされる。しかし実際には大岡忠光田沼意次のような優秀な幕臣を見出し、郡上一揆では老中や若年寄大目付勘定奉行の不正を追及し処罰するまで田沼意次に追及させるなど隠れた名君との説もある。実際はどうだったのか、が描かれた小説。「極楽征夷大将軍」で描かれた足利尊氏を支えぬいた足利直義に通ずるものを大岡忠光に感じる。

 

 

 

極楽征夷大将軍 ⭐︎⭐︎⭐︎

鎌倉北条の増長、足利尊氏を支えた足利直義後鳥羽上皇の身勝手さ。あの時代にあってこれだけの非合理的な人情で歴史が動いたことが面白い。本著のおかげで冴えない一時代の印象があった室町幕府への印象が大きく変わった。なぜ室町幕府だけ関東ではなく京都に拠点を置いたのか、なぜ財政基盤が不確かだったのか。なぜ南北朝に皇統は分裂したのか。

 

 

木挽町の仇討ち ⭐︎⭐︎⭐︎

これぞ直木賞受賞作と感じられた人情時代小説。様々な登場人物の話から木挽町の仇討ちの真実が見えてきてそのどうにもならなさに悲しくなる。マー坊の一説で言葉通り泣いてしまった。あの職人のような気骨でありたい。これは実写化オファーがすでにされている気がする。しっかりと骨太に映画化できるならば映画も名作になりそう。

 

テスカトリポカ ⭐︎⭐︎

メキシコと日本を舞台にした濃厚なノワール小説。メキシコから新天地を目指した少女の物語かと思いきや急速に色褪せて生気を失い主人公の生い立ちを語る不幸な環境要因と化していくのが読んでいてしんどい。日本でアイヌ文化が消滅していった過程と似た足跡をアステカにも感じる。

 

ラブカは静かに弓を持つ ⭐︎⭐︎

JASRACヤマハ音楽学校を相手取って起こした訴訟を下敷きにした小説。実際にはJASRAC最高裁で敗訴したけれども作中では勝つ気配で描かれている。JASRACからヤマハ音楽学校に送り込まれたスパイが音楽に救われる光明を見るも真逆の結末へと突き進んでいく。読みごたえがあった。ラブカは醜い深海魚ではないと言いたい。

 

 

リカバリーカバヒコ ⭐︎

作者は青山美智子というこれまで読んだことの無い方だけれども、人気小説家の作風を強く感じる。さらっと読める短編集。

 

スピノザの診察室 ⭐︎

また新しい天才医師を主人公にした小説シリーズが生まれたように思う。

 

 

成瀬は天下をとりにいく

かつて滋賀県で働いていた身としては膳所や大津などの地名やできごとが溢れんばかりに出てくるだけで嬉しく懐かしくなる。しかし成瀬はいわゆる「十で神童、十五で才子、二十歳過ぎればただの人」のような描かれ方で終わってしまってやしないか。あれ、もうこれで終わりかというあっけなさ感が強い。大学生以降の破天荒な天才ぶりを描いてほしかった。次作を読めということか。どうにも鼻白むのはどこぞのアイドルや期待の新人女優で主演映画化されそうな商業臭を感じてしまうからなのか。

 

 

希望荘

惰性の続編になってしまってやいないだろうか。宮部みゆきに少しがっかりし始めた作品。

 

 

ペテロの葬列 ⭐︎⭐︎⭐︎

小説家は架空の世界で人を殺し、心を殺し不幸を生み出すことに想像力の限りを尽くす阿漕な人達だと改めて思う。小説の中で幸せよりも不幸を描く。暴力と妬みと憎しみと劣情を好んで描く。

自分の身の上に起きたらどんな気分になるのかを感づかせてくれたという意味では感謝したい。その日が全く働く気が起きないほど打ちのめしてくれた。人間不信になる。

 

 

名もなき毒 ⭐︎⭐︎

サイコパスな犯罪者を想像の世界に生み出す名手だな、宮部みゆきは。

 

 

誰か somebody

一代でコンツェルンを作り上げた財界の大物の妾腹の娘を娶った男を主人公にした小説。長く進展の遅い物語だが辛抱強く読み進めると後のシリーズ作「ペテロの葬列」でダメージが最大化される嗜虐的なシリーズ作。

 

 

嗤う淑女

ふたたび嗤う淑女

嗤う淑女 二人

 

可燃物 ⭐︎

荒木村重を主人公にした小説「黒牢城」が面白かったので読んでみた米澤穂信小説。卓越した捜査能力を持つ群馬県警の葛警部が難事件を解決していく刑事もの。私がかつて住んだ群馬の榛名や太田、伊香保温泉などが登場して親近感を持つ。

 
可燃物

 

素焼き、釉掛け、本焼き

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素焼きの終わった鉢たち。陶芸教室が閉鎖され私一人しか陶器を焼く人がいないので大窯が埋まらない。
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なんとも申し訳ない話だ。
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今回の試行錯誤の目玉。半身を白い釉薬、半身には瓦礫をまとわせ、さらに薄く希釈した白い釉薬を掛けている。ところどころ塗り残してそのまま露出。希釈した釉薬の箇所は白く発色することなく焦げたような仕上がりになってくれるのではないか。
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黙々と作業。
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大振りな鉢を5つ。
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小ぶりな鉢を8つと
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5つ、合計18鉢を本焼きする。何点かは4〜7月の東京の展示に、大きい数点は10〜12月の京都の展示に持っていきたい。

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12:33分。22℃で点火。1230℃酸化焼成

600℃近くまで温度上昇を見守り水蒸気が出なくなっていることを確認して栓を閉める。