猿渡池のそばにある観光に非常に便利な立地の旅館に泊まった。鉄筋コンクリートの建物で、断じて好みの木造三階建のような風情のある建物ではない。しかし満足度は高かった。
何にもまして良いのは部屋の窓から興福寺の国宝の五重塔の輪郭を楽しめること。そして人工とはいえ塩素の臭いもせず少しとろみのある炭酸カルシウム温泉露天風呂。澄んだ冬の冷気の中、五重塔を前に体を温められる。いや、気分が良い。
立地の良い宿だから料理やサービスは期待できないものかと思っていた。しかし料理も旨い。とりわけ魚介類が旨い。海の無い奈良で魚料理がやたら出てくるので最初は違和感を感じたが旨いのでそれもどうでもよくなった。
いくらの乗った胡麻豆腐、たらこを昆布で巻いた炊き合わせ、お造りなどなど。一番は真名鰹の焼物だった。以前他の店でも食べたがそれにしても真名鰹ってのは旨い魚だ。
箱、料理だけでなく接客も丁寧で好感が持てる。誠意に溢れたサービスとその姿は応援したくなる、客を味方につける。
休前日は通常一泊二食で18,900円だが直前割引で12,000円。2万円近い宿と期待して泊まると感動は薄いのかもしれないが、12,000円ならば比肩ない良宿。金曜日や日曜日に泊まるとかなり割安な値段で数段上の体験できて嬉しい。