アバウトシュミット

保険会社のアシスタントバイスプレジデントとして定年を向かえ、退社したウォルター・シュミットをジャックニコルソンが演じる。

会社で大部分の人生を費やしてきた者にとって、会社で何を達成してきたかこそが重要だ。そんな言葉を友人からかけられるが大きな組織の人間は代替性があり、自分はこれを成し遂げたなどと思っているのは本人だけ。彼の画期的なリスク評価システムも含まれているであろう書類の山は退社後にはゴミ捨て場に積まれている。自分が一家の主だ、自分が偉いという意識をもった退職老人が直面すれのは42年間連れ添った奥さんと根底では理解し合えていなかったという事実と、幼少期の印象を当て嵌めたままの、これまた理解し合えていない子供。家族への関心の低さを恨まれてすらいる。



行く先々で揉め事を起こすのだが、私は会社人間の哀れな末路と主人公に同情的に観ていた。嫁さんは、まわりは好い人ばかりなのに一人で偏見や我儘を振り回して空回りしている人と観ていた。見方の違いは、自分自身もシュミットのようになりかけているからかもしれないとふと思った。ゆめゆめ、自分にとって何が大事なのかを忘れてはいかんなと自分に言い聞かせる。



理想的な老後から逆算すると、若い頃に真剣に取り組むべきことが見えてくるのかもな。


アバウト・シュミット [DVD]

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