一泊2万円近い、会社が予約してくれるホテルは個人で延泊するには高いので、今回初めてAirbnbに挑戦してみることにした。いわゆる民泊というやつだ。
- 中国のアパートは部屋を見つけるのが大変。近隣住民に聞いても誰も知らない。
- 英語、日本語での意思疎通が困難。北京語が流暢だと安心。
- 約束の時間通りにチェックインしないと鍵の受け渡しなどが困難。
- 不測の事態に備えて前後に日程の余裕がないと不安になる。
- あるべき場所に鍵が置かれておらず、冬の上海の夜に外で1時間待たされた。
- ローミングやSIMフリーなど困ったらいくらでも電話できる環境がないと終わっていた
- 近所のおばちゃんに鍵を持たせて清掃に雇っている。貴重品はホテルに置いておくには不安。
- レシートは貰えない。おそらく税金は払っていない。
- 出発日にタクシーを予約して来てもらうことは困難。虹橋空港ならば地下鉄で行けるが、浦東空港から午前便だと時間通りに空港に辿り着ける気がしない。
- 安全と安心はお金で買うものだと再認識
午後チェックインの決まりだが、午前中に荷物を置きに行ったら人がいない。予約時の連絡先に電話をすると、多少英語を話せる人が出てくれた。物件の近くには住んでいないので直接鍵を渡しに行くことは無理とのこと。
何回か間違えながら、電話越しの誘導に従ってアパートの入口にたどり着き、これまた試行錯誤しながら郵便受けの脇の小箱の鍵の暗証番号を聞き出し、小箱を開けてようやくアパートの入口の鍵と2階の宿泊部屋の鍵を入手した。まるで「電話指令に従って無事に侵入せよ」というゲームをやっているよう。
英語か北京語が流暢で、なおかつ通話時間を気にせず現地で話せる携帯電話がないと達成困難な任務。
いざアパートに入るとなかなか質素で生活感溢れる共同台所。他の部屋は普通に住んでいる住人のようだ。
台所を抜け、木が軋む階段を登っていく。エレベーターは無論ない。大きなスーツケースを持参してくるような所ではない。
ようやく二階の目当ての部屋を開けると、おお、これか。なんともスタイリッシュで良いではないか。シャワー、洗面台付きの1Kの部屋だ。鉄枠の大きな窓が素敵。
ベッドはダブルで充分な広さ。シーツも清潔で綺麗。
トイレはシャワールーム兼用。モルタル塗装のインダストリアル感がオシャレ。なぜか壁にはローマの休日の一コマ。ちなみに部屋とトイレを区切るのはシャワーカーテンのみで換気扇の出力は弱い。誰かと泊まる場合にはとってもあれが臭いと気まずい。
今が暖かい季節ならば座ってハーゲンダッツの抹茶餅でも食べるんだがな。
また暗号キーのついた小箱に鍵を戻して買い物に出かけた。そしてなんとも困ったことに17時頃に戻ってきたら小箱の中にあるはずの鍵が無かった。携帯電話の電池も残り20%。嫌な予感しかしない。
管理人に電話をしても繋がらない。途方に暮れていたら10分後にかけ直してきてくれた。鍵がないことを説明すると、確認すると言われて更に待つこと10分。ようやく、「なぜ鍵がないのかわからないが他の鍵を今から届けに行く。20分ほど待ってくれ」とのこと。
携帯電話の電池の残りを考えるとネットサーフする余裕はない。もしこのまま部屋に戻れない事態になった最悪シナリオを検討した。最悪の事態に備えてパスポート、クレジットカード、印刷したeチケット、会社のパソコンは持ち歩いている。服と頂いた土産を諦めれば帰国はできる。現金払いのAirbnbなので、帰国後に返金してもらうのは難しいだろう。今からAirbnbよりも安くて安全な宿を見つけるのも難しそうだ。シェラトンだとかマリオット、見つかればホリデーインのような少なくとも国際ホテルチェーンを見つけることになる。追加支出2万円は腹をくくらないと。まあ、帰国するメドはついただけ気楽だ。
結局、冬の上海の夜に1時間も屋外で待つことになった。カップルなら喧嘩になるシナリオだな。
鍵を届けてきた男はソーリーしか言わない。喋れないふりかもしれない。理解しないかもしれない相手に文句を言っても徒労なので諦めた。
当方、英語にはさほど不自由しないが北京語も上海語も喋られない。ただし、累計4カ国に8年間住み、旅行でも60ヶ国回るなどバックパッカー経験は長くストレス耐性や不測の事態への対応力は高い方だと思う。それでもなかなか上海のAirbnbにはハードルの高さを感じた。途上国を旅行中につねに先の危険を察知するアンテナをオンにしていないといけない、あの感覚でいないといけない。つまり気が休まらない。
中国で最も発展している上海の、しかもAirbnbにしては1泊1万円という高価格で見た目もスタイリッシュな当物件ですらこんな感じだ。
間違っても英語や北京語を話せない旅行に不慣れな人が恋人や妻子を連れて行ける場所ではないと思う。無論、安心して泊まれるAirbnbもあるのだろうが、私は良かれと選んだ物件で見事に失敗した。