昨年利用したマッサージ屋が60分148RMBから188RMBに27%も値上りしていた。それでも3000円強なのでまだ日本より安いといえば安い。マリオットホテルの近くの外国人が多く利用する比較的高級なマッサージ店で清潔、快適ではある。
とはいえ、日本でも2980円の格安マッサージは増えている。マッサージの手技が果たして中国の高級マッサージのほうが優れているかというとそれも疑問。日本語でもっと強くだとか、脇腹はくすぐったいのでやめてくれだとか、お願いできる方が満足度は高まる。
物価が上がり続ける上海、新たな格安サービスで顧客拡大を目指す市場飽和した東京。GDP世界第二位の座が中国に奪われると騒いでいた頃が懐かしい。中国は遥か先へと行ってしまった。
天猫(Tmall)が仕掛けたW11という独身の日の巨大割引セールの日はたった1日の取扱高が楽天市場の年間取扱高を優に超える。たった1日の商いがフランスの年間Eコマース取扱高を超える。高価格帯商品の売上が昨年対比+30%、+60%と聞いても中国市場の話ならば数字の誤りだと疑うこともない。来年はどれだけ伸びているのだろう。
世紀公園前のDorsett Hotelから。
平成最後の満月を星すら見えるようになってきた快晴の上海の夜空に見上げた。もうBlue Sky Policyという大気汚染対策政策が採られて以来、朝に公園周辺をジョギングするのも躊躇われないほど空気は清浄化した。日本では貧しかった戦前戦後が想像し難いようにかつての大気汚染まみれで路上も汚く混沌とした上海は想像し難くなってきた。上海人が韓国ソウルに行って顔をしかめるほどに逆転した。
多くの世界展開消費財メーカーでは地域別売上高で欧州、北米をアジアが上回るようになった。Westernizationという言葉に対してEasternizationという言葉も聞かれることが増え、中国はEastなのか、もはやCenterなのかが欧米人のビジネス戦略会議で真面目に話題に上がる。
2030年には世界人口の半分はアジア人となり、世界人口の1/4はムスリムになると言われる。とりわけ中国が圧倒的存在感を示していく。欧米を基準にアジアでは日本が一番だとする価値観では通用しなくなる。
中国人消費者の顔色を伺い、彼らに受け入れてもらえるよう必死になりつつある。
当たり前のように私達が選ぶ嗜好品の中に中国ブランドが加わり、徹底的で狂疾的な高品質を誇示する製品で知られるようになっていくのだろう。今や、食品や化粧品、衣料品に使える添加物や原材料の制約が最も厳しいのは中国であることはどれだけ知られているのだろうか。欧米や日本からのゴミの輸入を明確に拒否しだしてもいる。
泊まった宿の注意書き。性的なものは日本ならばピンク、スペイン語圏ならば緑。中国は黄色のイメージなのか。そういうコードは国により異なるようで、中国人に違和感のない中国人の嗜好に合わせたものを追求していくと欧米や日韓のものとは異なるものになっていくに違いない。中国の価値観や感性に基づいた高品質なサービスや商品が生まれるようになっていくのだろう。
QRコードを付けられた生簀の魚を見ると、中国らしさにほっこりとする。
田鶏を蛙だと知らずに注文したこともあったっけ。なまじ漢字が理解できると油断して犯す間違い。
ミシシッピアカミミガメではないのかね。目の後ろが赤い亀が中国にはいるのかね。
日本のWEBニュースには来日中国人観光客が如何に日本で感動しただの民度の差を感じただの、日本人の自尊心をくすぐらんとする記事を未だにたくさん見かけるが、あんなものを信じてると全く危機感を持たなくなってしまう。心の何処かでは冷や汗をかきながらも、どこか中国のアラを見つけてはまだ日本の方が優れていると再確認したい心理がないだろうか。余裕のない、後ろ向きな守り思考だ。かつての大英帝国的な。
遠くない未来には、日本国内で展開する中国企業に勤める方が日本企業よりも賃金も高いし、大らかで働きやすいと思われるようになっていくかもしれない。
私の同僚には北京語、広東語に加え日本語や英語、フランス語を話せる人材なんてのもゴロゴロといて、日本人が中国企業本社で主要な仕事に就くことはとても困難になっていくかもしれない。日本企業も中国支社においては高コストの日本人駐在員を連れてくるよりは優秀な現地人を雇いたいが、優秀な現地人材には見向きもされずに仕方なく駐在員を送る時代になるかもしれない。
実際のところ、中国人の同僚は仕事に熱心で一生懸命な人が多く、上司の意向と期待に応えようと健気だ。悪く言えば媚を売るとも言えるが、上を立てて気持ちよく働かせてくれるのが上手いのでそれなりな立場で中国人と働くのは気分が良かったりする。日本人の同僚や部下のほうが何を考えているかわからないし意見をはっきりと言わない割に裏で文句は多くて面倒だと言う同僚もいる。まあ、フランス人やイギリス人の同僚は傾向として表立って文句も多い印象だが。
中国人は利己的だという一般論は未だによく見聞きするけれども、肌感覚としてはその実感はないし、彼らから溢れ出る忠誠心や責任感を感じることも多い。日本人も母親が入社式に同行してくるような人をあげつらっても仕方がないのと同様に、優秀な中国人と働き、働いてもらえるような環境に身を置けるかだ。日本人に対しても逃げ切りに必死な萎縮思考の団塊世代、経験値に乏しい氷河期世代、辛抱のないゆとり世代などといくらでもクサすことは可能だ。その思考に生産性は無い。
取り敢えず、今回は終わり。また数ヶ月後には何が変わっているだろうか。
スーツケースがコンベヤーから地面に3m近くも落下している瞬間を見てしまった。なるほど、こうしてワイン瓶のような分厚いガラスも割れるのか。
どんな時代を私の子供達は生きていくのだろうか。
富士山頂を真上から見下ろすのは初めてかもしれない。