朋友ルーマニアより来たる、亦た楽しからずや。修善寺と堂ヶ島温泉へ

フランスから帰国早々、ルーマニアから友人夫婦がバケーションで来日した。

 

いつも金がなく、なけなしの金でビールを飲んで、ビーチでサッカーボールを蹴って、たむろしていた私のルーマニア時代のかけがえのない友人だ。当時のルーマニアEU加盟前で共産主義の残滓があちこちに残り、まだ平均月収6000円ほどの貧しい国だった。本当に世話になった。今の私がフランス人、アメリカ人、中国人、インド人や韓国人と仕事をまわせるメンタリティや臨機応変さはルーマニアで培われたと思っている。どう恩を返していいものやらと何度も思ったが、彼らが日本に来てくれることなど想像し難かった。

 

そもそも当時優秀な大学生だった彼らの多くは西側で働き、経済力をつけ、キャリアを積み、ついには日本にバケーションに来るようになったのはここ3年ほどの間の話だ。もう4組になる。そんな彼らは私の中では勤め先の役員の来日よりも優先順位の高い来賓だ。別にもてなさなくても仕事にも生活にも影響はしないかもしれないが、自分の人間としての仁義を失うぐらいに思っている。

 

二人の子供は実家に預けて2週間、子いらずの休暇だそうだ。長旅で体調を崩すかもしれないし、食が合うかもわからないし、思い切って夫婦水入らずというのもありかもしれない。

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  1. 自宅でたこ焼きパーティーワカモレ、真空低温調理したステーキ各種、クラフトビール各種、日本酒。
  2. 翌日、踊り子号で修善寺へ。竹林を散歩し、足湯に浸かる。
  3. バスで1時間強移動して堂ヶ島へ。
  4. 波が露天風呂を洗う野趣あふれる露天風呂のある温泉宿に1泊。
  5. 三島で彼らは京都へ、私は東京へ別れる。

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とても喜ばれたもの

  • ずらりと並ぶ舟盛り、鯛のお造り。伊勢海老の刺身。一度は食べてみたかったスタイルらしい。
  • 夫婦で入れる貸切露天風呂。夫婦で、がポイント。
  • 波が襲ってくる野趣溢れる露天風呂。(友人男衆のみ)男同士は裸の付き合いに抵抗はさほどない様子。
  • 好きな色浴衣を選べるサービス。女性陣は部屋に戻ってフルメイクしなおすテンションの上がりようだった。
  • 自分で焼くスタイルのたこ焼きパーティー。おまえのは下手だの、私のが一番だの大はしゃぎだった。
  • 雪見だいふく。1€でこの品質は驚異とのこと。コンビニで買えることを教えると何度も買っていた。
  • 修善寺の骨董屋で買った天保小判。友人が熱狂収集家だった。
  • 日本のビール。好みの問題だろうが、ピルスナーウルケルに代表させるビール王国チェコに長く住む彼らにとっても日本のビールはなかなかのものらしい。「ヱビスは泡がシルキーで良いね」

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おそらく喜んでくれていたもの

  • 自宅に招き、日本人がどんな家に住んでいるか見られたこと。
  • 竹林。
  • 修善寺の足湯。「熱いな!これ、60度くらいあるだろう?」そんなわけはない。
  • 修善寺の神社の夫婦杉。「もう子供は二人で十分。」「でもここ来たからさずかっちゃうかもよ」ご自由に。
  • 我が家の子供達と遊んでくれたこと。
  • アーモンドポッキー。「うまいね、これ」
  • 鯛焼き。「魚の形をしたレッドビーン入りのパンケーキが美味かった」ってのはおそらく鯛焼きだと思われる。しかし欧州人は餡子が苦手な人が過半数な印象。

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期待はずれ、敬遠されたもの

  • 海藻の酢の物。「うぇっ」
  • 豆腐。「味がしない」
  • 抹茶キットカット。「試食がないのは食べると買ってもらえないからね」
  • 生肉のお寿司。タルタルが嫌いな欧州人は少なからずいる。
  • 蕎麦。醤油を掛けたいとのこと。味が薄いらしい。
  • 他人が履いた宿の雪駄を履くこと。水虫が移るかもしれんしな。欧米人は人前で靴を脱ぐこと、他人の履物を履くことへの抵抗は日本人よりも強い。
  • 新幹線の駅弁。店で温かいものを落ち着いて食べたいらしい。

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不思議がられたこと、面白がられたこと

  • 日本人のマスク。感染しないように、感染させないように、花粉、という説明になぜか感心していた。
  • 上部に手洗いのついた我が家のトイレ。「エコだな、良い発想だ」とのこと。
  • ゴミ箱の少なさ。
  • 時折見かける、あまりに変なグーグル誤訳の英語表記。「Our employees speak frustrating english. Sorry」って「はよ朝食食べにこんかい」とか「こっちは忙しいからそこで待っとけ」とか英語で言われるのだろうか。

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正直なところ、温泉旅館はホームページの写真とは裏腹に設備は古く、あちらこちら傷んでいて私としては胸を張ってもてなせる旅館ではなかった。古いタイプの温泉旅館だと説明したら納得し概ね喜んでいてくれていたようだが、若干残念に思う。

 

子供抜きで第二のハネムーン気分を味わえただろうか。あの頃の恩をほんの少しでも返せただろうか。一番世話になった友人がまだ来日してくれていないのだよな。