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ZINGARO

カフェ 芸術家 高円寺

サブカルの要塞、中野ブロードウェイに周りから浮いた落ち着きがあって洗練されたカフェがある。なぜこんな立地にこんなカフェが、と前から思っていたがそれが村上隆率いるカイカイキキプロドュースだと知った。他にもカイカイキキの店など計4店舗が建物内に入っていてささやかながらも中野ブロードウェイ村上隆の根城の一つと言えるかもしれない。





アニメ的な花顔で埋め尽くされたパネルが2枚飾られていることだけが村上隆を匂わせる内装で、コンクリート打ちっ放しの床も、木質の壁や棚も、棚の上に置かれた民藝風の泥漿や土灰の瓶も全体としてはアースカラーで統一されて落ち着きと統一感があり大変好みだ。


村上隆はオタク文化と古典的日本の絵画芸術文化を接続することに成功しただとか、古典をオタクのコンテキストでアップデートして新境地を開拓したなどと論評されている。それが海外の現代美術界でウケる近道であり空白地帯であることを理解し意図し実行しただけなどと言う斜に構えた意見もある。



しかし、他の店が賑わう週末であっても客が常にまばらなこの店はどうなのだろう。オタク文化と古典の交わりにそもそもニーズはあるのだろうか。


森美術館村上隆展の賑わいは相当なものだったが、来訪者に所謂オタクは殆どいなかったように見受ける。六本木にオタクの好きな目的物がそんなにあるとは思えない。人の目を気にせずに自分が好きなものに忠実な本能的で感覚的なオタクと、世間で評価されているとされるものやそれらを纏うことに熱心な六本木に足を運ぶような極めてソーシャルで感度の高い人達。両者はあまり交わっていない気がするし、六本木は明らかに後者を対象にした街だ。


そもそもオタクが村上隆を評価しているとも思わない。日本画専攻で初の博士号を取得し海外の美術界で稀有な評価を受け、クールジャパンの旗手と目されている画家。インテリスノッブを引きつける要素満載だが、オタクを本能的に引きつける要素はどこにあるのか。


村上隆はオタクでもないし、美術界で自分固有の表現を確立する題材として好奇心を持ってオタク文化を外部視点で視て取り入れただけなのではないか。根拠無く飛躍させるとオタク文化がそもそも好きでもないのではないか。それなりに名声も獲得しやりたいこともやり、円熟して描き始めたのが五百羅漢だとか達磨なんかだったりする訳だから。


オタク界の部外者である村上隆が自分の美術表現の新規性の為に要素を拝借しただけでそもそも村上隆はオタク文化と根底では繋がってはいなかったのではないかと思ってしまった。