仕事上の人間関係の空虚さが学生時代の友人と再会して露わに感じた

あああああ 終わった。 なかなかにしんどかった。 ピリピリ、ギスギスした議論を切り抜けた。なかばヤケクソ。なかば開き直り。文句あるならクビにでもなんでもしやがれ。それで困るのはあんたらだろう。裏と表と行間と建前と面子と。。。

 
もう残務処理もしたくなくて18時半にはさっさと切り上げて、外灘へ向かった。ルーマニアに住んでた頃に、メキシコ人、フランス人、スイス人と日本人の私の4人でルームシェアして暮らしていたことがあるのだが、その時のスイス人が上海で働いている。いまやどこぞのスイス企業の中国支社のCFO。いやあ、あの時のあいつが重役か。 お互いが社会人になってから知り合っていたらこのように会う仲にはなっていないだろうな。私は社会人になってから出会った無数の同僚の中に一切の遠慮もなく親睦を深められる友人というのは殆どいない。どうしても仕事上の薄皮一枚が残った上での付き合いになってしまう。これは私の意識の問題かもしれないが。
 
 スイス人の友人は数ヶ月前、日本に嫁さんと遊びに来てくれたこともあって、今回は嫁さんも交えてディナー。学生の頃の金がなくて時間だけはあった頃の友人とはあまり体裁やらを気にせずに済むから気が楽だ。頻繁に話す中国人の同僚よりも過去20年間で数回しか会っていないスイス人の夫婦と飯を食う方が遥かに落ち着くというのも何だか不思議なものだ。 
 
前回来日時に友人夫婦と下北沢のお茶屋さんで濃厚な抹茶カキ氷を食べたのだが、それ以来、抹茶が気に入ってしまったそうな。上海に来る前に何か私に日本から買って来てほしいものはないかと聞くと抹茶が欲しいとのこと。正直、「何も気にしなくていいよ」と言われるより「〇〇が大好きだからあれ買ってきて欲しい」と注文をつけてくれるほうが遥かに嬉しい。阿佐ヶ谷のお茶屋さんで抹茶と茶筅を買い、さらに辻利の水や牛乳に溶かして飲めるインスタントな抹茶を贈ってみた。
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ロストヘブン、失楽園という雲南料理の店に連れてきてくれた。昆明出身の画家のガオさんを思い出す。ここ数年、連絡を取っていない。消えゆく少数民族を民族衣装とともに油彩で描いていた。元気だろうか。次回、連絡を取りたい。

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スイス人の友人にも中国は急速に文化の標準化が進んでいるように映るそうな。もう現地の学校教育は北京語一辺倒でよほど拘りのある少数の家庭が子供に塾として追加で上海語を学ばせている程度。上海の文化も言語も急速に失われているとのこと。

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それなりに値段の張りそうな高級感漂う店だった。食事の後には屋上のテラスバーでさらに数杯、カクテルを飲む。全部友人に奢ってもらってしまったが、遠慮なく奢られる。彼らが日本にまた来る気配は濃厚だし、その時は私が前回同様に全部奢る。
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全く下心や意図を気にしなくて済む友人との奢りあいや贈物は素直に嬉しい。何かを贈るこちら側としても受け取って相手が喜んだその笑顔で持って目的は果たされ、そこから先には何もない。昨日、同僚から頂いた大きな桐箱と染付陶器瓶に入った高級茶が意識の隅で重荷に感じてるのだと思う。
 
 23時を過ぎ、1人ホテルに戻る。なんだかモヤモヤとして、なんとなく88階にあるホテルのバーに足が向かう。

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去年のちょうど今頃、新卒から手塩に掛けて育てたつもりの子とちょうど上海出張が重なってこの同じバーで飲んでいたことを思い出す。いつもカバン持ちのように可能な限り殆どの重要会議にも同席させていたし、1年ほどしてからは1人で幹部との会議にも送り出して、立派にその役回りを務めて周囲の覚えも良かった。あの頃はあの子はまだ希望に溢れた表情をしていた。もういない。予想もしなかった形で同僚ともめて、唐突で悪夢のような幕引きで辞めていった。優秀な子で大きな期待をかけていた分、落胆も大きかった。振り返ると苦い思い出でしかない。感情移入して育てるものじゃないな、と。
 
席料だけで3000円も取られる88階のバーは予想外にほぼ満席。私はせいぜい1本2000円のぼったくり価格のビールをヤケクソに飲むのが精一杯。隣の席には20代と思しきいかにもボンボンな若者数人がヘソ出しオフショルダーの露出の高い女性数人とフランス産のシャンパンの入ったワインクーラーを囲んで座っている。

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歓談しているかと思いきや、それぞれが無言でスマホの画面を眺めているだけ。失礼ながらあの若さで彼らが自分で稼いだ金でこのボッタクリ価格のバーに来ているとはとてもじゃないが思えない。金持ちの子息だと思われる。そこから金を無くしても付き合いは残るのだろうか。なんだかとても退廃的に映る。持て余して心の底では楽しめていないような。
 
 
上海で生活する自分を想像してみる。たくさんお金を稼いで、ある日、猛烈に虚しくなって刹那的に身を投げそうな気がする。1人で上海に住みたくはないな。ここには長く居たくない。無性に家に帰りたい。息子達の汗臭い体臭。すぐに腹を出して仰向けになるマンゴー殿。つれない嫁。土いじりできる小さな庭。たまには実家の母に幼稚園の授業参観に出てもらうのも良いかと思ったが、さっさと帰国するべきだったか。
 
 
ダイエット記録
朝 ホテル朝食
昼 クラブサンドイッチと胡瓜汁
夜 肉炒め、隠元豆炒め、麻婆豆腐、ビール、カクテル4杯ほど。つまみのナッツ。
この食生活では痩せる気配は無い。