赤土に辰砂の参加焼成で発色する青緑が好みだ。マンガンを表面に流すと動きが出て面白い。もう少し辰砂に粘性が高ければ流れ方に対流が生まれ渦巻いて面白くなるのだが。
リトプスを植えようかと思ったのだが、行く宛が今のところ無いクラッスラ属の「キムナッキー」が目に留まった。
これもありかな。正円に四角の幾何学。
赤土に辰砂でもう少し大きな鉢も作りたい。
フランス往復の機中で観た映画備忘録。
「ララランド La La Land」 ☆☆☆
「この世界の片隅に」 ☆☆☆☆
「ララランド La La Land」 ☆☆☆
ラ・ラ・ランド (コンプリート・ミュージカル・エクスペリエンス)
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「この世界の片隅に」 ☆☆☆☆
童話絵本のようなタッチの絵で牧羊的に物語は始まる。戦時下でも紡がれる生活が丁寧に描かれる。
「夫婦ってこんなものなの」という主人公の旦那への問いかけへの答えを未だ思案している。旦那の深意を計りかねている。
天然でぼーっとしている「すず」ですら表情を失い追い詰められていく戦争。牧歌的に描かれて始まるからこそ、その対比も際立つ。
「ぼーっとしている」が英語字幕ではabsentmindedと訳されていた。mindfulnessとは逆の言葉だ。しかし座禅での心構えはmindfulnessではなく、このabsentmindedなのだと思うのだよな。私としては巷の意識の高いmindfulnessではなくabsentmindedを常日頃から習得したい。
私の中で「君の名は」よりも評価の高い2016年のベスト映画はこちら。
ハナニラが咲き乱れ
連翹も爽やかに彩りを添え
鈴蘭水仙も可愛らしく
中東で古代から親しまれるムスカリも帯状に林立した様は壮観で
石蕗も紫陽花も瑞々しい緑
小手毬も蕾を付け4月に向けて備えが進む
一番の悦びは南高梅が十ほど実を結んでいたこと
2週間のフランスは疲れた。安らげる機会が少ない。田舎町で何もしない1日なんかがあれば違うのだろうが、路面は犬の糞やなんかで汚いし、地下鉄や雑踏ではアジア人に対する奇異な視線に多少の緊張感を帯びる。言葉を聞き取るのに神経が磨り減る。
我が家周辺で日向ぼっこする猫を眺め、断水気味だった植木に水をやり、愛犬マンゴー殿と緑道を散歩する。そして朝からなみなみと肩まで浸かれる湯船で小説の一冊でも読むとようやく、身も心も弛緩する。
日本が好きだな。本音を言えば、もっと静かな地方都市に移り住みたい。それか京都。
すっかり春。まだ疲れて、あれこれやりたい気持ちが起きないが、これからさらに草花が萌えていくのは楽しみだ。
美味しかったものを次回の為にも備忘録。星付きレストランなんざは行かないけど、手軽で美味しいものを。
到着初日はMontparnasse地区のDurocにある日本人シェフが経営するフレンチ。フレンチ食い倒れの知人が絶賛していた店。
メニューはフランス語だけだが、お父さんが日本人で日本語の方が得意だという女給さんが懇切丁寧に説明してくれる。フランス産養殖ウナギを使ったメニューなど日本人テイストの品もある。客はもう一組、日本人がいたが殆ど現地の人だった。爺様が一人で本を読みながら食べていると微笑ましい。
日本では見たことない野菜ばかりでカットされずそのままの姿で調理されている野菜のentree。なるほど、これは塩加減がちょうど良いし野菜が甘い。野菜は美味しいものを切らずに丸ごと調理すべきということか。
舌平目のグリル、鴨のロースト、子牛の胸腺など魅力的な品ばかりだが、選んだのは乳飲み豚cochonの4つの部位。可哀想に、こんなに美味いとは。ボルドーの赤に合う。肉を食べると肉食文化は欧州に一日の長があるとしみじみ思う。
どこの国のホテルでも変わらない品だがMontmartreのTerrasse Hotelは一つ一つが美味しい。特にクロワッサン。違うのは小麦なのかバターなのか。パリ市街とエッフェル塔が一望できるし、定宿となっている。
ピスタチオペーストが挟まれたタルトは絶品だった。この水準のデザートが朝食ビュッフェで食べ放題なのはすごい。貧乏性の私の体に悪い。ピスタチオペーストというやつが、実はかなり美味しい素材なのかもしれない。
ホテルの近く、Restaurant Basillicaの鴨。ミディアムだとかなりしっかり火が入っているのでミディアムレアでよかったかも。フランスは若干、火を入れ気味に思うのでミディアムよりミディアムレアで頼む方が好みに合うようだ。
魚介類が売りの宿の近くの料理屋の看板。上半身裸の女性と蝦の下半身を結合させるなんて猟奇的な発想。アルフォンソ・ミュシャのアールヌーボー調にすれば済まされるものではない。蝦というよりも蝦蛄か?なかなかのグロテスクさを優雅に誤魔化そうとしている。でも牡蠣とか蟹と結合させるよりはマシか。
バケツ一杯のムール貝の白ワイン蒸しを食べた。臭み消しのネギが白ワインとクリームスープを吸って美味い。ムール貝も味が強くなく、あっさりとしてたくさん食べられる。案外、お腹に優しい料理と言えるのではないか。
ビールグラス収集家としては今となるとこの半ケツ見返りアルザス娘のグラスは手に入れておくべき希少グラスだったように思う。コルマール以外で見かけなかった。新入社員女性の前で売り物じゃないこんな柄のビールグラスをお店の人に強請る姿を見せられなかったのだよな。人間として小さい。もっと自由に生きたいもんだ。。。
アルザス地方は半ばハム化した巨大豚肉片が美味しい。まさにビールのお供のような品。
もうひとつ、ここアルザスの郷土料理がタルトフランベと呼ばれる薄いガレットとピザの合いの子のようなもの。ジャガイモや玉ねぎ、ハムが載っていてこれまたビールのお供。ドイツ文化圏の食事はビールと相性の良い印象。
ストラスブールで食べた牡蠣も美味しかった。やはり檸檬汁を絞るだけより赤ワインビネガーをさらに欠けたほうが美味しい。さらに言えば昨年ボルドーで食べた刻みエシャロットをたくさん載せて食べるのが最高に美味いと思う。
マカロンの魅力は見た目の華やかさ。賞味期限が短いしひとつひとつが高い。もっと安くて美味しいお菓子はいくらでも溢れていると感じてしまう。
宿の近くで食べた鴨の蜂蜜ソース掛けのようなもの。店による当たり外れは鴨肉が一番少ないように思う。牛は案外、当たり外れが多い。
旅の締めはミシュラン三ツ星店と同じ肉屋から仕入れるというドライエイジングビーフを出す「Le Severo」。ミシュラングルマンの人気店で昨年、西麻布に支店を出したそうな。
鰹のタタキのように表層は焼け、中はかなり赤い状態で出されるのだが熟成されているのか生焼け感はない。塩だけで赤身肉の旨味が引き出されており、肉を食べたという満足感はダントツ。ちなみに写真に映っているのは2人分を切り分けた1人分。
前菜として頂いた白アスパラガスも美味。店先で売っているのを見かけたが、気軽に調理してこの味が出せるのならば白アスパラガスも買いたいな。日本のアスパラガスとは柔らかさもサイズも別の野菜ぐらい違う。
ラファイエットのグルメ館の下にあるフードコートはみっけもん。100g単位で肉を頼める。60日ドライエイジングのステーキ250gが40ユーロは安い。頼んだのは子羊200gで18ユーロ程度だった。表面は焦げ目がつくほどなのだが肉は柔らかく、肉の旨みを存分に楽しめる。2週間滞在中で食べたステーキの中で1、2を争う味だ。ここのグラスワインは赤も3種あり、8ユーロのものはフルボディのローヌワインで好みの味だった。さっくりと美味しい肉にありつきたいならば、ここは穴場だ。そこらのビストロよりは確実に美味い。
すぐ横では肉の販売もされている。
あてもなく5km近く歩き回っていたら、歩行者天国の商店街に出くわした。両側に八百屋、魚屋、肉屋、チーズ屋などが並んでいる。海外旅行は食材を眺めてまわるのが愉しい。