フランス企業では会って話さないと物事は動かない

フランスの企業を相手にするようになり、最初はその非効率さに面喰らった。メールを書いても返事はない。電話で話しても返ってきたのは「お前誰だよ?」という言外に滲む警戒感。
 
一度は直接会うこと。わざわざフランスに出張してでも直接会うことが大事だと。それが大事だとされている。

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できるならば食事をするなり、雑談を通じてその人がどんな性格なのか、何に笑い何に苛立ち、何に不安を感じ何に喜ぶのか。仕事の裏の価値観のようなものを知らないといけない。
 
24時間スマートフォンで会社のメール確認ができるようになっても、大事なことは電話で話せという文化はなんて非効率なのだろうかとも思った。大事なことほどメールを避け、言質と記録の残らない電話という方法をとることに政治的な匂いを感じた。

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さらには電話では飽き足らず、フランスと日本が物理的にこれだけ離れていようとも毎年巨額の予算を組んででも大勢を出張に送り出す。ビデオ会議でも十分ではないか。なんて非効率なのだろう。なんてフランス企業は技術的に遅れているのだろう、なんてフランスの企業文化は非効率なのだろう。そう思った。
 
面と向かって生で話し合わないと分かり合えない。メールや電話で文字列や音声信号を交換し合うだけでは表層的な連絡事項の伝達はできても信頼関係の構築やまして人として互いに理解することはできない。

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フランス人には「楽しく生を全うする」という価値観が根底にあるように思う。(自分の都合の為に他者への配慮が不足しがちな面はある)よって相手が優秀かどうかだけでなく、愉しく働ける相手かを問うように思う。
 
プロセスやシステムに則ってメールのやり取りだけで物事が進むような効率性の追求された仕事環境。そんな環境でお互いを人間として理解できるのか、そのような環境で働くことが楽しいのか。人間の本質への理解に揺るがないのかもしれない。