椿三昧

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この季節はどこにいっても街のあちこちに椿が咲いていて楽しい。我が家の玉の浦も大輪の花を咲かせてくれていた。花弁の縁の白があまり出ていないけれども。
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赤に白が入った絞りも良い。
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血潮も自分の手元に置くには重たいけれども街中で見かけると楽しい。
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ほぼ白に赤数筋。
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獅子咲の量感もなかなかだ。

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八重ではないが花弁の多い品種も。
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蕊の黄色が派手な品種はどうにも散らかる。
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私が一番好きなのは侘助やこの出雲大社藪椿のような小ぶりで一重筒咲のクラシックで慎ましやかな椿。八重や獅子咲は盛りの瞬間は派手で見事かもしれないが花が落ちた後が汚くていけない。

 

椿の真価は地面に点々と落ちてなお美しい姿だと思っている。
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そんな落ちた椿を拾って陶蟲夏草鉢に添えてみた。

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その小さな閉じた世界に引き込まれ、周囲の景色が視界から消えるような気がする。

大窯素焼きとダンゴムシ+ビカクシダ

土曜日は朝、ジョギングして汗を流し、工房に引きこもって平日の仕事を忘れるのが日課になりつつある。日曜日は子供と遊び、ご飯を作る。毎週繰り返しの変わらないルーチンというのも落ち着く。

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大きめのジオラマ鉢、高さのあるカブトムシ蛹鉢など6点は小窯に入れるとすぐ一杯になってしまうので大窯を使わせて頂いて素焼きすることにした。
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トゲトゲダンゴムシダンゴムシ粘菌子実体柱鉢も投入。
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そして上段には小さめの追加納入用の鉢を9つ。全てが追加納品できるとは思わないが7つは持っていけると良いな。


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前々からアイデアを温めていたビカクシダをマウントさせる為の蛸壺鉢を作った。
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遠目には形の輪郭がしっかりとしているけれども近くで見るとヨレて綻んでいる粗い造形にしたい。

 

中には水苔をたっぷりと詰めて開口部を大きくとったダンゴムシの背中からビカクシダを生えさせられたらと思っている。
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鉢部分は底が丸い。立たない吊るす前提の鉢なので「しった」の上に置いて作業。
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紐でビカクシダを抑えるのにあった方が良いのではないかと思い、内側に突起を6つつけた。どうだろうか。試行錯誤。

高円寺界隈の桜めぐり

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最寄駅は都立家政の園芸店とイタリアンレストラン、ベーカリーカフェが複合した「ガーデンスクエア」。
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1階には天井から床までの大きなガラスパーティションを開け放って開放的なベーカリーカフェ「フェリーチェ」。新緑の瑞々しいウンベラータやハンギングのヘデラなどが目に楽しい。
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ショーケースの中のパンを焼いて出してくれる。メニューのモーニングセットを頼むこともできる。私はチリドッグを焼いて出してもらった。
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元々は造園業者さんで庭木の栽培もされている広大な土地がある。それに面するようにデッキチェアやテーブルのテラス席も設けてくれていて桜を見ながら寛げる。

2階のイタリアンレストランは窓の外に桜の枝が広がりこの季節には伺いたい店の一つ。
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もう一つの好みの桜スポットは高円寺から阿佐ヶ谷方面に向かう緑道の桜。門のように桜の枝が頭上に伸びており、ジョギングして向かうと桜に吸い込まれていくかのような感覚になる。
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高円寺駅前の長仙寺の山門。仁王像、般若の鬼瓦、桜の競演。

起雲閣 

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根津嘉一郎から売却され旅館として生まれ変わる際に加賀の成巽閣を模したラピスラズリの壁。
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ここの暖炉は一番好きな暖炉かもしれない。
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チューダー様式にガンダーラを注入した折衷様式の特注品。最近の売れっ子で旅館に缶詰になって執筆する作家はいるのだろうか。
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暖炉上の鉄フードの梵字デザインは何度見ても素敵。暖炉の火床の奥の竜の彫刻も焦げて趣がある。
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スタンドグラスも素晴らしい。何一つ隙がない。
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鉄道王「根津」の別荘でもあった熱海の起雲閣。その後は高級旅館になり数多くの文人に愛されたそうな。尾崎紅葉はこの佇まいで瓶の葡萄酒を飲むか。
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谷崎潤一郎志賀直哉山本有三、1948年に起雲閣に宿泊し文芸対談。

三島由紀夫 起雲閣に新婚旅行で宿泊。45歳で割腹自殺。

太宰治。起雲閣にて1948年3/7〜3/31滞在中に「人間失格」を執筆。翌年 39歳で入水自殺。

 

太宰治はこんな高級旅館に1948年に3週間以上も泊まれるほど裕福だったらしい。元々青森で4番目の富豪の家に生まれ、1946年から連載を始めた「斜陽」がヒットしていたらしい。「人間失格」は自殺する1ヶ月前に書き上げ、死後大ヒットして1949年の高額納税者にランクインしているとのこと。
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金持ちは風呂にもこだわるのだな。しかしその頃は露天風呂趣味はさほどなかったのだろう。
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ダンゴムシ全身鉢2つ造形完了

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大きなダンゴムシそのままの植木鉢を作る試み。
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子実体も加飾。
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頭部側の腹部は蓋になっており足を摘んで取り外し可能にした。
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もう一つ。粘菌子実体に包み込まれ、押し上げられたかのようなダンゴムシ鉢。
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全方位からニョキニョキと生えた子実体に囲まれているのがわかる。
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この角度が一番気に入っている。
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台座部分にもそれなりに土を入るようにしており、サボテン群生株なんかを植えてみたら楽しいのではないかと思っている。
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子実体には白く発泡させた釉薬を掛けるか、翡翠色の釉薬を掛けるか悩ましい。
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はよ、焼きあがらないものか。待ち遠しい。この二つは譲るにしろサボテンを植え込んで仕立てた姿で届けたい。

花遊び 其のニ

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ペルシャ地方で6万年前からネアンデルタール人が墓にムスカリの花を手向けていたことが確認されている。原種からさほど姿を変えていないそうなので、ネアンデルタール人が愛でた姿を私たちも見ているのか。
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紫と翡翠色の組み合わせも爽やかで良い。
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ヨツコブツノゼミに庭の八重椿を挿す。この鉢も気に入っている一つ。ヨツコブの複雑繊細な角が破損することなく焼き上がったのも、陶肌が傷一つなく焼き上がったのも嬉しい。
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こうして見るときめ細やかなスベスベ陶肌。しかも工業的なツルツルでないのが良い。自画自賛
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手元に置いておいて春夏秋冬楽しめる鉢だと思う。
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