ゆる絵画家の美味定食屋「カフェキッチン耕」

10月26日に開店したばかりだという高円寺ルック商店街の定食屋「カフェキッチン耕」。

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がっつりとボリュームのある定食が期待を超えて美味しかった。生姜焼き定食なのだが、豚に厚みがあり、枚数が多い。他の定食屋はもう少し枚数が少ないように思う。しかもキャベツ、菜のおひたし、フキの甘辛煮のようなもの、大根のたくさん入った味噌汁やらと小皿の野菜も多い。バランスの取れた定食だと思う。
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生姜焼きも私は梅干しを加えたやつが好きなのだがこの甘辛いソースも新鮮で美味しい。値段は1000円だが中身を考えると高くは感じない。この商店街の並びに650円で生姜焼定食を出す定食屋はあるのだが、お客さんはこちらに来るのだろうな。
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マスターはとても個性的なゆる絵を描く作家さん、画家さんでもあるらしい。
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写実画は現物にどれだけ時間をかけて近づけていくかだが、崩した絵はどう崩すかに無限の余地があり、感性が大いに現れる。一見、崩したゆる絵こそが難しいと思っている。そしてその点、この絵は素晴らしいと思う。色味をモノクロとオレンジに絞っている点や憎めない少し間抜けなゆるい表情。
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「おはよう」は一般的に10時までの挨拶らしいですが、11:00開店でこの笑顔でおはよー!!ですよ。業界人なんですよ。深夜でもおはような業界出身ゆるキャラなんですよ。

 

昼もやっているので度々来ることになりそうだ。こういう店ができて嬉しい。
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「22cafe」にて「花と角」 青蟲を迎える。

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高円寺で蟲の標本販売をされていたinsectportのSNS投稿からこれまたご近所の永福町のカフェで別の方の展示販売があるというので自転車を走らせる。

17時から夕御飯の支度をするとして16時までに買物に行くならば14:00〜15:00の間に足を運べそうだと瞬時に計算する。
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この展示販売告知がなければ知らなかったであろう、一本路地に入ったところの「22cafe」。お酒も出していてウィスキーが豊富。
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好みのエチオピアを頂いたのだが、蟲のことに気が向いてきちんと味わえなかった。もったいない。
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A3以上の大きさの大きな標本箱をはじめ蟲がびっしりと並んだ標本箱が5つほど。しかもほとんどがカナブンでゴライアスオオハナムグリやテナガコガネ、そして大量の色違いのカナブン。

そのうちの青いベトナム産のメリーアオカナブンと飼育繁殖のシロヘリミドリツノカナブンの標本を頂いた。もっと欲しいものは尽きなかったがイベントごとに最大2匹までという戒めを自分に課している。とても丁寧に梱包してくださった。

「花と角」という名義で活動されている若い男性の方は昆虫、特にカナブンにどっぷりと浸かってらっしゃる方のようで軸がしっかりとわかりやすく清々しい。私のように陶で蟲を造形する視点で雑食に蟲を愛でる者から、同じ愛好家の世界でも好みは実に様々なんだと感じる。

 

カマキリが専門の方がいたり、カナブンが専門の方がいたり。カマキリだけ、カナブンだけが好きというわけではないのだろうけれども、専門は何かを自分の中で決めてしまうと自分の存在を他者に伝える時に気楽になる。しかし一方で「自分の専門は〇〇だからと決めるとその〇〇関連のことは抑えておかないといけない」などと純粋な好みや興味関心とは異なる動機で見てしまうことも出てくるのではないか。少しそんなことを考える。
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自宅に帰り早速、ガラスシリンダー瓶に移し替える。
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ガラスシリンダーだと四方から眺められて観察にも展示にも都合がいいし美しさが引き立つように思う。
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角度を変えると青から緑に色が変わる美しさ。
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大変、良い買い物をした。陶器にする際にはデフォルメしてしまうけれども、ねちっこく観察してどの形、どの要素を残すべきかを検討するのは造形の質を上げると思っている。この角度によって色味が変わるような金属光沢発色の釉薬はあるのだろうか。

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しつこく数枚。撮影はiPhoneばかりだが、ここからはコンパクトデジカメ。やはり何か根本的に違うな。
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机から目の届く明るい室内で愛でたいけれども、光に晒すと褪色してしまうとも聞く。蒐集家ではないし、たくさんの標本を保存することが目的ではないから褪色するとしてもやはり明るい目の届く所に飾ろうかと思う。

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私の陶蟲夏草鉢にも色をつけたい。

 

白馬の絶景山並みカフェ 「喫茶 白月」

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白馬の方にある山間の小さなカフェ。ケーキも手作り、珈琲も自家焙煎。どちらもとびきり美味しく、このカフェを目指して人が集まる。
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テーブルも器も作家さんによるもので存在感がある逸品揃い。
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カウンター下の一画の背景のムラのある青と引き立つ白磁壺に惚れた。
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私の一番好きなケーキ種類はレアチーズケーキなのだが、レアチーズ愛好家の私にとってもたまらない味。
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お客さんにも気づかれないような微細な改善を日々積み上げながら珈琲を焙煎し、淹れてサーブするような日々に憧れる。こんな光景の陶芸工房を持つのが夢だ。
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コロナ期間中、景色が一面の雪で覆われた真冬にコロナ感染予防もあって窓全開で営業していたそうだ。

凍てつく寒さの清々しさ、雪の静寂、暖かい珈琲。真冬の窓全開の白月を再訪したい。
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CLAMP COFFEE SARASA

廃墟感のある錆綺麗な京都のさらさカフェ

 

奥行きが1m近いと相席で反対側に見知らぬ人が座っても十分なパーソナルスペースが得られるし2卓並べるよりも空間効率が良い。

 

鎖で吊り下げた窓辺のカウンター席がおしゃれ。

 

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京都に複数店舗カフェを展開する「さらさ」の焙煎所、木工所をテーマにした店舗。さらさは昔は小上がりに靴を脱いで上がり、手垢とシミのついた積み上げられた漫画本を読み漁る学生の溜まり場のような店が多かった。味は二の次でわかりやすくボリュームの多いカフェ飯の店だった。
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それが時を経て「さらさ西陣」のような内装の素晴らしい店舗を残してオシャレなカフェのグループへと変化していった。あの場末の溜まり場感のあるさらさも懐かしい。
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大きな窓の外に豊かな植栽。そしてそれを眺められるようなカウンター席というのがやはり良い。
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エチオピアのミディアムローストを頂く。焙煎所と謳うだけあって美味しい。雰囲気といい、珈琲の味といい、こんな店が高円寺に欲しい。

博物宝庫「ウサギノネドコ 京都店」

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東京の谷中にある博物標本など自然造形を売る雑貨屋は実は本店が京都にある。京都本店にはヤドもカフェもある。

 

二条よりもさらに西に10分ほど歩いたところにある。どこかの寄り道ついでに立ち寄る立地ではない。乱暴に言えば辺鄙な場所にある。3年間京都に住んでいて一度も訪れたことのないエリアだ。そんな立地にも関わらずこの店を目的に来ているお客さんの多さに驚いた。
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さほど大きな店内ではないが所狭しと自然の神秘を感じる造形物や創作物が並ぶ。
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ウサギノネドコが特許取得した黄色変化しにくい樹脂で植物の種や花を閉じ込めた作品。
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数時間は眺めるだけでも楽しめる。
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太宰治の「人間失格」の小説本にキノコを生やしたとてもマニアックな品。
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ツノゼミの巨大3Dフィギュア。
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この時期、好物フェアを催していた。
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ブラックライトで光る石が楽しい。
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蓄光するものもあって、しばらく光を当てた後は光続けるのが幻想的。
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こんなシマウマのような石も。
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美味しい石展という企画があったそうだ。そこで人気だったラピスラズリのオペラを実際にカフェのメニューとすべく開発したそうだ。
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これがそのスイーツ版「ラピスラズリのオペラ」だそう。クオリティ高いな。青いカケラは全てチョコレート。
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青い水晶のパフェも美麗。味見したかったが息子に全て食べられてしまった。
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ガラスの中に植物を焼成し灰を閉じ込めた作品。
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ウサギノネドコが自ら出版したという海外のウニ専門図鑑の日本語版。
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なかなか刺激の多い楽しい店だった。この店の商品のような品々で私の書斎を満たしたい。

好きな京都巡り。しる幸、大徳寺、船岡温泉、さらさ西陣。

神戸の友人宅に連泊させてもらった後、京都の友人に会いに。

 

京都に再訪してなんだかとても感傷的になってしまった。私の人生の中で一番楽しかった時代であり、作陶を始めた地でもある。

 

もっと自分の求めるものを貪欲に、試行錯誤しつつ求めていかないといけないのではないか。そして残りの人生でまた京都に住む幾年かがあったらどんなに素敵なことかと思った。

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一の傳が予約で一杯だったので記憶を検索して思い立ったのが「しる幸」。歴史の古い味噌汁の専門店でさまざまな味噌や具材で味噌汁を頂ける。

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京都らしい風情もあって良い。
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利休弁当と京白味噌に鱧。京都の夏といえば鱧。
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お出汁の繊細な味で勝負している老舗なのでかやくご飯にしろ味噌汁にしろ出汁の味が繊細で絶妙。年を取れば取るほど有り難みが増す。
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くじら、どじょうなんてのもあるのだな。一番人気はおとしいもだそうだ。
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大徳寺の住職の友人にお会いして抹茶カキ氷を頂く。小山園の抹茶に糖がすでに混ざっていて水に溶くだけのアイスティー。その粉を氷の上に掛ける。希望に応じて練乳や黒蜜を追加。

いいな、この案を拝借して自分でもやりたい。

 

今日が鮎漁最後の日だそうだ。

 

他の来客予定が3時からあるとかで少し慌ただしくあまり話す時間がなかった。また住職とゆっくりと話しに来たい。
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大徳寺の南、船岡山建勲神社を参拝しに体温より暑い気温38℃の中、石段を昇る。
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人間五十年。いや、今では八十年かもしれない。
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私の中で京都一の銭湯、船岡温泉。西陣がまだ栄えている頃に西陣の裕福な旦那衆を相手に宮大工が勢を尽くして造作した宮造り銭湯の傑作。
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天井は格式の高い折上格天井。欄間には状態の良い細工が施されている。中には檜風呂、露天岩風呂2槽、電気風呂、ジェットバス、薬用風呂と沢山あって洗い場も多くさほど混雑しない。
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私の中では西の船岡温泉、東の千住の大黒湯。
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ここで撮影された綾瀬はるかさんのポスターの前で。
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自分に投資して、もっと努力して、好きなことをもっと突き詰めていかねばと思った。郷愁と後悔と発奮。

20年来好きなカフェ「ビブリオティク ハロー」

大きな上から下までの掃き出し窓

大きな葉を逆光で透過

光沢質で反射する卓で床紅葉

庭で花を育て室内に活ける

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15年以上前、一人で京都によく遊びに行くようになった頃の初期に訪れて感銘を受けた京都のカフェの一つ。底冷えする京都の冬にも関わらず店前のバナナの葉が元気なのが印象的だった。

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上下階吹き抜けで壁面を覆う本棚。当時はこのような本棚のある店は本当に少なかった。
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ボロボロだった巨大な地球儀ランプは新調されていた。
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その当時から枝物を活けてセンスが良かった。
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店の奥は奥で薄暗い席から光が差す中庭は魅力的な落ち着きがあった。
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そして京都ならではの和の要素がチグハグになることなく融合しているのが良い。

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15年経っても私はたいして成長することなく、自分の趣味ややりたいことはあまり達成できずにいる。

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しかし好きなものは案外、変わらない。12年前に京都で始めた陶芸はまだ続いている。カフェ好きも植物趣味も京的な和内装趣味も変わらない。

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あの頃から好きな趣味嗜好は変わらないのに、何もたいして形にならずに年月は過ぎた。もっと寸暇を惜しんで、たいして好きでもないことに割く時間を削って、もう少しケチらずに必要だと思えるものにはお金を使っていきたい。
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取り敢えず、「ビブリオティク ハロー!」が変わらずに魅力的で嬉しい。