果樹源

高円寺駅前すぐ、高架下。もともとは青果店だったのだろうか。



内装がうるさく無く、簡素で好み。古びた板の天板テーブルに黒い椅子。焦茶と黒で纏めてある。



窓際には全面ガラス戸が嵌っており、駅前の忙しい往来を別世界のように落ち着きのある店内から眺めて過ごすことができる。たまたま訪問時には他の客がいなかったからで、普段は店内も賑やかなのだろうか。



果物を使ったジュースが美味しい。オレンジジュースを子供用に頼んだ。果汁100%ではなく、いろいろ味を整えているようだったが果肉や風味が豊かに感じられ、甘すぎることもない。節約するためでもなく、単なる100%果汁を超える何かを目指した結果の味だと思える。また他のジュースも試してみたくなる美味さ。


小洒落た雰囲気と店員さんの素朴な親しみやすさのギャップが大きい。失礼ながらそこらの商店街の親切なおばちゃんのようなオーナー夫婦からこの店の内装は出てくるはずがない。断定させてもらう。お任せで商業デザイナーに作り込んでもらった感が強い。



ほかにもう少し小綺麗な花台もあるだろうに、モノの少ない店内に錆びたこいつを置いているのは、こいつがそのような価値があるからだと認めているからなのだろうな。それとも、これもデザイナーさんに選んでもらったものを忠実に使い続けているのか。わけのわからんアレンジをするのではなく、異質な価値観のモノをそのまま受け入れるというのも店主の度量の大きさだ。


いづれにしろ、隣近所のおばさんのような気安さで子供に話しかけてくるその接客の垣根の低さと、シンプルでスタイリッシュレトロな内装のありえない組み合わせがこの店の魅力。


本来、好きに任せていたら、小物やらが増えに増えておばあちゃんの家の台所のようになるに違いないのだ。


営業時間が18時までと行けそうな時間帯が少ないのが惜しい。