職業犬、猟犬の話

2022年2月22日はスーパー猫の日だそうなので対抗して犬の話をする。

 

高円寺の桃園川緑道沿いで見かけた民家の裏玄関。

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なんと警察犬の認証が。
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警察犬と災害救助犬の2大資格持ちとは頭が下がる。今のご時世、資格は重要ですよね。災害救助犬の標識は少し古びているので同一個体の犬ではないかもしれない。会って見たい。うろうろしていたらいつかは会えるだろうか。

 

近郊で巻き狩り猟をされている猟友会の方から話を聞く機会に恵まれた。猟犬というこれまた立派な職業犬について伺ったことを記録しておこうと思う。

 

現代の巻き狩り猟

6-7人の鉄砲持ち=タツマが猟場を包囲し、勢子が犬をけしかけて鹿や猪を追い立ててタツマの前に現れた獲物を銃で撃つ。これが巻き狩りの基本だそうだ。勢子はてっきり猟銃免許の無い人が複数人、走ったりしながら追い立てるどちらかというと下っ端だと想像していた。しかし実際は勢子は選ばれた1人で基本的に「犬持ち」という猟犬を複数頭飼っている選ばれた人。勢子になるのは射手よりも難しくたいていは狩猟グループのリーダー格か重鎮が担うという。射手の延長で任されることはなく、勢子になりたくて最初から希望して修行した人がなるのだという。

 

最近は猟犬はGPSを実装。どのタツマの方向に向かったかなどトランシーバーで報告が交わされながら猟が進んでいく。

 

猟犬の役割
タツマの方向に上手く追い込めれば銃で撃ってもらえるが、時に猟犬が獲物を窪地や岩場に追い込んで取り囲み膠着することがあるという。いつまで経っても犬がタツマの方向に来ないで犬が鳴き続けている場合は膠着していると見なして助けに行かなければならない。

イノシシだと犬が殺される場合もある。犬がキャンキャン吠えていると鹿よりも猪の場合が多く、既に犬が攻撃され傷ついている場合もある。急がないといけない。

犬が噛み付いていると基本的には撃ってはいけない。犬に当たると犬を殺してしまう。首筋にかみついている場合、銃を頭に撃って犬に銃弾が当たっていなくとも爆風で鼓膜を傷つけてしまったり眼球が飛び出てしまうこともあるとのこと。

棒切れを投げて犬を散らせた隙に獲物を撃つなど工夫しなければならないとのこと。

 

猟犬の育て方

私が話を伺った狩猟グループの代表は猟犬を7頭飼っている。犬個体ごとに性格や向き不向きがあるので鹿や猪など獲物の種類に合わせて使う犬を1-3頭、選ぶのだそうだ。犬の陣容で獲物の動きが変わり、狩猟の成功率も変わるのだという。

古くからの猟犬の育て方は暗いところに閉じ込めて育て、山に放つと猟欲を発揮させるように凶暴に育てるというものだという。代表はそれが嫌で仕事のオンオフの分別がつけられてオフでは家族として愛でられるように猟犬を育てるように努力したのだそうだ。

食欲が旺盛で自立心の強い犬を選ぶ。人懐こい犬は猟でも群れがちでそうなると塊で獲物を追ってしまうので非効率。狩場で散って獲物を追える犬が良い。子犬でもマイペースに一匹だけ異なる行動をしているような犬が適正が高いのだそうだ。

しっかりと1頭育てられると犬が新入りの犬を育ててくれるので楽になる。猟犬の現役は8ヶ月から4〜5歳までだそうだ。まだ元気そうでも6歳ぐらいから体力が落ち、性格も落ち着いて猟に向かなくなってくるのだそうだ。

 

我が家のマンゴー殿とは別の生き物のように違う。しっかり躾たら警察犬や猟犬になれる素養はあったのだろうか。プードルも元はといえば水鳥狩猟犬のはず。

 

まあ、誰にでも愛想を振って穏やかで吠えないマンゴー殿の気立ての良さは都会で生きていくには最良かもしれない。