佐賀6日目。殿様の湯

朝1時半に起きてしまい5時までうだうだとネットサーフ。それから早朝無人の温泉へ。サラサラとして気持ちの良い湯だ。

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朝、ロビーにあるオルゴールや蓄音機が飾ってあるコーナーで女将にレコードを聴かせてもらった。
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蓄音機の針は10回程度使うと駄目になるらしい。針の先端が丸まってしまい、それでも使い続けるとレコードを傷つけてしまうそうな。針がそんな直ぐに使い終わる消耗品だとは知らなかった。
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美空ひばりの後にルイ・アームストロングを聴かせてもらう。音の割れ具合、揺らぎがアナログな魅力。
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他にも年代モノのミシンがあったり
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「京都屋」は懐古趣味で興味深い宿だった。荷物を預かってくれたり、傘を貸してくれたり、飲食店や酒屋を勧めてくれたり。ここらへんは旅行者には必須サービスだな。

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チェックアウト時間10時近くまで二度寝して、10分で荷物をまとめて徒歩数分の武雄温泉を目指す。

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武雄のシンボルにもなっている楼門。これも辰野金吾建築だそうだ。

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洋風建築だけでなく珍しく和風というか中国風というか、東洋的なものを設計した。施工は清水組、今の清水建設だそうだ。
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少しばかり悩んだが、貸切湯の「殿様湯」に入ることにした。貸切1時間で3300円。
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なんと立派な休憩室の利用料金込みだった。
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独り占めなんて贅沢すぎる。家族と分かち合いたかった空間と時間。5名まで同一料金だそうだ。
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二間の休憩室を抜け、廊下の先の階段を降りると湯船がある。
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脱衣所、化粧台の備えられた広々とした空間は天井も高くて開放感がある。
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江戸時代中期に武雄鍋島家の殿様専用として造られた総大理石の風呂だそうだ。後年、シーボルトも使ったという。一晩の飲み代ぐらいで下賤な庶民が使わせてもらえるなど良い時代になったものだ。

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こんこんと注がれる源泉掛け流しの湯船。弱アルカリ性単純温泉はかつて伊達政宗宮本武蔵も浸かった温泉だそうだ。
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シャンプーリンスも使えて東京に戻る前に今一度身体を綺麗にできる。
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平日の昼間から風呂なんて贅沢この上ない。
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美人の湯だそうで。

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30分ほど湯に浸かり、残り30分は涼みながら休憩室で寛ぐ。それにしても広縁は素晴らしい建築上の発明だと思う。外と内との間のもう一層の空間。
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廊下に姿見が置かれていた。室内に置いても良いと思うのだが。
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呉服屋の広告が入った年季モノ。
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中には磁器製の酒樽があったり
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磁器製の碍子が残っていたり
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4畳+3畳の休憩室で大の字になってみたり、お茶を啜ってぼうっと寛いだり。
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幸せすぎて腑抜ける。

 

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一風呂浴びた後には武雄で運輸業で財を成し、九州の虎と呼ばれた宮原忠直の構想した温泉テーマパークの中核を成す新館を見学した。
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当時最先端のマジョリカタイルが貼られた八角屋根の浴室棟。
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階段を上がると
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大きな広間

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こういう風情ある歴史的建築は浴衣や着物を着て廻りたい。
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柳井正さんだとか、前澤友作さんだとか、現代の大富豪には後世の文化財になるようなものを建築してほしい。バスキアの絵画に123億円を払えるならば後世に残る文化財を創り出してほしい。勝手な願いの押し付けだけれども。

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最終日はダラダラと風呂に入り、時間を持て余すぐらいのんびりと散歩して終わった。武雄からはJRの特急に乗り、博多では阪急百貨店がJRと空港行き地下鉄の乗換経路の途中にあったので明太子やら博多どーなつやらをまとめ買いできて便利だった。

 

佐賀は魅力的にも関わらずガイドブックの情報も少ないのでちょっと多めに備忘録を残しておこうと思う。